とぅれっとしょうこうぐん

トゥレット症候群

同義語
トウレット症候群,TS
最終更新日:
2022年01月26日
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2022/01/26
更新しました
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概要

トゥレット症候群とは、「チック」と呼ばれる特徴的な運動や音声が自分の意志とは関係なく突然現れ、繰り返す症状が1年以上みられる病気です。

チックは6歳頃からみられることが多く、複数の種類のチックが消失したり新しく現れたりすることを繰り返します。治療法が確立されておらず、難治性疾患の1つとされています。また、家族に同じ病気を持つ人が多く、男性に多いことも特徴です。

原因

トゥレット症候群の原因について、はっきりとしたことはまだ分かっていませんが、遺伝的要因と環境的要因の両方が関わっていると考えられています。

トゥレット症候群の患者では、大脳基底核と呼ばれる脳の一部分の異常や、ドパミン系、セロトニン系など神経伝達物質の異常が関係していると推測されています。

チックは、ストレスや疲労で出やすくなることがあります。

症状

トゥレット症候群の症状であるチックには運動チックと音声チックがあり、以下のようなものがあります。

  • 単純運動チック:まばたきをする、肩をすくめる、顔をしかめる、首をかしげる など
  • 複雑運動チック:飛び跳ねる、キックする、倒れこむ、叩く など
  • 単純音声チック:意味のない「ん」などの音声を発する、鼻を鳴らす、咳払いをする など
  • 複雑音声チック:場にふさわしくない汚い言葉を発する(汚言)、ほかの人が言った言葉を繰り返す(オウム返し) など

トゥレット症候群の多くは、6歳頃に単純運動チックで始まり、その後単純音声チックが加わります。チックは消失したり新しいチックが現れたりすることを繰り返しますが、10歳頃から複雑運動チックや複雑音声チックがみられる傾向があります。単純チックは思春期を迎える頃には自然になくなることが多いのですが、複雑チックは症状には幅があるものの、その後もみられることが多いです。チックの症状は多くの場合、青年期・成人期までに軽快しますが、一部の人では大人になっても症状が残ることがあります。

また、注意欠陥・多動性障害や強迫性障害などを合併したり、睡眠障害などの生活リズムが乱れたり、衝動的な行動がみられることもあります。

検査・診断

トゥレット症候群は運動チックと音声チックの両方が1年以上にわたって認められるものと定義されます。すなわち、運動チックまたは音声チックのみの場合や、1年以上症状が続かない一過性チックはトゥレット症候群の診断とならず、チック(症)と呼ばれます。

チックの診断は症状と経過から可能なことが多いですが、てんかんなどのほかの病気と区別するために、脳波検査や頭部画像検査(CTまたはMRI)、血液検査、尿検査などが行われることもあります。

治療

トゥレット症候群の治療では、チックの症状と併存症の両方の治療を行う必要があります。チックの症状が軽い場合、特に治療をせずに経過を見ることが多いです。一方、症状が強い場合には薬物療法が行われることがあります。また、合併する症状が生活を困難にすることもあり、それらに対する治療に加え、心理教育や環境調整が必要となることもあります。ストレスや疲労などでチックの症状が出やすくなるため、本人や周囲の人がチックについて知り、社会生活にうまく適応できるよう支援することが大切です。

行われる具体的な治療には、以下のものがあります。

心理教育・環境調整

本人や周囲の人(家族や教師など)が障害の特徴を正しく理解し、社会適応に必要な支援を受けられるようにします。

本人は、小児期から生活リズムを整え、きちんとした歩行を行うことが併存症の発現予防に効果的であると考えられています。

薬物療法

心理教育や環境調整だけでは解決できない場合などに、副作用のデメリットを考慮しながら薬物療法が用いられることがあります。

リスペリドン、アリピプラゾール、ハロペリドールなどの抗精神病薬やクロニジンなどの薬が有効な場合があります。合併症や副作用などを考慮し選択されます。

行動療法

チックと同時にできないような動作を身につけ、チックが出ないようにするハビット・リバーサルと呼ばれる方法を試みることがあります。

外科治療

ほかの治療法で効果がみられない重度のトゥレット症候群に対しては、脳に電極を埋め込んで刺激を与え続ける脳深部刺激療法と呼ばれる外科治療が行われることがあります。

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