血管肉腫は血管に由来する非常にまれながんです。進行が速く、転移や再発を起こしやすいという特徴を持ちます。また、治療法が確立されていないことから、他のがんと比べても予後はよくありません。では、血管肉腫が生じると余命や生存率はどの程度なのでしょうか。また、どういった治療が行われているのでしょうか。
余命については算出にルールがありません。したがって、いつまで生きられるかということを正確に知ることはできません。
血管肉腫の予後を反映する指標として“5年生存率(診断されてから5年後に生存している割合)”が用いられていますが、血管肉腫における5年生存率は非常に低いといわれています。
5年生存率は、死因に関係なく全ての死亡者数を計算に入れるのか(実測生存率)、がんによる死亡者数だけを見るのか(相対生存率)によって変わるほか、データを収集する機関によっても差が見られますが、日本皮膚外科学会のアンケート調査結果によると血管肉腫全体の5年生存率は9%となっています。
国立がん研究センターの報告によれば、全てのがんの5年生存率(相対生存率)が62.1%。患者数が多いがんでの5年生存率は、大腸がんが71.1%、胃がんが64.6%、肺がんが31.9%ということを踏まえると、血管肉腫の予後は極めて悪いといえるでしょう。
血管肉腫は進行が速く、再発しやすいという特徴があります。転移することも多く、血液を介して肺や骨、肝臓、さらにはリンパ節などにも転移が見られます。なかでも肺への転移が多く、気胸や血胸によって突発的な予後の悪化をきたし、血管肉腫患者の死因の約90%が肺への転移であるとの報告もあります。
なお、がんが小さく転移がなければ、集学的治療により根治できる可能性はあります。集学的治療とは、さまざまな治療方法を組み合わせて治療を行うことをいいます。がんの場合、主に手術療法・薬物療法・放射線療法を組み合わせることを検討し、それぞれの治療の専門家が連携して治療方針を決定します。しかし、血管肉腫の場合、再発や転移が多いために5年以上の長期生存例が少ないのが実情です。
血管肉腫の治療法には、外科的にがんを取り除く“手術”、本来の免疫(悪いものを排除しようとする体のはたらき)を回復させて治療する“免疫療法”、がんに放射線を照射する“放射線治療”、抗がん剤を用いた“化学療法”があります。
血管肉腫の予後が悪いことから治療前に速やかに検査を行い、できるだけ早期に治療が開始される傾向にあります。どのような治療が選択されるかは血管肉腫にかかっている人の状態(年齢や肉体的、精神的負担など)やがんの大きさ、転移の有無、かかっている人の希望などによって変わってきますが、一般的には手術・放射線治療・化学療法を組み合わせた集学的治療が行われます。
手術はがんが小さく単発である場合に行われ、がんだけでなくその周囲も広範囲に切除して根治を目指します。切除したとしてもその近くに再発しやすいことから、通常は手術と放射線治療、さらには化学療法も併用して治療が進められます。
がんが大きかったり多発したりするような場合や体力が低下して手術に耐えられない高齢者では、主に放射線治療と化学療法を併用した治療が行われています。
先にも述べた通り、血管肉腫と診断されてからの余命については正確に知ることはできませんが、予後は極めて悪く長期生存例が少ないのが実情です。しかし、5 年以上の長期生存をされている方がいるのもまた事実です。
よりよい生活を送り、自分に合った治療を受けるためにも、不明なことがあればまず医師に相談してみましょう。
聖マリアンナ医科大学 皮膚科 教授
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