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炎症後色素沈着の治療には何があるの?〜薬やケミカルピーリング 、レーザー治療の効果とは〜

炎症後色素沈着の治療には何があるの?〜薬やケミカルピーリング 、レーザー治療の効果とは〜
尾見 徳弥 先生

クイーンズスクエアメディカルセンター皮膚科

尾見 徳弥 先生

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炎症後色素沈着とは、にきびや傷、虫刺されなどによる炎症が原因で、皮膚にしみが発生することをいいます。炎症による赤みが引いた後、茶色のようなしみが生じることが一般的です。

炎症後色素沈着によるしみは時間の経過とともに自然に消えていきますが、治療によってこのしみが消える速度を速められる可能性もあります。本記事では、炎症後色素沈着の治療法やセルフケアの方法について解説します。

炎症後色素沈着は病院で治療を受けることができます。主な治療法は、以下の通りです。なお、美容を目的とする治療は保険適応にならず、炎症後色素沈着の治療でも基本的に保険適応になりません。詳しくは治療を受ける病院に確認するようにしましょう。

炎症後色素沈着がにきび湿疹(しっしん)かぶれによって生じている場合には、原因となる病気の治療を最優先に行います。また、しみは日焼けなどの皮膚へのダメージによって悪化する可能性もあるため、紫外線対策や皮膚への摩擦を抑える洗顔方法などを指導し、炎症後色素沈着の悪化を防ぎます。

炎症後色素沈着のしみは外用薬(塗り薬)や内服薬(飲み薬)を継続的に服用することによって、消える速度を速められる可能性があります。

炎症後色素沈着の主な治療薬

  • レチノイン酸(外用薬)……トレチノインと呼ばれることもあります。古い表皮とともにしみの元になるメラニン色素を外に押し出す薬です。ただし、日本ではいまだ承認されておらず(2021年3月15日現在)、レチノイン酸を使用した場合は刺激を感じる場合もあります。
  • ハイドロキノン(外用薬)……色素細胞の持つ酵素“チロシナーゼ”のはたらきを抑え、しみを薄くする効果が期待できる薬です。
  • ビタミンC(内服薬)……メラニン色素の産生量を抑える効果が期待できる薬です。

ケミカルピーリングとは皮膚に化学薬品を塗布することにより、皮膚を剥がしターンオーバー*を促す治療法です。繰り返し行うことによって徐々に効果が現れ、古い皮膚とともにメラニン色素が脱落することにより、しみを薄くする効果が期待できます。

また、ときにレチノイン酸やハイドロキノンなどの薬物療法と並行して行われることもあります。ただし、ケミカルピーリング後の皮膚はデリケートで、薬物療法を併用することによって赤く腫れる、かぶれるなどの副作用が生じることもあるため、治療の際は医師の指示に従い、気になることがあれば医師に相談するようにしましょう。

*ターンオーバー……皮膚の表面が垢として剥がれ落ち、細胞が入れ替わること

場合によっては、レーザー治療が検討されることもあります。レーザー治療とは皮膚に医療用レーザーを照射することによってメラニンを破壊し、しみを薄くする治療方法です。炎症後色素沈着の場合、2~4週間に1度照射を行うことで徐々にしみが薄くなっていきます。

また、レーザー治療後は一時的に炎症が生じるため、人によっては炎症後色素沈着の原因になることがあります。ただし、時間の経過とともに自然に消えていくことが一般的です。なかなか消えない場合にはハイドロキノンなどの治療薬が処方されることもあります。

炎症後色素沈着は日焼けをすることなどで、より目立つようになったり、消えにくくなったりしてしまう可能性があります。そのため、セルフケアを行うことも大切です。以下では、主なセルフケアの方法についてお伝えします。

市販薬でも、炎症後色素沈着のしみへの効果が期待できるものがあります。たとえばハイドロキノンクリームやビタミンC内服薬などは、皮膚科で処方されるものよりも成分が弱い可能性がありますが、市販薬でも入手できます。

炎症後色素沈着によるしみは紫外線を浴びることによって目立ちやすくなったり、消えにくくなったりする可能性があります。そのため、日頃から日焼け止めクリームを塗る、日傘をさすなどの紫外線対策を行うようにしましょう。

炎症後色素沈着によるしみは自然に消えていくことが一般的ですが、治療を受けることでより早く消すことができる場合があります。ただし、炎症後色素沈着だと思っていたものが別の種類のしみや、ほかの病気の可能性もあるため、気になる場合は病院を受診するのもよいでしょう。受診する診療科は、皮膚科や美容皮膚科、形成外科などが挙げられます。

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