カポジ肉腫とは、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)の感染に関与して発生するがんのことです。皮膚や内臓、口腔粘膜、リンパ節などさまざまな部位に病変が生じるほか、同時に複数の場所に発生することもあります。カポジ肉腫は発生部位によって症状が異なり、症状が自覚できる場合もあれば、そうでない場合もあることが特徴です。
では、カポジ肉腫は顔にも発生することはあるのでしょうか。また、顔に発生した場合はどのような特徴があるのでしょうか。
カポジ肉腫の好発部位は皮膚です。中でも特に発生しやすい部位には、頭頸部や体幹、四肢などが挙げられます。
しかし、カポジ肉腫には4つの種類があり、種類によっては顔に発生することもあります。
顔をはじめ、皮膚に発生した場合の初期症状は、痛みやかゆみのない紫色やピンク色、赤色の皮疹です。また進行とともに、皮疹が膨らんだり、皮疹同士がくっついて大きくなったり増えたりするようになるほか、色も暗い紫色から褐色へと変化するといわれています。
カポジ肉腫の皮膚病変が集まると、顔や四肢にリンパ浮腫が生じやすくなります。リンパ浮腫とは、皮膚の下でリンパが流れずにたまってしまうことによって、その周辺がむくんでしまうことです。
リンパ浮腫が生じると、むくんだ場所に重さを感じたり、関節が曲げにくくなったりするほか、カポジ肉腫の場合は痛みを感じるようになることもあります。
カポジ肉腫は、皮膚だけではなく消化管や肺、肝臓などあらゆる臓器に発生する可能性があります。内臓の中でもっとも頻度が高いのは、胃や大腸などの消化管といいます。
内臓に発生すると症状を自覚しにくく、発見が遅れてしまうことも少なくありません。そのためこのような皮膚病変を伴わない場合では、内視鏡検査(先端に小さなカメラが付いた細長い管がついた医療機器)で偶然発見されることも少なくありません。
また肺に病変が生じた場合、それが広範囲に及ぶと呼吸不全などの重篤な症状が現れることもあります。
そのほかの発生部位としては、口の中の粘膜が挙げられます。特に上顎部分(口蓋)や歯肉に生じやすく、紫色や青色に見える病変が特徴です。また喉頭に生じた場合、むくみによって気道が狭くなり、命に関わることもあります。
カポジ肉腫の治療では、症状の進行度合いなどに応じて薬物療法や放射線治療、手術治療などが行われます。
一般的にカポジ肉腫はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している方に生じやすいため、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染していてカポジ肉腫が発生した方には、まず抗HIV薬による薬物療法(ART)を行うことが検討されます。ただし、肺にも病変がある場合や病変の量が多い場合、進行が早い場合などには、抗がん剤などの化学療法などが検討されることが一般的です。
カポジ肉腫は、皮膚病変として現れた場合には症状を自覚しやすいことが一般的ですが、内臓病変として現れた場合は症状を自覚しにくく、発見が遅れてしまうこともあります。そのため、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している方や、臓器移植後に免疫抑制剤を服用していて免疫系の機能が低下している方は定期的に医療機関を受診し、気になる症状があれば医師に相談することを心がけるとよいでしょう。
聖マリアンナ医科大学 皮膚科 教授
関連の医療相談が10件あります
左臀筋内脂肪腫における普段の生活、手術、入院期間等について。
骨盤内がんドックをうけたところ、癌の結果は問題なかったのですが、左臀筋内脂肪腫疑いと結果が出ました。「左腸骨の外側、臀筋内に脂肪と等信号の腫瘤あり。脂肪腫と思われます。サイズは大きいが脂肪以外の軟部組織など脂肪肉腫を積極的に疑う所見は指摘できず。」画像を見るとかなり大きいようで、半年前くらいから時々ある下腹部、子宮周辺の痛みの原因はこれだとわかり早く手術をしたいと思っていますが、なかなか病院の予約が取れず、まして緊急性もないようでこのご時世では手術するのも先になりそうです。サイズは10cm以上はありそうな感じです。①一般的に手術、入院期間、等はどのくらいか例などありますでしょうか。②また普通に生活で破れたり問題はないのでしょうか。③体力維持、ダイエット目的でストレッチ、筋トレ水泳等を行っていますが問題はありますでしょうか。
胃痛による不眠
昨日の夜10時過ぎ頃から胃痛があり、横になってもキリキリと痛み、胃が張ってるような感じがあり全く眠ることができません。吐き気は今の所ありません。 今年逆流性食道炎や胃腸炎になっています。 朝になったら病院に行ってみた方がいいでしょうか? それとももう少し様子を見た方がいいでしょうか?
尿炉感染症について
お世話になります。 娘の症状 尿炉感染症 40℃の発熱 嘔吐 食欲不振 母乳 呼吸が浅い ぐったり このような症状で入院して6日目です 先日、入院時の血液検査で細菌が血液にいるため退院が伸びました。 点滴での抗生物質で熱は下がっているので、このまま継続で治療をするようです。 質問1 血液に細菌がいると障害が残ったりするのか?別の病気になるのか? 質問2 尿炉感染症の再発はどのくらいなのか? 今回はオムツかぶれによるもののようでした。 質問3 腎臓の入り口が開きぎみと言われましたが、治るものでしょうか? 質問4 娘がいまどんな痛みを感じているか知りたいので、尿炉感染症でどういった体の不調になるか教えて下さい。 質問5 尿炉感染症は、完治するものでしょうか? 質問が多く申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
過敏性腸症候群の治療方法について
2018年初夏頃より症状が出始め現在まで続いております(偶然かと思いますが、禁煙してから発症)。症状は下腹部痛(お腹が詰まるような鈍痛)、腹部の不快感(しぶり腹/ガスによる張り)などですが、最近は空腹時に胸やけを感じることもあります。痛みは激痛ではありませんが、痛みが強い時には目の奥がジーンとしたり、涙が出たりもします。症状は睡眠中にはありませんが(感じませんが)、起床してから徐々に強くなり、何らかの症状が就寝まで1日続きます。食後は一旦は症状が強くなる感じがあります。飲酒時(2~3合程度週1回)には症状が軽快します。便秘気味ですが、便通は一日1回普通便であり、下痢はありません。発熱はなく、食欲も変わらず、体重の減少もありません。治療は2019年1月から大学病院の消化器内科で受けており、この間2019年1月に大腸内視鏡検査、同年8月に腹部CT検査、2020年2月に胃部内視鏡検査、血液検査や単純レントゲン撮影は複数回受けましたが、すべて問題ありませんでした。また、2019年7月には定期健診で腹部超音波検査を受けましたが、これも問題ありませんでした。 各種検査を通じて大学病院での診断は過敏性腸症候群ということで、1年半弱服薬治療を続けてきましたが、症状に大きな改善はなく、消化器内科的治療には限界があるので、診療内科での受診を薦められております。 検査はすべて問題ないということですが、症状に改善が見られず、精神的にもやや追い込まれている感じで、本当に過敏性腸症候群なのかという不安感も強いです。ご説明が長くなりましたが、このような状況の中で診療内科に頼っても大丈夫でしょうか?また、大学病院の消化器内科での治療は、主治医の先生の転勤に伴い終わっておりますが(これまでと同じ治療方法しかないとのことで)、近くの消化器内科のクリニックで診療内科受診と並行して受診した方が良いでしょうか? 因みに、診療内科への紹介状と検査結果データは大学病院より頂いております。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「カポジ肉腫」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。