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インタビュー

頭頸部がんの頭蓋底手術

頭頸部がんの頭蓋底手術
朝蔭 孝宏 先生

東京医科歯科大学 医学部 頭頸部外科学講座 教授

朝蔭 孝宏 先生

この記事の最終更新は2015年12月30日です。

頭頸部がんのなかでも、特に脳に近い部分に発症してしまうがんは高度な治療技術を必要とします。頭部の奥側にあるため、位置の問題としても、脳に近いという点でも治療は非常に困難です。そういった病気に対応する治療が頭蓋底手術です。東京医科歯科大学朝蔭孝宏先生にお話をうかがいます。

この手術の対象となるがんは、頬の裏側にある上顎洞という空間にできる上顎がんや鼻腔にできる悪性黒色腫というがん、副鼻腔がん、おでこにがんが染み出してしまう前頭洞がん、耳にできる外耳道がんなどです。若年発症の珍しい良性の腫瘍なども対象になります。あまり一般的ではありませんが、特徴としては、脳外科と耳鼻科をまたぐような進行がんや、眼下にできるがんなども脳に浸潤しやすいので、そういった「脳に浸潤しやすいがん」が対象と考えていいでしょう。進行すると脳に影響するという点で、非常に重要な治療となります。これらのがんの治療には、多くの専門家の力を必要とします。

ピンク色の部分は表面に表れるがん、青色の点線は頬や鼻、耳の奥のほうにできるがんの位置

この領域の多くのがんは、鼻の奥、目の奥、頬の奥などへアプローチする必要があるため、まずは脳外科のドクターが開頭して頭蓋骨や鼻腔などを開けます。がんのある場所を見やすくするためです。それからそれぞれのがんの専門家ががん細胞を切除するという流れです。

手術は、頭蓋骨を切る、顔面の骨を切るなどの作業から始まり、脳に近い部分にあるがん細胞や顔の重要な神経のある場所の腫瘍を慎重に切除しなければならず、さらにこの領域は出血も非常に多いため、十数時間に及びます。技術も必要としますし、その十数時間の手術に対応できるドクターやナースの力も不可欠のため、非常に困難な治療といえます。ですから全国でも治療可能な施設が限られているといえます。

がんの性質やステージによっても違いますが、手術後、放射線治療などとセットで行うことによって、より治療効果を高めるケースもあります。

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