症状
アルコール性脂肪肝
肝臓に異常なほど(肝細胞の30%以上)脂肪が蓄積されてしまっている状態のことを脂肪肝といいます。原因は、主に糖分や脂質、アルコールなどの過剰摂取であり、生活習慣病のひとつであるといえます。
アルコールの過剰摂取で起こった脂肪肝をアルコール性脂肪肝といいますが、症状はほとんどなく健康診断などで指摘されて初めて気づくことが多いです。
しかし放っておくと次第に、アルコール性肝炎やアルコール性肝線維症に進行してしまい、やがて肝硬変や肝がんなどの重篤な病気を起こす可能性があります。脂肪肝は可逆性(原因となっていることを改善すれば元に戻る)の病気ですので、飲酒をやめれば改善が期待できます。
アルコール性肝線維症、アルコール性肝硬変
肝線維症(細胞間質の線維化した病態)が進行し、アルコール性肝障害の最終段階といえる状態となったものがアルコール性肝硬変です。
肝硬変では、腹水(お腹に水が溜まる)や黄疸(体の中にビリルビンという物質が溜まって目や皮膚が黄色くなる)、また消化管に静脈瘤という病変ができ、出血することで吐血を起こしたりします。
また、肝性昏睡といって意識の状態が悪くなることもあります。日本酒で約5合を毎日20年(女性では12~13年)以上飲み続けた場合、約10~30%の人が肝硬変になるとされています。肝硬変は治療が難しい病態ではありますが、まったく回復の見込みがないわけではありません。
アルコール性肝炎、重症型アルコール性肝炎
常習的に飲酒をたくさんする方や大酒家が、急激に飲酒量を増やしたことがきっかけで起こる肝炎ですが、軽症から重症まで程度はさまざまです。
肝硬変に至る場合も多く、症状としては食欲不振、悪心、嘔吐、全身倦怠感、発熱、腹痛などを訴えることが多く、肝腫大や黄疸、腹水を認めます。重症な場合には、昏睡を伴ったり生命が危険な状態になったりすることもあります。
肝がん
アルコール性肝硬変の状態となった肝臓には、肝がんが発生することがあります。肝がんの原因の多くが肝炎ウイルス(B型、C型)によるものですが、アルコールを原因とする肝がんも増加傾向にあり、注意が必要です。
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