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B型慢性肝炎

最終更新日:
2024年12月06日
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2024/12/06
更新しました
2018/07/19
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概要

B型慢性肝炎とは、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染して肝臓に炎症を生じ(急性肝炎)、その炎症が6か月以上続くもの(慢性肝炎)を指します。子どもでは母子感染、大人では性行為による感染が多いとされています。

思春期以降にB型肝炎ウイルスに感染しても症状は一過性で、80~90%は炎症が落ち着くといわれています。しかし、残りの10~20%は炎症が継続して慢性肝炎に移行し、長い間肝臓に炎症が生じることで肝硬変肝がんなどの病気に進行する可能性があります。B型肝炎ウイルスが患者に持続感染している場合、体内から完全にウイルスを除去することが難しいため、薬でウイルスを抑え込む治療を行うことがあります。

原因

B型肝炎ウイルスは感染者の血液や体液を介して感染します。具体的には、傷のある皮膚に感染者の血液や体液が付着したり、カミソリや歯ブラシなどを共有したりすることで感染する可能性があります。また、子どもが発症した場合は、B型肝炎ウイルスに感染した母親からの感染(母子感染)であることが多く、成人の場合は性行為が原因であることが多いとされています。

B型肝炎ウイルスに感染しても、全ての人がB型慢性肝炎を発症するわけではありません。感染者の80~90%は一過性に炎症が生じて回復するといわれており、B型慢性肝炎に移行するのは10~20%とされています。特に感染したときの年齢が低いほど慢性化しやすいため、赤ちゃんが出生時に母親から感染した場合には速やかな治療が必要となります。

症状

B型慢性肝炎を発症すると、倦怠感や疲労感、食欲不振、微熱などの症状が生じることがありますが、一般的には目立った症状は現れません。

しかし、進行すると肝硬変肝がんを発症する可能性が高くなります。肝臓の細胞がダメージを受け続けることで肝臓の細胞が硬くなり(肝硬変)、さらに異常な細胞が作られるようになって肝がんを発症すると考えられています。

このような段階になると肝臓の機能が著しく低下するため、黄疸(おうだん)(皮膚や目が黄色くなる)、腹水(お腹に水がたまる)、皮膚表面の血管の拡張、皮下出血などの症状が現れるようになります。また、肝硬変が進むと食道静脈瘤(しょくどうじょうみゃくりゅう)や意識障害を引き起こすこともあり、命に関わるケースもあります。

検査・診断

B型慢性感染が疑われるときは、以下の検査を行います。

B型肝炎ウイルス検査

血液を採取し、B型感染ウイルスに対する抗体やウイルスの抗原の有無、さらにウイルス量(HBV-DNA)を調べます。

肝機能検査

B型慢性肝炎は肝機能の低下を引き起こすため、肝臓の状態を評価する目的で血液検査を行ってASTやALTなどの値を確認します。また、黄疸がみられたときは原因物質であるビリルビンの数値を調べることもあります。

画像検査

肝臓の萎縮や腫瘍(しゅよう)の有無などを確認するために、超音波、CT、MRIなどの画像検査を行うことがあります。

肝生検

肝臓へのダメージの程度を詳しく調べるため、肝臓に針を刺して組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査を行うことがあります。肝生検では慢性肝炎の程度や、肝硬変への進行の有無などを評価することが可能です。

治療

B型慢性肝炎では、ウイルスを体内から完全に除去することは難しいといわれています。しかし、インターフェロンと呼ばれる薬や核酸アナログ製剤と呼ばれる薬などを使ってウイルスの増殖や活動を抑え込むことは可能です。

また、これらの薬を使用しても改善が期待できないなどの場合は、肝炎の進行を抑える肝庇護薬を使う場合もあります。

なお、B型肝炎ウイルスに感染した後に、ウイルスを排除できず持続感染に移行しても、数年~数十年間にわたり肝炎を起こさないことがあります。この状態を無症候性キャリアと呼び、抗ウイルス治療は行われません。抗ウイルス治療は、日本肝臓学会認定の肝臓専門医をはじめ、専門的な知識をもった医師のもとで受けることが望まれます。

予防

B型慢性肝炎を予防するためには、感染者の血液や体液に触れない、性行為をするときは正しくコンドームを使用する、衛生状態が不明な医療機器の使用を避けるなどの対策が必要です。

また、B型肝炎ウイルスに対しては有効なワクチンが開発されています。2016年10月以降には0歳時での定期接種に指定されました。対象者ではない場合でも、医療従事者など他者の血液や体液に触れる機会が多い職に就く人はワクチン接種が推奨されています。

妊婦がB型肝炎ウイルスに感染していることが分かった場合は、出生後12時間以内にB型肝炎ウイルスに対する免疫とワクチンを子どもに投与し、生後1か月目・6か月目で追加のワクチン接種をする必要があります。

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