概要
回帰熱とは、ダニやシラミに媒介されることで発症する細菌感染症のひとつを指します。回帰熱を引き起こす病原体はスピロヘータの一種のボレリアで回帰熱ボレリアと呼ばれます。地理的な分布はさまざまで、回帰熱の発症はアメリカ合衆国ロッキー山脈、アフリカ、中南米など世界各地に見られます。日本において回帰熱は、全数把握対象の4類感染症に指定されています。
回帰熱を発症すると、発熱や筋肉痛・関節痛、頭痛、吐き気などを繰り返します。ときに肺炎や心筋炎、脳出血などの合併症を起こすこともあり、死に至ることもあります。治療は、テトラサイクリンを中心とした内科的治療が行われます。回帰熱はワクチンによる予防対策を講じることができない病気のため、対策を講じることが重要です。
原因
回帰熱は、Borrelia recurrentis、Borrelia hermsii、Borrelia miyamotoiなどの細菌による感染症です。原因となる細菌の種類は多岐に渡りますが、アメリカ合衆国ロッキー山脈、アフリカ、中南米など地理的な分布状況を見ると世界各地で異なったタイプのものが流行する傾向にあります。
回帰熱は、基本的にシラミ(Borrelia recurrentisが媒介される)やダニ(その他のボレリア種を媒介する)に噛まれることを原因として発症します。たとえばBorrelia miyamotoiは、シュルツェマダニやパブロブスキーマダニなどマダニの体内に含まれており、病原体を抱えるマダニに刺されることで病原体に感染することになります。日本におけるマダニの病原体保有率は、1~5%ほどであると報告されています。
症状
回帰熱は、原因となるダニやシラミに刺されてからおよそ1〜2週間の潜伏期間を経て病気を発症します。回帰熱には、病原体が血液中に存在して発熱を起こす発熱期と、発熱期が1週間ほど持続した後に一時的に細菌が減少して熱も下がる無熱期があります。無熱期が続いた後、再び発熱期が訪れます。このように回帰熱では、発熱期と無熱期を複数回繰り返すのが特徴です。
発熱期には発熱以外に、頭痛や筋肉。痛・関節痛、悪寒、結膜炎、点状出血、黄疸などが生じます。また中枢神経障害として髄膜炎や脳出血、心筋炎、肺炎などを起こすこともあります。症状が重い場合には死に至ることもあります。
検査・診断
回帰熱が疑われる場合、血液中の細菌量が比較的多い発熱期に採血して検査します。血液検査では、血液を染色して顕微鏡で観察して病原体の特徴的な形態が見られるか調べます。ほかにも、抗原や遺伝子などを検出する蛍光抗体法やPCR法など、別の方法を選択することもあります。
治療
回帰熱では抗生物質による治療が行われます。使用される薬剤としては、テトラサイクリンやエリスロマイシン、ドキシサイクリンなどがありますが、年齢等に応じて使用薬剤を決定します。
回帰熱は、病原体を保有するダニやシラミ等に刺されることで発症するため、こうした虫に刺されないようにするための努力も重要になります。
野外活動を行う際には、長袖や長ズボンを着用して肌の露出を少なくする、サンダルを避ける、帽子や手袋などを着用するなど肌の露出を減らすほか、ディートなどと呼ばれる虫除け剤を含む虫除けスプレーを使用することも、ダニやシラミに刺されるリスク軽減につながります。
医師の方へ
回帰熱の詳細や論文等の医師向け情報を、Medical Note Expertにて調べることができます。
「回帰熱」を登録すると、新着の情報をお知らせします
関連の医療相談が10件あります
寒気と倦怠感
昨日から背中がゾワゾワして、とても寒いです。 入浴後でもすぐに寒くなってしまい、怠くて… 今日も朝からずっと寒気があります。 コタツに入ると寒さと暑さが交互にくる感じです。 先程熱をはかったところ、一瞬37.8になり、その数分後はかってみると36.4とまた低くなりました。 喉の痛みはなく、頭が痛い程度です。 あとは生理中です。 ここのところ、喉がよくかわきます 病院に行くべきでしょうか 行くとなると自分で運転もできず頼れる人もいません
三、四日前から続く痛み
三、四日前から肩から肩甲骨痛みが出ており、今朝熱が38.3度まで上がりました。解熱剤を飲んで一度37.2度まで下がりましたがまた夜になり熱が出てきてます。コロナ禍ということもあり検査キットは買い揃えましたが、病院にいくにしてもどうしたら良いか分かりません
お昼だけ食欲が無い
3年生の息子が、お昼ご飯だけ食欲がなく、どこか悪いのかと心配です。 ただ、食べれないのはお昼だけで、朝ご飯や夜ご飯は普通によく食べています。 元々は少食で、1年生の時は給食を食べ切れた事がほとんどありませんでした。 2年生になって少しずつ完食する日が増えてきて、3年生になってからは、だいたい完食できるようになっていました。 ところが、今日学校の個人面談で、先生から体調の事を心配され、給食を毎回のように残している事が分かりました。 給食の量も、食べきれない子は最初に減らす事が出来るので、減らしてもらっているのに完食できないようです。 面談が終わって、家で子供に聞いてみると、1学期の途中から食欲が無くなり、完食できなくなったようです。 少年野球をやっていて、いつも練習にオニギリを2つ持たせていましたが、いつの頃からか食べ切れなくて残すようになり、今では1つしか持っていきません。 夏の暑い時期だからかと思っていましたが、涼しくなった今でも、やはり食べられないと言います。 給食を食べ切れなくなったのも、同じ位の時期なのかなと思います。 お昼の食欲が無い以外は、すごく元気です。 少し気になるのは、先月に1回、今月に1回、熱は無いのですが、体が怠いと言うので学校を休みました。 その時も食欲は無かったですが、次の日には何事も無かったかのように元気になりました。 朝・晩しっかり食べられているようなら、病気の心配は無いでしょうか?
リンパ及び耳鼻咽喉について
3〜4日前から首や喉に違和感があります。リンパが腫れているのか、扁桃腺が腫れているのかわからないのですが、少し息苦しさがあります。喉自体は痛くないし、熱もありません(36℃台)。首が凝ったような感じがしていて、喉への圧迫感があり、いつもより声も少し出しにくいです。耳にも違和感があります。 最近、胸の痛みや動悸も多かったので、病院へ行き、心臓や肺のCT、レントゲン、血液検査、尿検査を行いました。が、どこにも異常はなく、正常でした。糖尿病などにも該当しないとのことでした。 ですが、ネットで調べれば調べるほど、咽頭のガンや悪性リンパ腫などと関連性があるように思えて、不安になります。 胃腸の消化不良なども起こっており体調はあまりよくありません。 最近は大きいストレスを抱えることが多く、疲労が溜まっていることも自覚しています。それらと関連性があるのかも知りたいです。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。