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息苦しさやむくみは心臓弁膜症の可能性も――早めの受診で早期発見を

息苦しさやむくみは心臓弁膜症の可能性も――早めの受診で早期発見を
八戸 大輔 先生

医療法人 札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック 院長

八戸 大輔 先生

濵 元拓 先生

医療法人 札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック 心臓血管外科 主任部長/MICSセンター...

濵 元拓 先生

目次
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心臓弁膜症とは、心臓の4つに分かれた部屋同士をつなぐ扉の役割を果たしている“弁”が正常にはたらかなくなり、血液の流れが悪くなったり逆流を起こしたりして心臓のポンプ機能に影響を及ぼす病気です。

今回は、札幌心臓血管クリニック 院長 兼 SHDセンター長の八戸 大輔(はちのへ だいすけ)先生と、心臓血管外科 主任部長の濵 元拓(はま げんたく)先生に、心臓弁膜症の症状や原因、検査などについてお話を伺いました。

八戸先生:

心臓は1分間に50~100回程度動いて、1分間に4~6Lほどの血液を全身に送り出し、吸い上げるというポンプ機能を果たしている臓器です。この機能が低下すると、全身に血液を十分に送り出せなくなり、心不全に至ります。酸素不足で息苦しくなったり、血液が行きわたらなくなって倦怠感が生じたり、血液をしっかり吸い上げられないことで足や顔がむくむ、胸に水がたまる、腸のはたらきが悪くなり食欲が低下するといった症状が現れます。

心臓は右心房、右心室、左心房、左心室と4つの部屋に分かれており、血液が通るときはそれぞれの部屋の間にある扉、つまり“弁”が開き、通った後は閉じることで血液の逆流を防いでいます。弁が開きにくくなり血液の流れが悪くなった状態を“狭窄症(きょうさくしょう)”、弁が閉じにくくなり逆流が起きる状態を“閉鎖不全症”といい、両者を合わせて“心臓弁膜症”と呼びます。心臓には“大動脈弁”、“僧帽弁”、“肺動脈弁”、“三尖弁(さんせんべん)”という4つの弁があり、それぞれの弁に狭窄症と閉鎖不全症が起こり得ます。

イラスト:PIXTA
イラスト:PIXTA

八戸先生:

心臓弁膜症が起こりやすいのは、大動脈弁、僧帽弁、そして三尖弁です。この病気は加齢に伴って生じることが多く、特に75歳を超えると加齢変化による発症頻度が増加してきます。

弁によって起こりやすい病態には違いがあり、大動脈弁では加齢によって弁が硬くなり開きにくくなる“大動脈弁狭窄症”が多くみられます。一方で、僧帽弁や三尖弁では弁が完全に閉じなくなる“閉鎖不全症”が起こりやすい傾向があります。閉鎖不全症が起こる原因は、大きく2つのタイプに分けられます。1つは弁を支える“腱索(けんさく)”というひも状の組織が切れるなどして、物理的に完全な閉鎖ができなくなるタイプです。もう1つは、心不全で心臓そのものが拡大する“心拡大”によって、弁が心臓の大きさに合わなくなり閉鎖できなくなるタイプです。なお、三尖弁閉鎖不全症では後者の心拡大によるケースが多くみられます。

心臓弁膜症の大半は急激に起こるものではなく、徐々に進行していきます。特に大動脈弁狭窄症のように加齢で少しずつ弁が硬くなって起こる場合は、進行は緩やかです。しかし、腱索が切れてしまった場合や感染症によって弁が障害を負った場合などは、比較的急激に症状が進行することもあります。

八戸先生:

心臓弁膜症の症状としては、先述の心不全によるものが分かりやすいかと思います。息苦しさ、倦怠感や疲労感、手足や顔のむくみ、就寝中の咳、食欲低下などの症状がある場合は、受診をおすすめします。ただ、比較的急激に進んだときは症状を自覚しやすいのですが、緩やかに進行した場合は変化に気付きにくいかもしれません。ご本人に自覚症状がなくても、ご家族や周囲の方から見て「最近動作が鈍くなった」、「歩くスピードが遅くなった」、「以前は上がれていた階段を上がらなくなった」、「肩で息をしている」といった変化があれば、何らかの症状があると考えて受診を促していただければと思います。気付いた時点で早めに受診し早期発見できれば、重症化予防につながるうえ、合併症のリスクを抑えながら治療することが望めます。

八戸先生:

心臓弁膜症が疑われた場合は、血液検査、胸部X線検査、心電図検査、心臓超音波(心エコー)検査を行って心臓の状態を把握し、診断や治療方針の検討に役立てます。中でも心エコー検査は、体に大きな負担をかけず弁の動きや血液の逆流の有無などを把握できるため、心臓弁膜症の診断には欠かせません。また当院では、治療が必要と判断した方にはCT検査も行っています。

八戸先生:

心臓弁膜症の治療選択肢としては、経過観察、薬物療法、カテーテル治療、外科手術があげられます。

濵先生:

このうち外科手術は、心臓弁膜症に対して古くから行われてきた歴史のある治療法です。機能が低下した弁を生体弁*や機械弁**に取り換える“弁置換術”と、ご自身の弁を修理して機能を回復させる“弁形成術”の2種類に分けられます。外科手術で取り換えた弁や修復した弁は長期的に安定して機能することが確認されており、長く良好な状態を保ちやすいことが特徴の1つです。

また従来、心臓の外科手術では胸の中央を大きく開いて胸骨を切り開く“胸骨正中切開”が行われてきましたが、近年では低侵襲心臓手術(ていしんしゅうしんぞうしゅじゅつ)(MICS)やカテーテル治療の発展により、体への負担を抑えた治療も可能になってきています。

*生体弁:ウシやブタの生体組織から作られた弁

**機械弁:カーボンなどの人工材料で作られた弁

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  • 医療法人 札幌ハートセンター 札幌心臓血管クリニック 院長

    八戸 大輔 先生

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