ていおうせっかいはんこんしょうこうぐん

帝王切開瘢痕症候群

同義語
帝王切開瘢痕部症候群,CSS
最終更新日:
2023年09月20日
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2023/09/20
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概要

帝王切開瘢痕症候群(ていおうせっかいはんこんしょうこうぐん)とは、帝王切開によって子宮の筋層にできた傷が陥没して瘢痕(傷あと)となり、月経異常などを引き起こす病気です。

通常、帝王切開では子宮の下部を横方向に切開して胎児を娩出しますが、切開した部位が産後にうまく癒着せず、陥没し傷あととして残ることがあります。帝王切開瘢痕症候群は、特に月経終了後に茶色い帯下(おりもの)が出ることが多く、瘢痕の大きさに比例して症状が強く認められる傾向にあります。また、子宮内の傷あとに月経血や粘液などがたまり、着床障害を引き起こして不妊の原因になる可能性もあります。

月経異常などの症状に対しては低用量ピルなどのホルモン療法が行われることがあります。一方、妊娠を希望している場合などには、子宮鏡や腹腔鏡(ふくくうきょう)を用いた手術が検討されます。

原因

帝王切開時に切開した部位が何らかの原因でうまく癒着せず、陥没して傷あととなって残ることが原因です。発症リスクが高まるケースとしては、帝王切開手術を複数回受けている場合や、分娩時に子宮口が開いた後に緊急で帝王切開を行った場合のほか、肥満、妊娠糖尿病などが挙げられます。

症状

帝王切開瘢痕症候群は、子宮筋層が薄くなったり子宮内に月経血や粘液がたまったりして、さまざまな症状を引き起こします。たとえば、月経後に茶色いおりものが出る、月経期間が長くなる、月経痛がひどくなるなどの月経異常が現れることがあります。中でももっとも多く現れる症状は月経後の茶色いおりものです。月経後から数日間続き排卵期に止まることが多いとされていますが、傷あとが大きい場合は20日程度続くケースもあります。

また、子宮内に月経血や粘液がたまって着床障害をきたし、不妊の原因になることもあります。このほか、まれなケースですが子宮の筋層が薄くなるため子宮が分娩に耐えられず、次回の出産時に子宮が破裂するリスクもあります。

検査・診断

帝王切開瘢痕症候群が疑われる場合は、超音波検査や子宮鏡検査などが行われます。

超音波検査では帝王切開部分を確認し、筋層の厚さなどを調べます。また、帝王切開瘢痕症候群では瘢痕組織の増殖や新生血管の形成など正常な組織にはみられない状態が確認できるため、子宮鏡検査を行って確認します。さらに診断後は治療方針を決定するためMRI検査を行うこともあります。

治療

帝王切開瘢痕症候群の治療法にはホルモン療法や手術療法があり、妊娠希望の有無などによって治療法を選択します。

妊娠の希望がない場合には特別治療の必要はないものの、月経異常に対してホルモン療法が行われることがあります。一方、妊娠を希望する場合は、不妊に対する治療や分娩時の子宮破裂の予防などのために手術が検討されます。

ホルモン療法

ホルモン療法では低用量ピルなどが用いられます。

低用量ピルは黄体ホルモンと卵胞ホルモンの2種類の女性ホルモンが含まれる合成ホルモン薬です。子宮内膜の増殖を抑えるはたらきがあり、月経量の減少や月経痛の軽減などが期待されます。

手術療法

妊娠を希望している方で、不妊治療での妊娠が期待しづらい場合などは、子宮鏡下手術や腹腔鏡下手術などの手術療法が検討されます。主に、瘢痕部の筋層の厚さによって手術の方法が決まります。十分な厚さが残っている場合は子宮鏡下手術、厚さが薄い場合には腹腔鏡下手術もしくは開腹手術で行います。

子宮鏡下手術は、入院日数が短く、腹部の傷が生じないといったメリットがありますが、子宮筋層が非常に薄くなっている場合には適していないなどのデメリットがあります。

一方、腹腔鏡下手術では腹腔鏡を用いて薄くなった子宮筋層を切除し、子宮を縫い合わせます。腹腔鏡下で行うことが困難な場合は、開腹手術で行うこともあります。手術方式は患者の状態やメリットとデメリットを踏まえて選択します。

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