泉大津急性期メディカルセンターは、2024年12月に開院した高度急性期病院です。大阪・泉州地域における医療の再編・統合のなかで、急性期医療の中心的な役割を担う病院として誕生しました。
既存の公立病院と民間病院の枠を超えた新たな挑戦として注目を集める同センターの成り立ちや特徴、地域における使命について、院長の竹内 一浩先生にお話を伺いました。
泉大津急性期メディカルセンターは、旧・府中病院と泉大津市立病院の再編・統合によって新設されました。かつては急性期機能を持つこの2つの中規模病院が2km圏内に存在し、競合と協力のなかで地域医療を支えてきましたが、地域医療構想のもと未来を見据え、持続可能な体制へと転換する必要がありました。
そこで全国的にも珍しい“2つの病院を3つに分ける”という再編スキームが採用され、泉大津急性期メディカルセンター(高度急性期)、府中病院(回復期リハビリテーション・地域包括ケア)、泉大津周産期小児医療センター(小児・周産期)という明確な機能分化が実現しました。
300床を有する泉大津急性期メディカルセンターでは、府中病院から多くの職員が移動し、急性期医療に専念する体制が整えられています。
開院に際し、新たに導入されたのが放射線治療機器です。特に“サイバーナイフ”は、大阪府内では大阪大学医学部附属病院のみの1台体制でしたが、当センターでの導入により2台体制となりました。高精度かつ短期間での放射線治療が可能となり、がん診療の低侵襲化(体への負担が少ないこと)に貢献しています。
さらに、府中病院にはなかった心臓血管外科が新設され、循環器内科との連携体制が整いました。呼吸器外科にも新たな医師が加わり、婦人科、泌尿器科、消化器外科と合わせて、ロボット支援下手術の対象も広がっています。
当センターでは、循環器系や脳神経系の診療科、外科が診療の中核を成しています。いずれも救急搬送や緊急対応の現場で重要な役割を果たす診療科であり、地域の急性期医療を支える柱としての機能を担っています。
中でも循環器系の診療体制は、新設された心臓血管外科と循環器内科の連携によって大きく強化されました。心臓血管外科には常勤医3名が在籍(2025年8月時点)し、心筋梗塞や大動脈疾患といった重篤な病気にも対応できる体制が整っています。
脳神経系の病気を診療する脳外科・脳卒中センターは、脳卒中や脳血管障害など急性期において時間との勝負となる病態に迅速に対応する体制を備えています。また、外科領域では手術支援ロボット(ダヴィンチ)を用いたロボット支援下手術を含め低侵襲手術を展開しており、がん診療や緊急手術に柔軟に対応可能です。
このように、急性期の対応力を高めるための診療科間の連携や人員配置、医療機器の充実が進められており、病院全体として質の高い医療を継続的に提供できる体制づくりが図られています。
当センターでは多くの病気の急性期医療に特化していますが、小児・周産期の機能は泉大津市立病院が地域周産期母子センターの指定を受けていたこともあり、NICUなど機能を強化して泉大津周産期小児医療センターに集約しました。
少子化の影響や分娩数の減少に伴い、将来的には再検討が必要になる時期が来るかもしれませんが、地域に必要な医療を提供するために今後も市と連携しながら最善を尽くしていくつもりです。
“急性期メディカルセンター”という名称には、当センターが担う役割を明確に伝えたいという思いが込められています。実際、“急性期”と名の付く病院は大阪府内でも数少なく、地域に向けた明確なメッセージ性があると考えています。また、他の医療センターと混同されることがないように、インパクトのある名称にしました。
当センターのことをもっと知ってもらうためにも地域との交流の場を大切にしていきたいと考えており、2025年11月には住民の皆さんに参加いただける『おづMCフェスタ』の開催を予定しています。かつて府中病院で行っていたオープンホスピタルの経験を生かし、地域の団体と連携しながら、キッチンカーの出店や健康関連のブースなど、皆さんに楽しんでいただけるようなイベントになる予定です。なお、フェスタの名前に付けた「おづ」とは泉大津の愛称で、古くから地域の方に親しまれている呼び方です。

泉大津急性期メディカルセンターは、“真の高度急性期病院”として生まれ変わりました。さらに当センターは災害対応にも意識を向けた病院設計がなされており、免震構造や電気・水道・ガスなどのライフラインを72時間確保できるシステムの整備により、災害拠点病院としての機能も将来的に担えるよう準備を進めています。
今後も私たちは他の医療機関と連携しつつ、誰もが安心して受診できる泉州地域全体の医療の中心として、地域に根ざした急性期医療を持続的に提供してまいります。
*写真提供……泉大津急性期メディカルセンター
社会医療法人生長会 泉大津急性期メディカルセンター 院長
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