院長インタビュー

低侵襲にこだわる脊椎内視鏡下手術に全国から患者さんが集まる、岩井整形外科病院

低侵襲にこだわる脊椎内視鏡下手術に全国から患者さんが集まる、岩井整形外科病院
岩井 宏樹 先生

医療法人財団 岩井医療財団 理事長、医療法人財団 岩井医療財団 岩井整形外科病院 院長

岩井 宏樹 先生

目次
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JR小岩駅南口から徒歩で約5分という好立地にある岩井整形外科病院は、脊椎内視鏡を使った脊椎の手術や、なるべく固定術を選択せず除圧術での治療を心がけるなど、どうしても痛みを伴いがちな整形外科の治療において可能な限り低侵襲(体に負担が少ない)な治療を提供するべく長年取り組んでいます。
同院の実際の治療内容やそのメリットについて、理事長の岩井 宏樹(いわい ひろき)先生にお話を伺いました。

岩井整形外科病院は岩井医療財団の病院の1つで、当法⼈には低侵襲な内視鏡下脊椎⼿術(FESS)を專⾨とする岩井FESSクリニック(江戸川区小岩)や、稲波脊椎・関節病院(品川区東品川)などがあります 。当法⼈はまもなく創⽴100周年の節⽬を迎えますが、千葉県銚⼦の診療所から始まり、祖⽗の代に⼩岩に総合病院が創設され、その後⽗の代に整形外科の專⾨病院に改編され、現在の岩井整形外科病院になりました。

当院の強みは、私の理念でもある“自分が受けたい整形外科の治療を提供する”の実践に真摯に取り組んでいることです。私が受けたい治療とは、なるべく最少の治療箇所に、できるかぎり低侵襲な治療を行って痛みやしびれを軽減することです。
その実践のために、当院では脊椎に対する内視鏡下手術、その中でも除圧術での治療を重視しています。

当院で診察している脊椎疾患である椎間板ヘルニア脊柱管狭窄症では、神経が圧迫されて痛みやしびれが出ます。症状が強く、手術治療に至った場合の選択肢は、神経への圧迫を取り除く除圧術と、それに加え背骨をネジ(ボルト)で固定してしまう固定術とがあります。当院では後者である固定術に至る割合が現在は約1割程度ですが、除圧術での効果を最大化させ固定術を回避するのは簡単ではありません。

まずは手術前にどの神経が圧迫されているかを確認をするためにMRIやCTを使った画像診断を行います。痛みやしびれというのは不思議なもので、神経が圧迫されていば症状が必ず出るわけではなく、圧迫が強ければ強いほど症状が強くなるわけでもありません。また、圧迫されている部分が3〜4箇所など複数あることも多く、そのうちのどの場所での神経の圧迫が、痛みやしびれにつながってるかは画像だけでは分かりません。そこで痛みやしびれがでている場所からどの神経が原因となっているか当たりをつけ、その神経にブロック注射(痛みのある部位の神経付近に麻酔薬を注射することで痛みを取る)を行います。ある程度の効果があればそこに原因があると推定し、ピンポイントで手術をして取り除くという治療を行います。症状等によって複数箇所手術を行うこともありますが、基本はこのように現在の症状と関連している部位のみ手術をしています。症状が現れていない神経には圧迫が一定以下であれば手を付けませんが、症状が出現することは多くはないため、こうした方針で行っています。

除圧術の手術は、昔は患部まで大きく開いて目視して治療を行っていましたが、患者さんの負担が大きく退院まで時間もかかります。現在では、患者さんへの負担が少なく社会復帰の早い内視鏡下の手術が主流となっています。

しかし、先ほどの説明の通り、内視鏡下でピンポイントの⼿術を⾏うには原因となっている圧迫部分を経験に基づき正確に⾒極める必要があります 。当院では経験豊富な医師がこれを⾏っており、全国より多くの患者さんが来院されています。その結果多くの⼿術件数となっていますが、⼿術の適応が⽢いからではありません。日本整形外科学会の集計では、2021年の日本での脊椎内視鏡下手術の約15%は当法人が行っていました。この内視鏡下手術は脊椎だけでなく、頚椎のヘルニアや頚部脊柱管狭窄症でも同様に行っています。

また、当院の内視鏡下手術は国外からも評価されており、海外から医師が常に見学や研修に来ています。

当院では脊椎や頚椎への内視鏡下手術だけでなく、膝関節や股関節の治療でも実績を積んだ医師が治療を行っています。とくに人工膝関節置換術では2024年から手術支援ロボットを導入し、より正確で低侵襲な手術が可能になりました。また、姉妹病院である稲波脊椎・関節病院では前十字靭帯再建術でこれまでの症例数が4,000件にもなる医師、または2024年4月より新たなスポーツ整形外科の専門医師が加わり、充実した体制で診療を行っています。

このような当院の陣容や実績から、患者さんは東京都内だけでなく、北海道から沖縄まで遠方にお住まいの方も数多くいらっしゃっています。

当法人は2023年度だけでも38題の学会発表、15本の論文発表を行うなど、整形外科の專門病院として学会活動や研究を重視しています。

また、新しい術式の開発や普及にも熱心に取り組んでいます。例えば、これまでの脊椎の内視鏡下手術は1つの孔から手術を行っていましたが、海外では2つの孔を開け、1つは内視鏡を、もう1つは鉗子などの医療器具を入れる、より操作性の高い手術法(UBE/BESS)が広まり始めています。当法人では医療器具メーカーと共同研究を行い、この術式専用のスコープを開発して2022年12月に認可を受けることができました。

当法人は、2019年4月に日本の医療機関として始めてGCNJ( グローバルコンパクトネットワークジャパン)に加盟しました。GCNJの加盟団体は、SDGsの17の目標に関する具体的な活動を求められています。当院ではたとえばSDGsの目標のNo.3「すべての人に健康と福祉を」やNo.9「産業と技術革新の基準を作ろう」の取り組みとして、低侵襲な医療の提供を追及するための手技開発、画像データ分析へのAIの活用を行っています。

繰り返しになりますが、私は自分が受けたい医療を実践するのが大切だと思っています。当院は現状ある機器や方法で最良と考えられるものを提供していますが、それでもすべての痛みやしびれを治すことはできません。しかしこのような場合でも、できる限り患者さんの苦痛を取り除くために寄り添い手を尽くしますので、整形外科の疾患でお困りの方はぜひいらっしゃってください。

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  • 医療法人財団 岩井医療財団 理事長、医療法人財団 岩井医療財団 岩井整形外科病院 院長

    岩井 宏樹 先生

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