せいきのうしょうがい だんせい

性機能障害(男性)

最終更新日:
2018年09月27日
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2018/09/27
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概要

性機能障害とは、身体的、精神的な要因から起こる勃起や射精の問題により、性交渉による満足感を得られない状態を指します。性機能障害は男性にも女性にも起こりえますが、性別により病態や症状が異なるため、ここでは男性の性機能障害に焦点を絞って解説します。

男性性機能障害は、大きく勃起障害(別名、ED)と射精障害の2つに分けられます。

勃起障害とは、十分な勃起が得られないことや、勃起しても挿入中に維持できないことによって、満足な性交渉を行えない状態のことを指します。日本での患者数は、重症例と中等症例を合わせると1,100万人を超えるとされ、決して珍しい問題ではなくなっています。

射精障害とは、射精に関するさまざまな障害や問題の総称であり、膣内射精障害、逆行性射精、早漏や遅漏、射精反射がない(精液の放出ができない)といったものが含まれます。このなかでもっとも多いものは、性交渉時のみ射精ができなくなる膣内射精障害だといわれています。

性機能障害はデリケートな問題ですが、近年では治療も進歩しており、納得の行く治療結果を期待できるケースが多いため、早い段階で医療機関を受診することがすすめられます。

原因

男性性機能障害の原因は、心理的な問題や身体的な問題など、非常に多様です。以下は、男性性機能障害の原因の一例です。

勃起障害(ED)

勃起障害は、原因により機能性勃起障害、器質性勃起障害、混合性勃起障害に分けられます。

機能性勃起障害とは、パートナーとの関係性や疲労など、心理的な問題が引き金となって起こるものを指します。近年では、夫婦での不妊治療中に感じるプレッシャーが原因となって起こる排卵日ED(通称)も増えています。

器質性勃起障害は、糖尿病前立腺肥大症など、何らかの体の変化や病気などが原因となって起こる勃起障害を指します。

混合性勃起障害とは、これら両方の勃起障害の特徴をあわせ持っているものを指します。

射精障害

射精障害には膣内射精障害や逆行性射精などがあり、それぞれ原因も異なります。

膣内射精障害の原因のうち典型的なものは、過度に強い刺激を与えるマスターベーションの習慣です。また、不妊治療の一環としてタイミング法を試みる際に、プレッシャーから射精に至らないケースも増えています。

逆行性射精の原因は、自律神経のはたらきや物理的な問題によって、射精時に内尿道口が閉鎖しないことです。たとえば、糖尿病性自律神経障害や、前立腺肥大症手術などがきっかけとなることがあります。

早漏には先天性(生まれつき)のものと後天性のものがあり、後者には心理的な要因が関わっているといわれています。

また、マスターベーション時にも性交渉時にも射精反応が起こらない射精障害の原因には、脊髄損傷高プロラクチン血症、向精神薬の服用などがあるとされます。

症状

性機能障害を定義づける症状は、満足のいく性交渉が行えないことです。満足のいく性交渉に至らない理由として、以下のような症状が起こることが挙げられます。

勃起障害(ED)

性的な刺激があっても十分な勃起を得られなかったり、状態を維持できず途中で萎えてしまったりすることが主な症状です。

勃起時の性器の硬さ(勃起硬度)や、勃起障害が起こる頻度は人によりさまざまです。毎回挿入に至らないケースもあれば、時々(2回に1回ほど)ならば挿入可能というケースもあります。

射精障害

症状は射精障害の種類によって異なります。

膣内射精障害は、マスターベーションでは射精できるものの、性交渉の際に膣内に射精できない状態を指します。また、挿入には至るものの、膣内で萎えてしまうということもあります。

逆行性射精とは、射精したという感覚はあっても精液が体外に放出されないというものです。

早漏には国際的な定義があります。先天性の早漏とは、その日の1回目の挿入後、膣内での持続時間が1分以内のものを指します。後天性の早漏とは、持続時間が3分以内のものを指します。

このほか、マスターベーションでも性交渉でも射精できない、挿入から射精までに長い時間を要する、という症状も、射精障害の主な症状として挙げられます。

検査・診断

問診や血液検査、血圧測定などが行われます。男性性機能障害は、勃起障害と射精障害に大別され、それぞれ原因や状態によってさらに細かく分類されるため、適切な治療のためには正しい診断が重要です。問診の際には、どのようなときにどのような症状が現れているか、精神的な問題や疲労などを抱えていないか、ご自身の状態やパートナーとの関係を医師に詳しく伝えることが大切です。

勃起障害(ED)

勃起障害の場合、IIEF5またはSHIMと呼ばれる指標と、勃起の硬さを評価するEHS(Erection Hardness Score)と呼ばれる指標を使って診断を行います。

IIEF5とは、勃起障害の重症度を分けるために役立つ指標です。最近6か月の勃起や性交渉の状況・満足度・自信・困難感の程度などを自己評価して点数化していきます。

EHSは勃起硬度から重症度を分類できる指標で、性交渉を試みていない場合にも有用です。セルフチェックしやすいよう、勃起硬度をくだものや食品などの硬さにたとえた設問が設けられています。

射精障害

射精障害の種類により、行われる検査も変わります。たとえば、逆行性射精が疑われる場合には、射精後の尿を顕微鏡で観察する検査が行われます。この検査により精子の存在が確認できない場合、逆行性射精であるという確定診断がつけられます。

治療

勃起障害(ED)

ED治療薬を用いた薬物療法が行われます。薬物療法は機能性や器質性といったタイプを問わず実施されています。

糖尿病など、原因疾患が明らかな器質性の勃起障害の場合は、原因疾患に対する治療が行われます。

また、心理的な問題が引き金となっている場合は、カウンセリングなどを受けることで、根底にある問題を解消していくことが大切です。

射精障害

射精障害の種類や原因によって、選択される治療方法は変わります。たとえば、強い刺激を与えるマスターベーションの習慣が原因となっている膣内射精障害の場合は、膣内で受ける刺激と同等の刺激で射精できるよう、専用のトレーニングカップなどを用いた練習をすすめられることがあります。

内尿道口の閉鎖不全が原因となっている逆行性射精の場合は、内尿道口の閉鎖を促す内服薬を用いた薬物療法が試みられます。

心理的な問題が原因となっている早漏の場合は、カウンセリングの実施などが検討されます。また、一部の抗うつ剤が早漏の治療に有効という報告も多いため、薬物療法が行われることもあります。

不妊治療中の男性性機能障害の治療

近年では、夫婦での不妊治療中に、「排卵日に勃起・射精しなくてはいけない」というプレッシャーから起こる男性性機能障害も増加しているといわれています。不妊治療中の場合、男性性機能障害の治療中に、奥さんの加齢という別の問題が生じることも多いため、自然妊娠にこだわらず、人工授精などで赤ちゃんを授かる方法を勧められることもあります。
排卵日のみに起こる勃起障害や射精障害の場合、妊娠という問題が解決することにより改善するケースが多いといわれています。

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