治療
悪性黒色腫の治療では、がんの厚み、リンパ節や他の臓器に転移があるかどうかによって治療方針を決めます。
リンパ節転移のない初期病変の場合は、手術による腫瘍の摘出が第一に選択されます。腫瘍の周囲1cm程度以上の正常皮膚を含めて切除します。切除後の傷の大きさに応じて手術部の近くの皮膚を移植(皮弁)したり、離れた部位から皮膚を移植(植皮)したりします。
がんが多少深く、厚みがある場合には、がんの切除手術に加えて、転移の可能性が高い数個のリンパ節を摘出する手術(センチネルリンパ節生検)を行います。
悪性黒色腫はいったん進行すると急速に転移してしまう特徴がありますが、早期発見・早期診断であれば手術のみの治療が可能です。手術後は、5年間を目安に通院による経過観察が必要です。
リンパ節に転移が認められた場合、これまではがんに加えてリンパ節全体を取り除く手術が行われてきました。これをリンパ節郭清と呼びますが、悪性黒色腫に対するリンパ節郭清は治療効果が生命予後に影響しないとの論文もあり、現在は推奨されていません。必要に応じて抗がん剤による化学療法、放射線治療が行われます。
また、有効性の高い免疫チェックポイント阻害薬を用いたがん免疫療法が保険診療で使用できるようにもなりました。他の臓器へ転移していることが判明した場合、手術、放射線治療、薬物治療を組み合わせた治療(集学的治療)を行います。
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