ほくろとはメラニンと呼ばれる色素をつくる細胞(メラノサイト)が変化してできる良性のできもので、医学的には色素性母斑、母斑細胞母斑などと呼ばれます。多くのほくろが直径6mm以下で、見た目は黒や茶色、青灰色、褐色をしており、皮膚上で盛り上がるようなものや扁平なものなどさまざまな形状が見られます。
一般に、ほくろは誰にでも生じるありふれた皮膚の特徴です。しかし、年齢とともに大きくなったり数が増えたりすることもあり、病気の可能性などを心配する方もいます。そこで本記事では、ほくろが増える原因や、病気の可能性について解説します。
ほくろの発生原因は不明で、増える原因も分かっていません。
ただし、親にほくろが多いと子どももほくろが増えやすい傾向があるほか、大量の紫外線を受けるとほくろが増えやすくなるといわれるため、遺伝や日光による紫外線の刺激との関連性があると考えられています。
また、女性の場合、妊娠中などは女性ホルモンの変動に応じてほくろが増えたり、色が変化したりすることがあることから、女性ホルモンも影響している可能性があるといわれています。
ほくろは生まれつきのものもありますが、3~4歳頃から新しく発生するようになり、歳を重ねると徐々に数が増えていきます。さらに、子どもの頃は扁平だったほくろが大人になるにつれて盛り上がってくるといった変化が起こることもあります。
つまり、加齢とともにほくろが増えたり変化したりするのは加齢に伴う生理的現象であり、それだけで異常とはいえないでしょう。
ほくろは良性腫瘍であり、治療の必要はないことが一般的です。しかし、中にはほくろに似た病気もあります。以下では、ほくろとの鑑別が必要な病気について解説します。
悪性黒色腫とは皮膚にできるがんの1つで、ほくろやしみのような見た目をしているため見過ごされてしまうことがあります。
30歳代以上の成人に発生することが一般的で、特に血縁のある親族に悪性黒色腫の患者がいる場合や、色白の場合には悪性黒色腫にかかりやすい可能性があります。成人後にほくろに似たものが発生し、急に大きさや色に変化があった場合は皮膚科を受診しましょう。
生まれつきのほくろは先天性色素性母斑と呼ばれ、これもほくろは同様に良性腫瘍です。
しかし、通常のほくろとは異なり一定の割合で悪性黒色腫になる可能性があることが知られています。また、大きな先天性色素性母斑ほど悪性黒色腫になる可能性が高いため、人によっては成人までに切除が必要となる可能性があります。
悪性黒色腫と同様に皮膚に生じるがんの1つで、表皮の最下層にある基底層や毛包に発生します。高齢の方に多く、顔に生じやすいがんです。日本人の場合には、病変は黒っぽく徐々に大きくなっていくため、ほくろと間違われることがあります。
一般にほくろが悪性化(悪性黒色腫や基底細胞がんなどに変化)することはまれであると考えられています。
たとえば、悪性黒色腫の場合は発症した段階から悪性です。しかし、見た目がほくろ、またはごく小さな点状のしみのように見えるため、それをほくろなどと勘違いしてしまうことで、その後悪性黒色腫と診断された場合に、あたかもほくろが悪性黒色腫になったと勘違いされているケースがあります。
そのため、今あるほくろが良性の場合は悪性化する可能性はかなり低いと考えてよいでしょう。
一方で、そもそも良性だと思っていたものが悪性だった場合には治療が必要となります。そのため、自己判断せずに気になるほくろがある場合は医師に相談しましょう。以下では発症頻度が高いとされる病気の特徴を説明します。
日本人では特に手のひらや足の裏に多くみられるので注意が必要です。また、まれに黒くない悪性黒色腫もあるので、今まであったほくろの色が急に変化した、出血があるなどの症状がみられる場合には皮膚科を受診しましょう。
基底細胞がんは周りの組織を破壊しながら進行し、放置した場合は骨や筋肉にまで浸潤することがあります。これを防ぐためにも、気になる症状がある場合は早めに受診を検討しましょう。
ほくろが増える程度には個人差があるため、完全に予防することは困難です。しかし、紫外線の刺激が関与していることから、紫外線を浴びすぎないことがある程度効果的と考えられます。屋外に出るときは日焼け止めクリームの使用や帽子・サングラスなどの着用を徹底し、紫外線を浴びすぎないように工夫しましょう。
また、すでにあるほくろをいじったり傷つけたりすると、がんに発展する可能性があるとも考えられています。そのため、日頃からほくろを刺激しないよう心がけましょう。
日本人の場合、31~35歳の人で平均して10個程度のほくろがあるといわれています。また、年齢とともに増えていくこともあるため、ほくろが増えたとしても過度に心配をする必要はないでしょう。ただし、ほくろが大きくなっている、色に変化がある、出血があるなどの症状がみられる場合には、ほかの病気との鑑別のために皮膚科の受診を検討しましょう。
山梨大学医学部皮膚科学講座 教授
川村 龍吉 先生の所属医療機関
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