かいきねつ

回帰熱

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

回帰熱とは、ダニやシラミに媒介されることで発症する細菌感染症のひとつを指します。回帰熱を引き起こす病原体はスピロヘータの一種のボレリアで回帰熱ボレリアと呼ばれます。地理的な分布はさまざまで、回帰熱の発症はアメリカ合衆国ロッキー山脈、アフリカ、中南米など世界各地に見られます。日本において回帰熱は、全数把握対象の4類感染症に指定されています。

回帰熱を発症すると、発熱や筋肉痛・関節痛、頭痛、吐き気などを繰り返します。ときに肺炎心筋炎脳出血などの合併症を起こすこともあり、死に至ることもあります。治療は、テトラサイクリンを中心とした内科的治療が行われます。回帰熱はワクチンによる予防対策を講じることができない病気のため、対策を講じることが重要です。

原因

回帰熱は、Borrelia recurrentis、Borrelia hermsii、Borrelia miyamotoiなどの細菌による感染症です。原因となる細菌の種類は多岐に渡りますが、アメリカ合衆国ロッキー山脈、アフリカ、中南米など地理的な分布状況を見ると世界各地で異なったタイプのものが流行する傾向にあります。

回帰熱は、基本的にシラミ(Borrelia recurrentisが媒介される)やダニ(その他のボレリア種を媒介する)に噛まれることを原因として発症します。たとえばBorrelia miyamotoiは、シュルツェマダニやパブロブスキーマダニなどマダニの体内に含まれており、病原体を抱えるマダニに刺されることで病原体に感染することになります。日本におけるマダニの病原体保有率は、1~5%ほどであると報告されています。

症状

回帰熱は、原因となるダニやシラミに刺されてからおよそ1〜2週間の潜伏期間を経て病気を発症します。回帰熱には、病原体が血液中に存在して発熱を起こす発熱期と、発熱期が1週間ほど持続した後に一時的に細菌が減少して熱も下がる無熱期があります。無熱期が続いた後、再び発熱期が訪れます。このように回帰熱では、発熱期と無熱期を複数回繰り返すのが特徴です。

発熱期には発熱以外に、頭痛や筋肉。痛・関節痛、悪寒、結膜炎、点状出血、黄疸などが生じます。また中枢神経障害として髄膜炎脳出血心筋炎肺炎などを起こすこともあります。症状が重い場合には死に至ることもあります。

検査・診断

回帰熱が疑われる場合、血液中の細菌量が比較的多い発熱期に採血して検査します。血液検査では、血液を染色して顕微鏡で観察して病原体の特徴的な形態が見られるか調べます。ほかにも、抗原や遺伝子などを検出する蛍光抗体法やPCR法など、別の方法を選択することもあります。

治療

回帰熱では抗生物質による治療が行われます。使用される薬剤としては、テトラサイクリンやエリスロマイシン、ドキシサイクリンなどがありますが、年齢等に応じて使用薬剤を決定します。

回帰熱は、病原体を保有するダニやシラミ等に刺されることで発症するため、こうした虫に刺されないようにするための努力も重要になります。

野外活動を行う際には、長袖や長ズボンを着用して肌の露出を少なくする、サンダルを避ける、帽子や手袋などを着用するなど肌の露出を減らすほか、ディートなどと呼ばれる虫除け剤を含む虫除けスプレーを使用することも、ダニやシラミに刺されるリスク軽減につながります。

 

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