症状
妊娠悪阻は妊娠5~8週頃に頻回な吐き気や嘔吐が生じることで体内から水分や電解質が失われ、体を維持するために必要なエネルギーや栄養素を補うことができなくなる病気です。重症化すると体内のさまざまなバランスが乱れ、命に関わることも珍しくありません。さらに、脱水や長期臥床が深部静脈血栓発症のリスク因子となります。
妊娠悪阻は重症度によって三つの段階に分けられますが、それぞれの段階で現れる症状は次のとおりです。
第1期
吐き気や嘔吐が1日を通して頻回に生じ、食事や水分を取ることが困難になります。
体重は減少を続け、脱水や栄養不足に伴い、めまいやだるさ、頭痛などの症状が現れることも少なくありません。このため、外出どころか日常的な家事などもできなくなるケースがあります。
第2期
頻回な嘔吐や、極端な摂食量の不足が続くことで、極度な脱水状態に陥ります。尿量は減少し、皮膚の乾燥や口が渇くなどの症状が現れ始め、血圧の低下や頻脈、発熱などが生じるようになります。
第3期
さらに脱水や栄養不足が進行すると、肝臓や脳に重篤なダメージが加わります。
特にビタミンB1が不足することによって発症する“ウェルニッケ脳症”は妊娠悪阻の重篤な合併症のひとつで、記憶や運動機能に異常が生じます。そして半数以上の方に過去のことを思い出せない、新しいことを覚えられない、作り話をするといった特徴的な症状が現れる“コルサコフ症候群”と呼ばれる後遺症を残すとされています。
また、万が一治療が遅れたり、治療がうまくいかなかったりした場合は、胎児死亡や多臓器不全による母体死亡に至るケースもあります。
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