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前立腺がんに対するロボット支援手術の効果とは?

前立腺がんに対するロボット支援手術の効果とは?
志賀 淑之 先生

NTT東日本関東病院 泌尿器科 部長、ロボット手術センター センター長

志賀 淑之 先生

目次
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前立腺(ぜんりつせん)がんとは、男性のみにある前立腺と呼ばれる臓器に生じるがんです。近年、進行する高齢化とともに、前立腺がんの患者さんは増加傾向にあることが分かっています。前立腺がんは、早期で発見されれば治癒が見込めるため、早期発見・早期治療が大切と考えられています。

治療法のひとつである手術では、手術支援ロボットである“ダヴィンチ”が用いられることがあります。ロボット支援手術には、どのような効果があるのでしょうか。今回は、ロボット支援手術に積極的に取り組んでいるNTT東日本関東病院 泌尿器科部長・ロボット手術センター長の志賀(しが) 淑之(よしゆき)先生に、前立腺がんの概要と、前立腺がんに対するロボット支援手術の特徴についてお伺いしました。

前立腺がんとは、男性のみにある前立腺と呼ばれる臓器に生じるがんです。膀胱(ぼうこう)の下に位置する前立腺には、精液の一部に含まれる前立腺液をつくるはたらきがあります。

2016年の報告では、前立腺がんは、男性のがんの罹患率の第2位を占めています。また、日本では、進行する高齢化と共に前立腺がんの患者さんは増加傾向にあるといわれています。

前立腺がんは、ステージ1や2など病気の初期の段階であると、自覚症状が現れないことが多いという特徴があります。ただし、ステージ3や4など病気が進行すると、血尿や腰痛、尿が出にくかったり排尿の回数が増えたりする排尿障害などの症状が現れるようになります。

腰痛:Pixta
写真:Pixta

前立腺がんの多くは、比較的ゆっくりと進行する点が特徴です。早期に発見されれば治療によって治癒が見込めるといわれていますが、放置して進行すれば命に関わることもあります。そのため、重症化を防ぐためには、早期発見・早期治療が大切です。40歳以上の男性は医療機関や人間ドックを受診し、検査を受けることをおすすめします。

なお、前立腺がんを発症する要因として、家族歴や加齢が明らかになっています。家族内に前立腺がんを経験した方がいる場合には、家族歴から発症の可能性を考慮し検査を受けていただきたいと思います。

患者さん:Pixta
写真:Pixta

前立腺がんの主な治療法には、手術、放射線治療、内分泌療法(ホルモン療法)*、抗がん剤による化学療法などがあります。前立腺がんに対する手術では、前立腺と精のうを摘出する前立腺全摘除術を実施します。手術の方法として、開腹手術、腹腔(ふくくう)鏡手術**、ロボット支援手術が挙げられます。

手術支援ロボット“ダヴィンチ”
手術支援ロボット“ダヴィンチ”

前立腺がんに対するロボット支援手術とは、手術支援ロボットである“ダヴィンチ”を操作しながら行う手術を指します。具体的には、下腹部に数か所の小さな穴を開け、ロボットに付いているカメラや鉗子(かんし)(手術器具)を挿入し、操作しながら手術を行っていきます。

内分泌療法(ホルモン療法):アンドロゲンという男性ホルモンの分泌やはたらきを抑える薬による治療法

**腹腔鏡手術:先端に小型カメラが付いた腹腔鏡を用いて行う手術

前立腺がんに対するロボット支援手術では、傷口が数か所の小さな穴のみで手術をすることが可能です。開腹しないため、出血量が少なく体への負担が少ないという特徴があります。

また、ロボット支援手術では、手術場所を拡大しながら精密な手術を行うことが可能です。たとえば、ロボットアームが人の関節のようになめらかに動くため、細かく的確な縫合ができます。精密な手術操作のために、従来の手術に比べて神経を損傷する可能性が低く、性機能などの温存につながり、術後の回復も早いと考えられています。

ロボット支援手術の操作の様子
ロボット支援手術の操作の様子

がんの患者さんの中には、複数のがんにかかる方もいらっしゃいます。たとえば、前立腺がんを治療した後に、大腸がん胃がんを発症するケースもあります。

このような場合にも、前立腺がんを早期で発見し、ロボット支援手術によって小さな傷で治療していれば、ほかのがんの手術も可能になることが想定されます。

当院では、前立腺がんの患者さんがロボット支援手術を受ける場合には、10日程度入院していただきます。手術日の前日に入院し必要な検査を受けていただいたうえで、全身麻酔下で手術を受けていただきます。当院のロボット支援手術の手術時間は約2時間です。

術後は、翌日から立って歩くことが可能です。手術の約5日後には排尿のためのカテーテル(管)を抜き、自分で排尿できることを確認し、手術の8日後には退院していただくことが多いです。

術後の合併症として、尿失禁や性機能障害が起こることがあります。たとえば、(せき)をしたときなど、腹圧がかかったときに尿漏れを起こしてしまうことが挙げられます。また、勃起しづらくなることも多いです。

ただし、生活上の制限はほぼありません。温泉に入ったり、スポーツを行ったりしていただいても問題ありません。私が担当した患者さんの中には、手術後にバドミントンやテニスを楽しんでいる方もいらっしゃいますし、ゴルフに行ったことを報告してくれる方もいます。

前立腺がんは再発する可能性があります。再発した場合には、放射線療法や内分泌療法(ホルモン療法)などによる治療を行うことがあります。

志賀 淑之先生とダヴィンチ
志賀 淑之先生とダヴィンチ

当院では、年間100件以上の前立腺がんの手術のうち、ほぼ全ての症例でロボット支援手術を行っています*。ほかの病院でロボット支援手術が難しいと判断されたような大きな前立腺がんや、ステージ4に近いような進行がんに対するロボット支援手術にも対応しています。

ロボット支援手術を積極的に行うことで、より負担の少ない手術を実現し、患者さんの早期社会復帰を支援しています。

2019年1~12月の前立線がんに対する前立腺全摘除術の実施件数は104件、そのうち103件がロボット支援手術。

当院の泌尿器科・前立腺がんセンターでは、2次元のCT画像やMRI画像を立体化するシステムである“VR手術ナビゲーション”を導入しています。このシステムの導入によって、立体的に手術の部位を把握することができ、より正確な手術の実現につながっています。

また、患者さんへ治療の説明をする際にも、VR手術ナビゲーションを活用することで、より手術のイメージを持っていただきやすくなりました。

志賀先生

前立腺がんは、排尿や性生活など、QOL(生活の質)に影響を与える可能性のある病気です。たとえば、パートナーがいる場合には、性生活に影響がでることで問題となることもあるでしょう。

お話ししたように、前立腺がんは早期発見・早期治療によって、治癒が望めるがんのひとつです。早期発見・早期治療によって重症化を防ぎ、QOLの維持に努めていただきたいと思っています。

当院には、セカンドオピニオンにいらっしゃる方も少なくありません。ほかの病院でロボット支援手術が難しいと判断された方でも、当院では手術できる可能性もあります。より負担の少ない手術を実現しようと日々尽力していますので、ぜひ一度ご相談いただきたいと思います。

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  • NTT東日本関東病院 泌尿器科 部長、ロボット手術センター センター長

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