治療
禁酒と食事療法
アルコール性肝障害の治療の大前提は、やはり禁酒です。禁酒によって脂肪肝がアルコール性肝炎や肝硬変に進行するのを防ぐことができるのです。
また、アルコール性肝硬変の経過にも大きな影響を及ぼします。ただし、いきなりの断酒や、断酒を継続することは容易ではありません。治療を進めていくにあたっては、本人と主治医だけでなく、ご家族の協力、また精神面にもアプローチしていくことが必要です。
アルコール性肝障害において禁酒とともに重要となるのが、食生活の見直しです。「適正な量のエネルギーを摂取し(過剰なエネルギー摂取をしない)、バランスのよい食事を心がける、脂質は控えめに」を目標として、アルコール性肝障害の方に多い偏りのある食事を改善して、不足している栄養素を補うよう心がけることが重要です。
薬物療法
禁酒初期には不足しているビタミンなどの微量元素の補充治療を行うことがあります。また、多量飲酒を継続してきた場合には禁酒直後に離脱症状(いわゆる禁断症状)が出現することがあります。それを防ぐ目的で、ベンゾジアゼピン系のジアゼパムなどの薬を服用する場合もあります。
病状の進んだ段階である肝硬変の場合には、アルブミンを補う治療を行ったり、腹水や浮腫(むくみ)に対して利尿剤を使用したりします。
重症なアルコール性肝炎の場合には、生命に関わる重篤な状況となることも多く入院安静のうえで点滴を行いながら全身管理を行います。必要に応じて副腎皮質ステロイドという薬を投与することもあります。
アルコール性肝障害を改善させるためには、禁酒を前提として基本的な生活習慣を整えることが重要です。アルコールに対して依存症となっている場合も多いため、生活全体を見直し、十分な運動や睡眠、規則正しい生活リズムを心がけながら、時間をかけて根気強く治療を進めていきます。
主治医の定期受診を続けていくことも非常に大切です。たとえ飲酒してしまい後ろめたい気持ちがあっても、受診を自己中断せず、主治医と相談しながら治療を継続していくことが重要です。
医師の方へ
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