編集部記事

大腸ポリープは切除したほうがいいの? ~切除の方法や内視鏡治療・外科手術の特徴を解説~

大腸ポリープは切除したほうがいいの? ~切除の方法や内視鏡治療・外科手術の特徴を解説~
大圃 研 先生

NTT東日本関東病院 消化管内科・内視鏡部 部長

大圃 研 先生

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

大腸ポリープとは、大腸の最表面にある“大腸粘膜”にできるいぼのような病変の総称です。さまざまな種類がありますが、その中でも切除する必要がある大腸ポリープとはどのようなものなのでしょうか。

大腸ポリープを切除することは、悪性であればがんそのものの治療となり、良性であれば大腸がんを予防することにつながります。

大腸ポリープの種類はその性質によって大きく“腫瘍性(しゅようせい)”か“非腫瘍性(ひしゅようせい)”に分けられます。大腸がん、または大腸がんになる可能性があるものは“腫瘍性ポリープ”に分類されます。腫瘍性ポリープは、がん化していない良性腫瘍の段階であっても、将来的にがん化する可能性があるため、基本的には切除が推奨されます。

ポリープの大きさとしては、6mm以上は切除が推奨されており、5mm以下でも必要に応じて切除を行います。ポリープが大きくなるにつれ、がんである可能性は高くなっていきます。

大腸ポリープの治療法には大きく内視鏡治療と外科手術があります。

大腸ポリープの治療ではまず体の負担が少ない内視鏡治療が考慮されますが、形態上内視鏡治療が難しい場合や、がんの疑いがあってより広い範囲を切除する必要がある場合は外科手術が必要になります。

内視鏡(大腸カメラ)を肛門(こうもん)から挿入し、内視鏡の先端から道具を出して大腸の内側から病変を切除する治療法です。おなかを切る必要がないため体への負担は少ないです。内視鏡治療にはいくつか種類があり、代表的なものには“内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)”、“内視鏡的粘膜切除術(EMR)”、“内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ)(ESD)があります。

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)

ポリープの根元に“茎”と呼ばれるくびれがある場合に用いられる方法です。ポリープの茎に金属製の輪(スネア)をかけ、電流を流して切り取ります。

最近では、電流を流さずに病変を切除するコールドポリペクトミーという方法も広く使用されるようになってきています。これは、がんの疑いがない小さなポリープに対して適応になります。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

茎をもたない平坦なポリープに用いられる方法です。粘膜の下に生理食塩水などを注入し、病変を浮き上がらせてスネアをかけ、電流を流して切り取ります。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

上記2つの方法で一度にまとめて取り切れないような、大きなポリープに用いられる方法です。粘膜の下に生理食塩水やヒアルロン酸ナトリウムなどを注入し、病変のまわりを電気メスで少しずつ切って、病変をはぎ取っていきます。難易度の高い治療法です。

おなかを開いて病変や周囲のリンパ節を切除する治療法です。がんであり、その範囲が大きかったり周りのリンパ節への転移が疑われたりする場合は、内視鏡では取り切ることが難しいため外科手術の適応になります。また、初回治療で内視鏡治療が選択された場合であっても、切除した腫瘍ががんで、ある程度進行していた場合には、あらためて追加の外科手術が必要になることもあります。

大腸自体が排泄などのための重要な役割を持っていることはもちろん、大腸の周りには排尿機能や性機能に関わるさまざまな器官や神経があります。大腸がんで外科手術を行う場合はこれらの機能を可能な限り残せるようにしますが、大腸がんの進行度や大腸がんができる部位によっては機能が損なわれ、人工肛門(ストーマ)などの造設が必要になることもあります。

大腸ポリープを切除した後の生活は、どのような治療を受けたかによって異なります。

内視鏡治療の場合は大腸の機能が大きく損なわれることはないため、切除方法にもよりますが治療翌日から長くても1週間程度で治療前と同じような生活を送ることができます。内視鏡治療は安全性が高い治療ですが切除部位から出血が起こったり、まれに大腸に穴が開いてしまう穿孔(せんこう)が起こったりすることもあります。

外科手術を行った場合は、リハビリテーションを行ったうえで手術前の日常生活を送るまでに数か月程度必要になることもあります。大腸を手術した場合はおなかが緩くなったり、頻繁に便意を感じたりすることが多くなる場合もあります。ストーマを作った場合は、入院時に取り扱い方法を練習したうえで日常生活に戻ります。食事の制限は基本的にはありませんが、外科手術を受けてしばらくは食べ過ぎたり消化の悪い物を食べたりすることは避けたほうがよいとされています。

大腸ポリープのうち腫瘍性ポリープは内視鏡治療または外科手術による切除が推奨されます。ポリープが良性またはごく初期のがんであれば、より体にやさしい内視鏡治療が可能です。内視鏡治療は体の負担も少なくて済むため、がん検診などで早期に発見することが大切です。

大圃先生に直接相談

NTT東日本関東病院 消化管内科・内視鏡部 部長

こんなありませんか?

Check!
  • 大腸ポリープの治療を検討している
  • 治療法について不安がある
  • 治療費について不安がある

大圃先生に
直接相談してみましょう!

ビデオ通話で直接相談

医師の詳細ページへ︎

    関連の医療相談が29件あります

    ※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。

    「大腸ポリープ」を登録すると、新着の情報をお知らせします

    処理が完了できませんでした。時間を空けて再度お試しください

    「受診について相談する」とは?

    まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
    現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。

    • お客様がご相談される疾患について、クリニック/診療所など他の医療機関をすでに受診されていることを前提とします。
    • 受診の際には原則、紹介状をご用意ください。
    実績のある医師をチェック

    大腸ポリープ

    Icon unfold more