治療
現在、がんの治療は手術・薬物療法・放射線療法の3つの治療を単独、または組み合わせることによって行われています。
がんの根本的な治療は手術によるがんの切除ですが、がんが発生した位置や進行度などによっては手術ができないことも少なくありません。そのような場合には、がんを縮小させる効果のある抗がん剤や分子標的治療薬などを用いた薬物療法や放射線療法が行われます。また、手術を行った場合でも再発を防いだり、手術前に少しでもがんを縮小させたりするために薬物療法や放射線療法が組み合わされるケースも少なくありません。
薬物療法では、がんの細胞を死滅させる細胞障害性の抗がん剤による化学療法のほか、2000年以降には分子標的薬という治療薬が登場しました。分子標的薬は、がんの増殖に関わる分子にはたらきかけることでがんの増殖を防ぐ治療薬です。化学療法剤と比較すると副作用が少なく、特定の割合で効果を示すといわれています。また、薬物療法にはこのほかにも免疫チェックポイント阻害薬などがあります。
昨今のがん治療では“プレシジョン・メディシン(精密医療)”という考え方が取り入れられており、患者1人1人の体質やがんの特徴に合わせた治療が盛んに行われています。その1つとしてがん遺伝子パネル検査を用いたがんゲノム医療が挙げられます。2019年6月から、がんの標準治療がないか、または終了した患者さんを対象にがんの組織を採取し、次の何らかの薬物療法を探索するために、遺伝子異常を調べる“がん遺伝子パネル検査”を保険診療で実施できるようになりました。
がん治療では、一見同じがんにみえても、効果を示す治療薬が異なるケースがあります。そこで、遺伝子パネル検査により遺伝子の異常を明らかにすることで個々の患者さんに効果のある治療薬を選択することが可能となってきています。
一方、全身に転移が広がっているために治療を行うことでかえって全身の状態を悪化させてしまう可能性があるケースでは、がんによる痛みを緩和して安らかな生活をかなえるための緩和療法なども行われます。
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