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大腸ポリープにはどんな種類があるの? ~がん化の可能性があるものと、そうでないものの違いとは~

大腸ポリープにはどんな種類があるの? ~がん化の可能性があるものと、そうでないものの違いとは~
小山 文一 先生

奈良県立医科大学消化器・総合外科(中央内視鏡部) 病院教授

小山 文一 先生

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ポリープとは粘膜の表面が盛り上がってできる病変を指す言葉で、大腸粘膜にできるものを大腸ポリープと呼びます。大腸ポリープは性質の違いによりいくつかの種類に分けられ、大きく腫瘍性(しゅようせい)非腫瘍性(ひしゅようせい)があります。基本的には良性の場合が多いですが、中には悪性のものや、将来的に悪性化するリスクがあるものもあります。それでは、どのような種類の大腸ポリープが治療の対象となり、どのように診断されるのでしょうか。

大腸ポリープができる原因にはさまざまなものがありますが、食生活やそのほかの生活習慣、腸の炎症などが原因となると考えられており、50歳以上に発生しやすいとされています。また、遺伝の影響もあるとされており、体質的にポリープができやすい人もいます。

大腸ポリープは特徴によって複数の種類に分けられます。“良性”と呼ばれ、特に害がないものと、悪性化してがんになるものがあります。

大腸ポリープのほとんどは自覚症状がないため、がん検診などで発見し、治療が必要な種類のポリープかどうかを確かめることが大切です。

大腸ポリープは、大きく腫瘍性または非腫瘍性に分けられます。

大腸ポリープの多くを占めるタイプで、良性腫瘍と悪性腫瘍(がん)に分けられます。良性腫瘍の多くは“腺腫”と呼ばれるもので、大腸ポリープの約80%はこの腺腫であるともいわれています。腺腫は放置していると悪性化してがんになる可能性があることが知られており、腺腫が大きいほど、がん化するリスクが高くなります。

腺腫で治療を要する大きさの目安は医師の判断によって異なりますが、一般的には“6mm以上”が目安となります。5mm以下の腺腫性ポリープは経過観察も許容されますが、将来的にはがん化するリスクがあるため、定期的な経過観察が必要です。5mm以下であっても形がいびつである、がんとの区別が難しいなどの場合は内視鏡治療の対象となります。

悪性腫瘍(がん)の場合は、内視鏡治療または外科手術による切除が必要になります。

腫瘍性に当てはまらないポリープのことで、炎症性ポリープ、過形成性ポリープ、過誤腫性ポリープなどがあります。

炎症性ポリープは潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)クローン病など、腸に強い炎症をもたらす病気に引き続いてできるポリープで、過形成性ポリープや過誤腫性ポリープは正常組織の過剰増殖によってできるポリープです。いずれもがん化することはまれとされています。非腫瘍性ポリープの多くは治療の必要がありませんが、出血や腸重積の原因となる場合は内視鏡治療が行われます。

大腸ポリープの中でも腫瘍性ポリープはがん化するリスクがあり、発見されれば早めに切除する必要があります。発見されたポリープがどのような種類に該当するかは、内視鏡や病理検査などで調べなければなりません。

まず重要なことは、腫瘍性ポリープと非腫瘍性ポリープの鑑別です。これらの鑑別は、病変に青い色素を散布し、着色の様子を内視鏡で拡大して観察する“色素内視鏡検査”によって調べることができます。また、表面に特殊な光を当てて内視鏡で観察する方法もあります。

腫瘍性ポリープであることが分かった場合、それが良性であるか悪性(がん)の疑いがあるかを鑑別します。良性か悪性かは内視鏡で拡大観察することである程度分かりますが、確定診断のためには病変を切除して病理検査を行う必要があります。

良性腫瘍であることが明らかな場合や、がんが疑われてもサイズが小さい場合などは、ポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ないしきょうてきねんまくかそうはくりじゅつ)(ESD)と呼ばれる方法で内視鏡下での病変切除を行います。サイズが大きい悪性腫瘍や周辺に転移が疑われる場合は、外科手術を行います。

大腸ポリープの多くは腫瘍性の腺腫であり、がん化するリスクがあります。ポリープがあっても症状が出ないことが多いため、早期に発見できるよう定期的にがん検診を受けるとよいでしょう。また、検診などで大腸ポリープを指摘された場合は、速やかに適切な診断や治療を受けるようにしましょう。

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