治療
尿道下裂では、尿道の開口部をもとに戻すことに加えて、曲がった陰茎を真っすぐにすることを目的とした手術が行われます。施設や国によって考え方はさまざまですが、一般的には生後半年から3歳までの間に手術します。なお尿道下裂の手術では、陰茎の大きさが大きいほうが手術の成功率が高くなることから、陰茎の成長が期待できる1歳まで待つ場合や男性ホルモンを投与し陰茎を増大させる場合もあります。
しかし、ある程度の年齢になって自我が芽生えるようになると、自分自身の性器の形が友達と異なることを気にしたり、他人から指摘されてコンプレックスを抱えたりすることもあります。そのため、遅くとも3歳までには手術する施設が多いです。
尿道下裂に対しては、原則余分な包皮を利用して尿道を形成する手術を行いますが、数多くの手術方法が存在し、どの方法がベストか決まった意見はありません。これは、いずれの術式にしても形成した尿道に小さな穴があいたりする術後合併症がありえる比較的難しい手術であり、日本では小児病院や限られた大学病院でしか実施しておらず、各施設とも最も習熟した方法でなされているのが現状だからです。
また、尿道下裂の手術では、術後のケアが長期的に渡ることにも留意する必要があります。たとえば、術後合併症として尿道狭窄などがあり、ひとたび発症すると一生負担がかかることになります。
また、陰茎自体が変形していると排尿状態や膀胱の機能などに影響が出ることもあります。尿道下裂の患者さんが成長すると、自分の陰茎が短い、形が普通と違う、性交渉に支障があるなどの悩みとして抱えることもありえます。そのため尿道下裂の治療では、排尿についての機能面のみならず、こうした点についてもフォローをすることが求められます。
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