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カポジ肉腫とはどんな病気?~HIVに感染している方や免疫系の機能が弱まっている方などがカポジ肉腫にかかりやすい~

カポジ肉腫とはどんな病気?~HIVに感染している方や免疫系の機能が弱まっている方などがカポジ肉腫にかかりやすい~
大塚 篤司 先生

近畿大学医学部皮膚科学教室 皮膚科 主任教授

大塚 篤司 先生

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カポジ肉腫とは、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)の感染によって生じるがんのことです。皮膚を中心に症状が現れますが、さまざまな臓器に発症することもあります。では、カポジ肉腫になるとどのような症状がみられるのでしょうか。また、皮膚以外ではどのような場所に発生するのでしょうか。

このページでは、カポジ肉腫の主な症状や発生部位、原因、検査方法などについて詳しくご紹介します。

カポジ肉腫では初期症状として、紫色・ピンク色・赤色の斑点のような皮疹が生じることがあります。この皮疹には痛みやかゆみがないことが一般的です。

進行すると皮疹が徐々に膨らんだり、離れて存在していた皮疹同士がくっついたりするほか、皮疹の色合いがより濃くなり、暗い紫色から褐色へと変化します。さらに進行すると、四肢にできた皮疹からリンパ浮腫(ふしゅ)が生じ、痛みが生じることもあります。また皮疹として生じたがんが、皮膚の下にある軟部組織や骨に浸潤することもあります。

カポジ肉腫は、体中どの臓器にも発生する可能性があります。皮膚以外では、口の中の粘膜や消化管、呼吸器、リンパ節などの発生頻度が高いといわれています。

口腔内(こうくうない)の粘膜に生じる場合、病変部位は青色や紫色に見えることが一般的です。また、消化管に発生した場合、病変から出血が生じることもあります。消化管・呼吸器など内蔵に発症した場合、皮膚に発症した場合と比較して自覚症状が乏しく、発見されにくいことが一般的です。

カポジ肉腫ウイルス性のがんであり、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8)に感染することによって発症すると考えられています。HHV-8はカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)とも呼ばれ、感染者の唾液や粘膜分泌液を介して感染します。そのため感染経路としては、経口感染、性交渉による感染、母子感染などが一般的です。ただしHHV-8に感染しても、ほとんどの方はカポジ肉腫を発症せず無症状に経過します(潜伏感染)。

一方で、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ともなるヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している方や、臓器移植後で免疫抑制剤を服用している方など、免疫系の機能が弱まっている方がHHV-8に感染すると、カポジ肉腫にかかりやすいことが分かっています。特にHIV感染者がかかるがんの中では、悪性リンパ腫に次いで多いといわれています。

カポジ肉腫が疑われた場合、体の診察や問診、胸部X線検査、生検などによって診断されます。以下ではそれぞれの検査について、簡単にご紹介します。

カポジ肉腫では特徴的な皮疹が生じることも多いため、まずは皮疹やしこりの有無や特徴を診察します。また、HIV感染者など免疫系機能が低下している方に生じやすいため、患者の健康状態や病歴、治療歴などについて、詳しく問診を行います。

胸部X線検査では、X線を照射することにより、肺など胸部にある臓器や骨の状態を観察することができます。カポジ肉腫の検査の場合、肺に病変が発生していないかどうか確認するために行われます。

生検とは病変の細胞や組織を採取し、それを顕微鏡で観察する検査です。主にがんの確定診断に用いられます。万一、消化管や肺など内臓に病変が生じている場合は、内視鏡検査(いわゆる胃カメラ大腸カメラ)や気管支鏡検査をつかって、病変を採取します。

そのほかカポジ肉腫の広がりを調べたて診断に結びつけるための検査として、血液検査やCT・PETスキャンなどの画像検査が検討されることもあります。

カポジ肉腫の治療では症状などに合わせて薬物療法や放射線治療、手術治療などが行われます。

カポジ肉腫はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している方に発生しやすいと考えられていることから、ヒト免疫不全ウイルスに感染していてカポジ肉腫が発生した方には、まず抗HIV薬による薬物療法(ART)を行うことが検討されます。ただし肺に病変がある場合や病変の量が多い場合、進行が早い場合などには、抗がん剤などの化学療法などが検討されることが一般的です。

抗HIV療法とは、抗HIV薬を組み合わせて飲むことによってカポジ肉腫の原因となるウイルスの増殖を抑える治療法のことをいいます。また、化学療法は抗がん薬を使ってがん細胞の増殖を阻止する治療法です。発生部位によって、薬の種類が異なります。

カポジ肉腫は、かかりやすい方の特徴が明らかながんです。そのため、HIV感染が明らかな方や臓器移植後で免疫抑制剤の服用を続けている方は、定期的に医療機関を受診し、気になる症状があれば医師に相談するようにしましょう。

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