院長インタビュー

“急性期から在宅まで”一貫した医療と療養に取り組む札幌秀友会病院

“急性期から在宅まで”一貫した医療と療養に取り組む札幌秀友会病院
藤原 秀俊 先生

医療法人秀友会 札幌秀友会病院 理事長

藤原 秀俊 先生

目次
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医療法人 秀友会 札幌秀友会病院(以下、札幌秀友会病院)は、脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科を専門とする病院です。1988年に開院して以来、患者さんの社会復帰・家庭復帰を考えた医療を提供しています。

救急医療とリハビリテーション(以下、リハビリ)を分離しない体制や地域医療の連携など、同院の取り組みについて理事長の藤原(ふじわら) 秀俊(ひでとし)先生にお話を伺いました。

札幌秀友会病院の外観
札幌秀友会病院の外観

私は医大卒業後、脳神経外科を専門とする病院に入り、脳卒中くも膜下出血、頭部の外傷といった急性期の手術を行っていました。

その後、救命救急センターや別病院の副院長などを経験するなか、治療とリハビリが分離した縦割りの体制に、「これでいいのかな?」と疑問を感じるようになりました。そんなとき、外来で診ていた患者さんに数年ぶりにお会いしたら、すごくよくなっていて驚いたことがあったのです。聞くと、自分でリハビリしたと言います。

そこから、「急性疾患を治療するだけじゃなく、リハビリもして自宅に帰そう」と思うようになりました。当院を開院したのは、家庭復帰と社会復帰を目指す一貫した医療とリハビリを実現するためです。

脳疾患患者さんの急性期からのリハビリは、開院した直後から行ってきました。患者さんの社会復帰を目指すには、速やかにリハビリを始めたほうがよいのです。

自宅に戻ってからのケアを充実させるために、1997年に“西区在宅ケア連絡会”を発足しました。今も医師や看護師、医療ソーシャルワーカー、保健師、ホームヘルパーなどの職種が連携して、在宅医療の課題解決をする会として活動中です。ほかにも、通所リハビリ“秀友会いしかりデイ・ケアサービス”と、在宅療養をサポートする“訪問看護ステーションふじ・在宅リハビリテーション”があります。また、“札幌市手稲区第1/第2地域包括支援センター”などの運営を通じて、患者さんや高齢の方が住み慣れた地域で生活するための包括的な支援活動も行っています。

さまざまな職種のスタッフが連携して、“急性期医療から在宅療養まで”という理念の実現にグループ全体で取り組んでいます。

カンファレンスの様子
カンファレンスの様子

脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科、麻酔科*、内科、循環器科、消化器外科、肛門外科、歯科に至るまで、複数科目の診療体制を整えています(2019年11月現在)。

脳神経外科を専門とする病院としてスタートしたといっても、たとえば脳卒中の患者さんに焦点をあてると、脳卒中の原因となる生活習慣病などの持病があることが多いです。患者さんがさまざまな病気を持っていることを考えると、心臓も消化器もと体全体を治療する必要が出てきます。

そのために、リハビリを含めた複数診療科目の運営体制にしています。患者さんの長期的な社会復帰には、一部の病気だけではなく、一つひとつを丹念に治療していかなければなりません。

*麻酔科標榜医:白崎(しらさき) 修一 (しゅういち)先生

当院には、理念に共感した医師が集まっています。

脳神経外科医(日本脳神経外科学会専門医)、循環器科・心臓血管外科医(日本胸部外科学会認定医)、消化器外科・肛門外科医(日本外科学会専門医)、麻酔科医(日本麻酔科学会専門医)、脳神経内科医(日本神経学会専門医)、リハビリテーション科医(日本リハビリテーション医学会専門医)、歯科医が在席しています(2019年11月時点)。

それぞれの専門分野を生かして、患者さんの全身をできる限り当院内で診ていこうという方針です。また、さまざまな分野を専門とする医師がいるからこそ、幅広い診療に対応できるのです。

看護師には、体系化した教育プログラムでの研修と能力に合わせた個別教育を行っています。北海道看護協会が主催する外部研修へ参加することで、ベテラン看護師のフォローアップにも力を入れています。

また、急性期医療から在宅療養までのローテーション研修など、当院の理念に特化した教育も行い、患者さんを尊重できる看護師の育成に努めています。

リハビリテーション科は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の臨床指導者が在籍していたり、理学療法士の新人教育の見学受け入れ施設になっていたりと、教育プログラムが確立しています。

総合リハビリテーション室
総合リハビリテーション室

救急医療とリハビリが分断しない体制には、開院した時からこだわっています。

早い時期から日常生活を意識してリハビリを行うため、急性期の治療と並行して看護師とリハビリスタッフが協力し合って患者さんを支援します。

医師や看護師をはじめ理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など複数のスタッフがチームになってリハビリを行います。回復期のリハビリ病棟フロアを自宅の浴室や洗面所、居室と考えて、退院後の生活をイメージしながらの練習です。

またご家族への介護指導や杖・ベッドなどの用具準備、住宅改修のアドバイスも行います。自宅に帰るにあたっての不安を取り除くことを心がけています。

装着する人の立ち座りと歩行をアシストする介護用ロボットスーツや、体重の一部を軽減する免荷トレーニングシステム、手の麻痺に対する電気刺激装置など、新たな技術を使った機材を積極的に活用して、患者さんの運動機能の回復を目指しています。

私は30年来、地域医師のネットワークづくりに熱心に取り組んできました。地元の医師会を中心にしたつながりで、困ったときには直接電話して助け合うことができる関係です。

根底には「地域の方が困っているならきちんと診て、きちんと地域に帰してあげたい」という思いがあります。そのためには当院だけでなく地域ぐるみで思いを共有して、一緒にやったほうがよいと考えています。

具体的な取り組みに、近隣の医療施設間で患者さんの受診歴、検査情報などを共有する“TMNIT in Hokkaido”があります。これはセキュリティの高いインターネットを使ったサービスで、同じ検査や薬の重複処方を防ぐのに役立っています。また近隣の医療機関の空きベッド情報を、リアルタイムで共有するシステムも構築しています。

地域医療の協力体制がしっかりできているので、電子お薬手帳の導入など、いろいろな取り組みを進めやすいです。地域の医師が連携することで、患者さんにとって安全で効率のよい医療の提供に努めています。

藤原先生

当院では、患者さんが家庭で過ごせたり社会に復帰できたりする治療とリハビリを心がけています。自宅へ戻った後も継続した治療と看護、リハビリを行います。

普段の生活で困ったことがあれば、些細なことでも相談してください。最近家族の様子がおかしいとか、ごみを捨てられなくなったとか、買い物に行けなくなったとか。何が病気に関係しているか分からないからです。

地域の医療ネットワークを活用しながら、これからも患者さんが安心できる対応をしていきたいと思っています。

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  • 医療法人秀友会 札幌秀友会病院 理事長

    藤原 秀俊 先生

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