悪性黒色腫はメラノーマとも呼ばれ、皮膚の色素を作る細胞が悪性化することによって生じる皮膚がんです。「ほくろのがん」と呼ばれ、もともとは白色人種に多いがんとして知られていましたが、近年日本人でも増加傾向にあるといわれています。
悪性黒色腫は足の裏や手のひらなどの皮膚のほか、爪や目、口の粘膜などに生じることもあります。
このページでは、悪性黒色腫が爪に生じた際の特徴やそのほかの発生部位、医療機関を受診する目安などについてご説明します。
悪性黒色腫は爪に生じることもあります。爪に生じた場合は爪の縦の線に沿って黒褐色の筋が現れ、徐々に筋の幅が広くなるのに加えて、色が濃くなり、色むらも出てきます。
さらに進行すると、爪の割れや変形が現れたり、黒色の色素が爪の外まで広くしみ出したりすることもあります。特に爪を超えて指先に色素が広がった場合は注意が必要です。
悪性黒色腫では、体のさまざまな部位にほくろやしみのような病変が生じます。黒色腫という名前から黒い病変がイメージされることもありますが、色は多様で周辺の皮膚と変わらない場合もあれば、淡い紅色や褐色、茶色など黒色ではない病変もあります。
また、悪性黒色腫の種類によって発生しやすい部位(好発部位)が異なります。日本人の場合、足や手などの末端部分に生じやすい末端黒子型の黒色腫が多い傾向にあります。
悪性黒色腫は色や形、好発部位によって4種類に分類されます。
日本人の悪性黒色腫の40〜50%を占めるタイプです。
初期段階では褐色や黒褐色の平坦な病変ですが、皮膚の表面に沿って拡大するとともに色むらが出て、色が均一でなくなり、やがてしこりや潰瘍が生じることもあります。好発部位は足の裏、手のひら、爪などです。
白色人種に多く、日本人でも徐々に増加がみられるタイプです。
初期段階はしみのような病変で、進行とともに皮膚の表面を這うように拡大し、周囲の皮膚との境界が不鮮明となります。また、色むらも出てまだら色に変化し、やがて隆起が目立つようになります。背中などの体幹を中心に発生します。
高齢の患者さんに多いタイプです。
平坦なしみのような病変でいびつな形をしており、色調もまだらであることが一般的です。過度に日光を浴びることによって生じると考えられており、顔など日に当たりやすい部位に生じます。
ほかのタイプよりも進行が早く、転移することも多いタイプです。
当初から黒色やまだら色の隆起した結節状の病変として生じます。体のどこにでも発生する可能性があります。
悪性黒色腫は目の眼球部分にあるぶどう膜や口・鼻・肛門・陰部・消化管などの粘膜部分に発生することもあり、これら粘膜に生じるものを粘膜型黒色腫といいます。
悪性黒色腫のほとんどは体の外側、つまり自分や他人から見える位置に生じます。早期の場合、悪性黒色腫と普通のほくろを自分で見分けることは難しいため、ほくろの大きさや色が変化してきたときなど、気になる病変があれば自己判断せずに医療機関の受診を検討しましょう。
また、爪に生じる黒い筋は必ずしも悪性黒色腫とは限りませんが、筋の幅が徐々に広くなっている場合や爪周辺の皮膚にも黒い色素が染み出している場合などは悪性黒色腫を疑う必要があります。なお、受診する診療科は皮膚科が一般的です。
悪性黒色腫は、遺伝的背景と環境因子が組み合わされて発症すると考えられています。環境因子として考えられるのは、紫外線を浴びることです。
日光が当たる部分の悪性黒色腫を予防するためには、日焼け止めクリームを塗るなどの紫外線対策を行い、過度な日焼けを避けましょう。
ただし、日本人では悪性黒色腫は足の裏や手のひら、爪など比較的日光が当たりにくい部分に多くみられます。これらは物理的な刺激を受けやすい部位ですが、皮膚への刺激がどれだけ発症に関与するかはよく分かっていません。
一見、普通のほくろと同じように見える悪性黒色腫ですが、進行すると転移することも多いがんです。早期発見・早期治療によって治癒率の向上が期待できるため、気になる症状があれば皮膚科の受診を検討しましょう。
また、1年に1回は全身のほくろやしみをチェックし、変化がないかどうか確認するのもよい方法です。
聖マリアンナ医科大学 皮膚科 教授
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