性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスが性器に感染することによって引き起こされる感染症です。主に性行為によって感染し、パートナーとの接触後2~10日の潜伏期間を置いて性器に水疱や痛みを伴う潰瘍(ただれ)が出現します。性器ヘルペスの治療は、抗ヘルペスウイルス薬と呼ばれる薬物治療が中心となります。この記事では、抗ヘルペスウイルス薬による治療や治療を受けるための受診の目安について紹介します。
性器ヘルペスには、初めての感染(初感染)と、治癒後に体内に潜伏していたヘルペスウイルスの再活性により再び性器に水疱や潰瘍が出現する“再発”があります。一般的に、初感染は激烈な痛みを伴う多発潰瘍や発熱が特徴です。一方で再発の場合、痛みを感じますが1~3個の潰瘍を認めるのみで多くは軽症です。また、初感染、再発にかかわらず性器病変や自覚症状の程度に個人差があるのが特徴です。
このため、初感染時に必ず症状が現れるとは限らず、免疫低下などをきっかけとして初めて症状が現れる場合もあります。再発であれば初感染での症状の有無にかかわらず症状が軽く、治癒までの期間も短くなることがほとんどです。
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)または単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2)が性器に感染することによって起こる病気です。性器ヘルペスは、性器に感染した後に腰仙髄神経節と呼ばれる腰背部の神経に潜伏感染することがあり、症状が治まったとしても何らかのきっかけで再発することが特徴です。
性器ヘルペスの治療は抗ヘルペスウイルス薬による薬物治療が中心となります。性器ヘルペスの症状は初発か再発かによって症状の強さや治りやすさが異なるため、症状に応じて薬の使用方法を決定します。
また、再発を繰り返す場合は、前駆症状を感じた段階で抗ヘルペスウイルス薬を短期間内服する早期短期治療や抗ヘルペスウイルス薬を継続的に内服して再発を防ぐ再発抑制療法が選択できます。
性器ヘルペスの治療は、抗ヘルペスウイルス薬を使用します。抗ヘルペスウイルス薬はヘルペスウイルスの増殖を抑える効果があるため、症状の悪化を防いだり治癒を早めたりする効果があります。しかし、一度神経節に入りこんだヘルペスウイルスを完全に取り除くことはできないため、再発を完全に防ぐことはできません。
なお、抗ヘルペスウイルス薬は病院での医師の診察に基づいて処方されます。そのため、ドラッグストアや薬局などで処方箋なしで入手することはできません。
初発とは、初めて症状が現れた場合をいいます。通常は抗ヘルペスウイルス薬の経口薬を5~10日間服用します。重症の場合は、入院して抗ヘルペスウイルス薬の点滴薬を7~10日間使用することもあります。
再発とは、神経節に潜伏感染していたヘルペスウイルスが疲労や月経などをきっかけに再活性して再び性器に潰瘍や水疱が現れることです。基本的な治療方法は初発と同じで、抗ヘルペスウイルス薬の経口薬を服用します。
軽症の場合は、抗ヘルペスウイルス薬の軟膏剤で治癒することもありますが、経口薬が第一選択になります。なお、経口薬を使用する場合は、発症してから1日以内に服用を開始しなければ十分な効果を得ることができません。
再発を頻回に繰り返す場合は早期短期治療や再発抑制療法が選択できます。
再発時は水疱や潰瘍が出現する前に前駆症状と呼ばれる患部の違和感やピリピリとした軽い痛みを感じることがあります。これらの前駆症状の時点で抗ヘルペスウイルス薬を内服すると、再発後の症状軽減や治療期間を短縮することが期待できます。
基本的に、抗ヘルペスウイルス薬は症状が現れたときに使用しますが、年6回以上再発を繰り返す場合は抗ヘルペスウイルス薬を毎日服用して再発を予防する再発抑制療法が行われます。
性器ヘルペスの主症状である、かゆみを伴う水疱や疼痛を伴う潰瘍に気付いた場合は、女性であれば産婦人科、男性であれば泌尿器科の受診を検討しましょう。
症状の強さは人によって異なるため、違和感程度の症状にとどまることも少なくありません。しかし、症状が軽くても患部からヘルペスウイルスが放出されており、気付かないうちにパートナーに感染させていることもあります。少しでもおかしいと感じたら性活動を控え、医療機関を受診することが大切です。
また、性器ヘルペスの感染が明らかになった場合、パートナーも感染している可能性があるため、パートナーにも受診を促すようにしましょう。また、妊娠中の発症は、タイミングによっては母子感染を起こすことがあるのでかかりつけの産科医に相談してください。
性器ヘルペスの治療は抗ウイルス薬の使用が基本となります。性器ヘルペスはいったん治癒しても再発することが多く、症状が出ているときはもちろん、症状が出ていないときでもパートナーへ感染させるリスクがあるといわれています。
パートナーへの感染を防ぐためにも、適切に治療を受けるとともに日頃から性感染症予防に努めることが大切です。
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