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カーニー複合
カーニー複合とは、複数の臓器にまたがる良性腫瘍が多発することで特徴付けられる疾患を指します。心臓における粘液腫は代表的な腫瘍であり、良性腫瘍とはいえ心不全や脳塞栓などを引き起こす危険性をともない...
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カーニー複合かーにーふくごう

更新日時: 2017 年 04 月 25 日【更新履歴
更新履歴
2017 年 04 月 25 日
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概要

カーニー複合とは、複数の臓器にまたがる良性腫瘍が多発することで特徴付けられる疾患を指します。心臓における粘液腫は代表的な腫瘍であり、良性腫瘍とはいえ心不全や脳塞栓などを引き起こす危険性をともないます。種々の内分泌組織に腫瘍が生じることも多く、ホルモン分泌過剰にともなう症状をきたします。皮膚の色素沈着みることも珍しくありません。

カーニー複合は、遺伝子異常が原因で発症することが示唆されています。 日本においては難病指定を受けている疾患であり、国内において30〜40例程度が報告されていますが、全容の解明には至っていないと推測されています。

カーニー複合の治療では、発生部位によっては手術を行うこともありますし、内分泌亢進症状に対しては内服薬を使用することもあります。特に心臓に発生した腫瘍に起因して予後が規定されることが報告されており、注意を払うことが必要です。

原因

カーニー複合の原因は、多くの場合「PRKAR1A」と呼ばれる遺伝子に異常が存在するためと考えられています。PRKAR1A遺伝子は、細胞の増殖に重要な働きを示す「プロテインキナーゼA」と呼ばれる酵素を産生するのに必須の遺伝子です。プロテインキナーゼAが適切に働いている状況では、細胞が適切に増殖することになります。

しかしPRKAR1A遺伝子に異常が存在すると、プロテインキナーゼAが常時はたらくような状況に陥ってしまい、細胞は常に増殖をするようになってしまいます。カーニー複合ではこのような状況を身体の各種臓器で認めるようになり、「腫瘍」が全身各部位で発生することにつながっています。 PRKAR1A遺伝子の異常以外にも、2番目の染色体の一部に異常を示すことからカーニー複合が生じることもあります。しかし、カーニー複合が発症する原因がすべて明らかになっている訳ではなく、今後のさらなる研究が必要な分野です。

カーニー複合は、「常染色体優性遺伝」と呼ばれる遺伝形式で発症することがあります。常染色体優性遺伝とは、両親いずれかが病気を有しており、そのお子さんにも病気が伝播する遺伝形式を指します。また一部のカーニー複合では、こうした家族歴は存在せず、遺伝子の突然変異から発症する「弧発例」です。

症状

カーニー複合の症状は、通常は20歳前後になってはじめて発症するようになります。認める症状としては、全身各種臓器に発生する良性腫瘍、皮膚の色素沈着などが特徴です。

カーニー複合では、心臓に発生する「粘液腫」を認めることが多いです。粘液腫そのものは良性腫瘍であるため、臓器浸潤を起こしたり転移を起こしたりすることはありません。しかし、粘液腫が存在すると血液の流れが障害を受けることから、心不全を引き起こすことがあります。血行動態が完全に閉鎖をされると、突然死を発症することもあります。また粘液腫の腫瘍本体から破片がはがれ落ち、血流に乗り脳梗塞などの梗塞病変を引き起こすこともあります。粘液腫は心臓以外にも、皮膚やそのほか内臓臓器にみることもあります。

カーニー複合では、内分泌組織にホルモン産生腫瘍を発生することがあります。たとえば副腎において腫瘍が発生すると、コルチゾールと呼ばれるホルモンが大量に産生されるようになり、クッシング症候群を発症することになります。

また脳の一部に存在する下垂体と呼ばれる構造物に下垂体腺腫と呼ばれる腫瘍が発生することもあります。たとえば下垂体腺腫が成長ホルモンを産生する場合には、末端肥大症を発症することになります。ホルモン産生腫瘍に関連して、女性化乳房や思春期早発症などを発症することもあります。

カーニー複合では、皮膚に色素沈着を見ることも珍しくありません。ほくろやしみカスのような皮疹が、口回りや眼の周辺、性器に認められます。また青色母斑と呼ばれる皮疹をみることもあります。 

検査・診断

カーニー複合は、全身各種に存在する腫瘍性病変、内分泌機能亢進などを画像検査、血液検査、病理検査などを組み合わせながら診断することになります。心臓にできた粘液腫であれば、心臓に対しての画像検査(たとえば心臓超音波検査)をとおして腫瘍を確認します。

症状に応じては、実際に組織を採取して病理検査が行われることもあります。粘液腫は皮膚にも生じることがあり、この場合は組織採取がより侵襲性が低く、病理検査も行うことが比較的容易です。 内分泌亢進としては、クッシング症候群を認めることがあります。クッシング症候群では特に「デキサメサゾン負荷試験」と呼ばれる検査が重要になります。

また下垂体腺腫に対しては下垂体CTを行ったり、分泌亢進をしているホルモンを血液検査や尿検査で確認したりすることもあります。 このように、カーリー複合では病変に応じた検査がそれぞれ行われます。PRKAR1A遺伝子に異常が存在しているかどうかを確認することもありますが、すべての症例において本遺伝子異常が存在する訳ではない点については留意することが重要です。

治療

カーニー複合の治療は、腫瘍部位によっては外科的な手術が行われますし、内分泌亢進症状に対しては内服薬が適応になることもあります。心臓に出現する粘液腫は、突然死や脳梗塞のリスクとなりえるため、手術にて摘出術を行うことになります。

しかし、腫瘍性病変は再発することもまれではないため、手術後も慎重に経過観察することが重要です。下垂体腺腫に対しても手術適応になることがあります。成長ホルモンが過剰分泌される末端肥大症に対しては、ソマトメジンによる内科的治療方法が選択されることもあります。

カーニー複合では、遺伝性疾患として発症していることもあります。したがって、発症者本人及び家族を含めて、遺伝カウンセリングが必要になることもあります。カーニー複合による影響は、その場限りのものではなく次世代にも生じるため、継続的なサポート体制が必要です。