院長インタビュー

“最後の砦”として地域住民の拠り所となる病院を目指す――中津市立中津市民病院

“最後の砦”として地域住民の拠り所となる病院を目指す――中津市立中津市民病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

目次
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大分県中津市にある中津市立中津市民病院は、20万人以上の医療圏を支える市民病院です。高度医療、救急医療、周産期・小児医療を中心に、地域医療の要として診療科の拡充や新たな医療機器の導入を積極的に進めています。

同院の地域での役割や今後について、院長である折田 博之(おりた ひろゆき)先生に伺いました。

外観
病院外観

当院は、大分県北部地域を中心に、隣接する福岡県京築地域も含め20万人以上の医療圏の中核的な病院として地域住民の方々の健康を支えています。

近年、当地域では企業誘致が進み、若年層の人口も維持されている一方で、超高齢者の増加も見込まれることから、周産期・小児医療から高齢者医療までの幅広い医療需要に応えられるよう体制を整えています。

当院は現在、大分県がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センター、災害拠点病院、地域医療支援病院などの指定を受けており、主に地域の高度医療、救急医療、周産期・小児医療を守ることを責務としています。

外来待合
外来待合

“病む人の身になって”という理念のもと、安全で質の高い医療提供を目指し、地域の皆さまの拠りどころとなれるよう、新たな医療機器などの導入も積極的に行いながら医療体制の強化に取り組んでいます。

2000年に設立された当院は、大分県北~福岡東部地域で唯一の公立病院として地域医療に貢献してきました。地域のニーズに合わせて診療科や病棟を増やし、2019年にはリハビリ病棟と緩和ケア病棟を開設しました。さらに、2021年には2階北病棟を増設し、当初は緩和ケア病棟としていましたが、その後、地域包括病棟、コロナ病棟と状況に合わせ変化していき、現在では救急病棟として運用しています。

近年新たに腎臓内科の診療を開始したことに加え、2024年には救急科、臨床腫瘍科、肝臓内科、呼吸器内科の体制も整えました。また、2025年2月からは手術支援ロボット(ダヴィンチ)による手術の開始も予定しています。

地域の皆さまに充実した高度医療を提供できるよう、今後も診療体制のアップデートを図ってまいります。

バイオクリーンルーム
バイオクリーンルーム

前述のとおり、当院は地域周産期母子医療センターの指定を受けており、NICU(新生児集中治療室)を備え、ハイリスクな妊娠・出産にも対応しています。この地域では、ハイリスクな妊娠や、緊急の帝王切開などに対応できるのは当院のみであるため、地域における重要な役割の1つであると考えています。

分娩手術室
分娩手術室
NICU
NICU

小児医療においてもこの地域で唯一、小児の入院治療ができる病院として大きな役割を果たしています。小児科に加え、小児外科を有することも特徴です。また、救急体制も整えており、当院での救急の受け入れに加え、近隣の医療施設のご協力のもと、中津市立小児救急センターも運営しています。

小児外来
小児科外来

診療においては、近年増加傾向にある子どものアレルギー疾患に力を入れています。当院では、アレルギー物質を少しずつ体内に取り入れ、徐々に症状を緩和することを目指す減感作療法を取り入れています。医師とともに専門の看護師や管理栄養士が連携して対応しており、充実した体制で診療を行えていると自負しています。

2025年2月より開始予定の手術支援ロボット・ダヴィンチによる手術では、まず直腸がん胃がんの手術への導入を予定しています。その後は体制が整い次第、他の診療科でも積極的にロボット支援下手術の導入を進める計画です。ロボット支援下手術で、より低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ない)かつ精度の高い手術の提供を目指してまいります。

また2024年8月から、がんゲノム連携病院の指定を受けており、がんゲノム検査を開始しました。以前は、ゲノム医療を望む方がいた場合には他院へと連携し、検査の段階からご紹介を行っていました。しかし、ご紹介先の病院が遠方となると、検査を受けることを諦めてしまう方もおり、とてももどかしく感じていました。

今後は当院でもゲノム検査を受けていただけるので、患者さんの治療の選択肢を増やすことにもつながるのではないかと考えています。

当院は、地域の二次救急医療機関として24時間365日体制で診療にあたり、高齢者から小児まで幅広く救急医療に対応しています。救急科の新設など救急体制の強化により、以前の救急受け入れ件数は年間で約2,200件ほどでしたが、ここ数年で年間3,500件近くまで増加しています。

当院がこの地域の“最後の砦”という意識のもとで、可能な限り断らず受け入れる方針を貫いています。救命の機会を逃さず地域の皆さんの命を守るため、今後も救急医療体制の充実に全力を尽くしてまいります。

当院は、地域の皆さまが安心して子どもを産み、そして高齢者になっても安心して暮らしていけるよう、拠り所となり寄り添っていける病院でありたいと考えています。そのためには、地域の医療を守っていくための努力が必要です。

当院では、医師はもちろんコメディカルスタッフの技術向上にも力をいれて取り組んでいます。また、常に高度医療を提供できるよう医療機器の充実を図り、新たな機器の導入も積極的に行ってまいります。

今後も地域の医師会、病院やクリニックの先生方との連携を取りながら、地域の皆さんに高度医療を提供できる最後の砦となれるよう、引き続き診療体制の拡充を図ってまいります。

*写真提供:中津市立中津市民病院

*診療科や医師、提供している医療の内容等の情報は全て、2024年12月時点のものです。

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