北海道 札幌市に位置する社会医療法人 北腎会 坂泌尿器科病院(以下、坂泌尿器科病院)は、泌尿器科を専門とする病院です。開院当初から、地域に根ざした医療サービスの提供に尽力し、特に患者さんにとって負担の少ない治療の実現に力を注いできました。同病院では、尿路結石や前立腺がん、前立腺肥大症、膀胱腫瘍などに対する、さまざまな治療に取り組んでいます。
今回は、坂泌尿器科病院の院長である坂 丈敏先生に、同病院の診療体制や取り組み、注力している治療についてお話しいただきました。
当院は、1987年、札幌市北区で泌尿器科を専門とする病院として開設されました。“地域に根ざした専門病院として一人ひとりに満足していただける医療を提供する”という理念を掲げ、開設当初より、地域に根ざした医療サービスの提供に努めてきました。
当院の基本方針は“Speedy(迅速), Safety(安全), Sincerity(誠意), Smile(笑顔)”の四つです。これらの基本方針のもと、誠意を持って患者さんに対応するとともに、迅速で安全な医療を提供するために、診療や手術の質の向上に尽力してきました。
当院では、できる限り患者さんにとって負担の少ない治療を行うよう常に考え、さまざまな低侵襲治療に積極的に取り組んできた実績があります。
たとえば、当院では、経尿道的結石破砕術(transurethral lithotripsy:TUL)や経皮的結石破砕術(percutaneous nephro-uretero lithotripsy:PNL)を導入しています。導入当時は、尿路結石症の一般的治療は開腹手術でしたが、当院ではTULやPNLの低侵襲性に着目し、患者さんへの負担が小さいこれらの治療に取り組んできました。開腹が必要でないこの治療は患者さんの負担軽減につながり、QOL(生活の質)を維持できるため、2019年現在も初志を忘れず積極的に取り組んでいます。
お話ししたように、当院は開院当初から、できる限り“患者さんにとって負担の少ない治療”を行うよう努めてきました。もちろん一般的な治療も行えますが、特に低侵襲的な治療に取り組み、患者さんの利益を守るための努力を惜しまない所存です。そのなかでも当院が特に注力している治療についてご紹介します。
開設当初から尿路結石の治療法として、経尿道的結石破砕術(TUL)に積極的に取り組んでいます。TULとは、尿道から膀胱内に内視鏡を挿入し、さらに尿管内に内視鏡を進め、尿管や腎臓の中の結石を砕く治療法です。2018年には、TULの手術を316件行っています。
また、鋳型結石などに対しては、経皮的結石破砕術(PNL)という選択肢もあります。PNLとは、腰から腎臓に挿入した筒を介して内視鏡を腎臓の中に挿入し、そこから石を砕く治療法です。
これらは開腹することなく治療を行うことができるため、患者さんの負担軽減につながると考えています。私たちは、できるだけ安全に、かつ短期間で治療を終えることができるよう努めています。
前立腺がんの治療についても患者さんへの負担を軽くする方針は変わらず、積極的に取り組んでいます。具体的には、根治的前立腺全摘除術の手術や、放射線治療などを行っています。放射線治療については、強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)を導入しています。IMRTの導入によって、前立腺がんの患者さんに対して、正確で副作用の少ない治療ができるような体制が築かれたと思います。
前立腺肥大症の治療として、ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)による治療に力を入れています。2018年は、HoLEPによる手術を242件実施しています。当院では、比較的大きな前立腺肥大症に関してもこの手術を行っています。
HoLEPでは、尿道から内視鏡を前立腺に通し、レーザーファイバーと呼ばれる機器によって前立腺の内側(内腺)と外側(外腺)の境目にレーザー光を照射し、肥大した病変をくり抜きます。そして、膀胱内にある、くり抜かれた病変を別の機器で吸引し摘出する治療法です。
膀胱腫瘍に対しては、光力学的診断(photodynamic diagnosis:PDD)を併用した経尿道的手術を行っています。従来の膀胱腫瘍の手術は、目視で腫瘍切除を行うため限界がありますが、PDDでは、術前にアミノレブリン酸を使用することで、小さな病変まで認識することができるようになります。より正確な腫瘍の切除につながるため、当院ではPDDを採用することで、患者さんが再発するリスクを少なくできる治療を提供できると考えています。
当院では、より安全な治療を実現するために、さまざまな取り組みを行っています。泌尿器科手術における毎週の手術カンファレンスは、その1例です。手術カンファレンスでは全ての医師、関係する看護師(外来、病棟、手術室)、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、事務職員が参加しており、手術症例の共有と検討を行い、術者を決定します。担当医、術者だけの判断だけでなく、当院スタッフの多くの知識や経験により、患者さんの手術をよりベストに近づけるために多面的に判断・評価をすることで、質の向上を目指しています。患者さんの対応に関しては手術を担当した医師が主治医となり、退院するまで、責任を持って経過を確認しています。
基本的に主治医が手術を行いますが、より専門的な技術を必要とする場合には、専門の医師が手術を担当あるいは指導にあたるようにして、患者さんの利益を担保する体制を築いています。
当院では、尿路結石治療の中心的な医師が、外部の泌尿器科医に向けて研修会を開催しています。手術見学で実際の治療の様子を見てもらい、座学で学んでいただき、ハンズオントレーニングを実施しています。
この活動は当院の技術を外部へ伝達することで、泌尿器科医療へ貢献するものであると考えています。このように、当院では、技術を磨く場の提供を行うことで、泌尿器科医療全体の進歩にも貢献するよう努めています。
当院では、さまざまな泌尿器疾患の治療に取り組んでいます。当院に入職した医師は、希望すれば、さまざまな治療に携わることができます。
さらに、当院は臨床とともに研究にも適した環境であると思います。たとえば、全国的に見ても症例数の多い尿路結石、前立腺肥大症の事例や、膀胱がんのPDDの治療については、学会などで積極的に発表を行っています。多数の症例をもとに研究に取り組むことができる体制を築いている点も当院の大きな特徴でしょう。
また、今後は、若手医師をはじめとして、医師を支えるスタッフの教育にさらに力を注いでいきたいと考えています。福利厚生などの待遇が充実していることはもちろん、技術的にもステップアップできる体制をさらに築いていくつもりです。
当院は、開設当初から、誠意を持って安全な医療を提供するように努めてきました。何よりも患者さんのことを考え、負担の少ない治療に積極的に取り組んできました。安全に、できるだけ負担のない治療を行っていきたいと思っておりますので、何なりと不安なことはお話しいただき、共に病気に向き合っていきたいと考えております。セカンドオピニオンであっても、気兼ねなくご相談ください。
当院が取り組んでいる治療に興味がある方には、ぜひ入職を検討していただきたいです。尿路結石に対する経尿道的尿路結石除去術(TUL)や経皮的結石破砕術(PNL)、ホルミウムレーザー前立腺核出術(HoLEP)などの治療について当院のノウハウを取得できるようサポートしていく所存です。
坂泌尿器科病院 理事長・院長
坂 丈敏 先生の所属医療機関
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