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病院で行うほくろの除去方法とは?〜方法別にメリットや注意点を解説〜

病院で行うほくろの除去方法とは?〜方法別にメリットや注意点を解説〜
宮田 成章 先生

みやた形成外科・皮ふクリニック 形成外科・皮膚科 院長

宮田 成章 先生

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ほくろとは、メラニン色素をつくる細胞(メラノサイト)が増えてできた良性のできもので、医学的には色素性母斑や母斑細胞母斑と呼ばれます。見た目は茶色や黒色の小さく平坦なものや、隆起しているものなどさまざまにあり、体中のいたるところに生じることがあります。しかし、ときに基底細胞がんや日光角化症老人性角化腫)、悪性黒色腫メラノーマ)などの皮膚がんである可能性もあり、もし悪性黒色腫である場合は、適切な治療が必要です。

本記事では、ほくろの除去が検討される状況からほくろの除去の方法までを解説します。

ほくろの除去が検討されるのは、本人が除去を希望する場合です。通常ほくろは良性であるため治療の必要がなく、一般的には本人が希望しない限り除去が検討されることはありません。

一方で、ほくろと見た目が似ている基底細胞がんや日光角化症悪性黒色腫など皮膚がんの可能性がある場合は、その病気に応じた適切な治療が必要となります。なかでも悪性黒色腫は、ほくろと間違われやすいといわれています。具体的には、下記のような特徴があるほくろは悪性黒色腫の可能性が疑われます。

  • 形が左右非対称である
  • ほくろの輪郭がギザギザしているなどあいまい、または色がにじんでいるように見える
  • 色にむらがある
  • 直径が6mm以上である
  • 大きさ、色、形などに変化が見られる

これは、一般の人が見た目で判断することは難しく、医師による診断が必要です。そのため、ほくろの除去を希望して皮膚科を受診した場合、まずほくろの診断のための検査を行います。

肉眼では、ほくろ悪性黒色腫などとの区別が難しいため、まずダーモスコープという拡大鏡で観察することによって行われます。その結果、悪性黒色腫だった場合は、エコー検査やCT・MRI検査を行い、がんの広がりや大きさの検査を行います。

また、がんの検査で一般的に行われる生検*は、悪性黒色腫においては転移のリスクを高める可能性が示唆されていることから、通常は行わないとされています。ただし、はっきりとした根拠はなく、海外では生検が一般的に行われていることから必要に応じて生検が行われることもあり、その場合は可能な限り腫瘍(しゅよう)全体を切り取ることが望ましいとされています。

*生検……がんの可能性がある部分の組織を切り取って顕微鏡で観察する検査

本人が希望して行うほくろの除去は美容目的として取り扱われ、基本的に健康保険は適用されないので注意が必要です。しかし、一部保険が適用される場合もあるため、まずは医師に相談するとよいでしょう。美容目的のほくろ除去法には、主に外科手術とレーザー照射の2種類があります。

パンチ切除と呼ばれる円筒状の刃でくりぬく方法、メスなどを使って1回でほくろを除去する手術療法、炭酸ガスレーザーや電気メスで焼き切る方法があります。また、小さなほくろが悪性化することはほぼないといわれていますが、手術を行えばほくろを完全に取り除くことができるため、悪性化の不安も軽減されるでしょう。

注意点

手術の場合は、目立った傷あとが残る可能性があります。特に鼻と唇の間にあるほくろをパンチ切除や炭酸ガスレーザー、電気メスで焼き切った場合、ケロイドになることがあることを知っておきましょう。

照射するとほくろの細胞だけを破壊することができ、傷あとができないというメリットがあります。ただし、これは数回の照射が必要となるうえに、取り切れずに再発することも多いとされているので、主に平らで小さな薄いほくろが対象です。なお、最近では炭酸ガスレーザーなどと組み合わせて照射を行うことも多くなっています。

注意点

一方で、Qスイッチレーザーを主体とした治療であればこういった傷あとのリスクはほぼないといわれていますが、肌質や施術後に紫外線を過度に浴びることなどによって、炎症後色素沈着を起こすことがあります。この場合、解消されるまでに半年程度かかることがあるため、ほくろ除去後は紫外線対策を十分に行うことが重要です。

ほくろは誰にでもあるありふれたできものですが、顔などにあると見た目を気にする方もいます。ほくろを除去することで、このような悩みが解消されれば気分が明るくなり、自信につながることもあるという利点も多いです。ただし、ほくろだと思っていたできものが、実はがんである可能性も考えられるので、まずは皮膚科を受診して医師に相談してみるとよいでしょう。

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