症状
急性ウイルス性肝炎の症状は、原因となるウイルスによって大きく異なります。ウイルス性肝炎は、肝炎ウイルスのタイプによって発生頻度は異なるものの、いずれの型でも、急激に肝臓の細胞が壊死して急速に肝機能が低下する“劇症肝炎”に進行し、命を落とすケースもあることが知られています。
A型
食欲不振、倦怠感、腹痛、嘔吐、発熱、下痢、黄疸などがみられます。感染者の約1%は劇症肝炎に進行するとされますが、そのほかは基本的に1~2か月程度すると回復し、慢性肝炎に移行することはありません。
B型
症状は倦怠感や疲労感、食欲の低下から始まり、嘔吐や腹痛、黄疸などが現れます。場合によっては関節炎などが現れることもあります。また、B型肝炎ウイルスに感染したときの年齢や健康状態によって、短期間の感染で回復する“一過性感染”と、生涯にわたって肝臓にウイルスが残り感染が続く“持続感染”に分けられます。特に3歳未満の乳幼児期や出産時に感染すると持続感染に移行しやすいため、注意が必要です。持続感染によって慢性肝炎を発症すると、肝硬変や肝がんに進展する場合もあります。
C型
C型の場合はそのほとんどが無症状です。そのため、気が付かないまま症状が進行する場合が多くあります。感染者の6~8割程度が慢性肝炎へと進行し、さらにそのうちの3~4割程度が時間をかけて肝硬変に進行し、肝がんを合併するケースもあるとされています。
D型
D型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルスがいなければ感染しません。つまり、B型とD型の同時・重複感染となるので、B型単体よりも症状が重くなります。症状としては、食欲不振、倦怠感、嘔吐、腹痛、黄疸などがみられます。B型とD型に同時感染した場合、重症化や劇症化することが多いとされています。さらに、B型慢性肝炎のある患者がD型にも感染する重複感染の場合、肝硬変への進行を約10年早めるとされています。
E型
黄疸や発熱、食欲低下や腹痛などの症状がみられますが、慢性化はしないとされています。ただし、重症度や致死率はA型肝炎より高く、劇症化することもあります。特に妊婦がE型肝炎ウイルスに感染すると劇症化しやすく、命に関わる危険があるため注意が必要です。
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