症状
住血吸虫は幼虫が皮膚を突き破ってヒトに感染します。感染すると侵入部位にはかゆみや発疹が生じますが、このように住血吸虫によって引き起こされる皮膚炎を“セルカリア皮膚炎”と呼びます。
感染した幼虫は皮膚から血管の中に入り込み、肝臓に到達して成長し、さらに血流に乗ってほかの臓器に移動します。行きつく臓器は虫によって異なり、マンソン住血吸虫と日本住血吸虫は腸管の静脈に寄生し、感染から4週間ほど経過すると発熱、下痢などの症状を引き起こします。
また、虫卵が肝臓に運ばれると肝臓に炎症を引き起こし、感染から時間が経過すると肝臓の腫れや腹水などが生じるようになります。さらに、腸管では粘膜に障害が起こったり、ポリープが形成されたりすることで慢性的な腹痛、下痢、血便などが引き起こされます。なお、日本住血吸虫は脳の血管が虫卵で詰まり、けいれんや麻痺などの神経症状を引き起こすケースも報告されています。
一方、ビルハルツ住血吸虫は肝臓から膀胱に行きついて寄生するのが特徴です。膀胱の壁に多くの卵が産み付けられるため炎症が生じ、血尿や頻尿などを引き起こすばかりでなく、膀胱がんのリスクを高めることも知られています。
医師の方へ
「住血吸虫症」を登録すると、新着の情報をお知らせします