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炎症後色素沈着を消すにはどうするの?〜自分でできる対処法には市販薬の使用や日焼け対策がある〜

炎症後色素沈着を消すにはどうするの?〜自分でできる対処法には市販薬の使用や日焼け対策がある〜
川村 龍吉 先生

山梨大学医学部皮膚科学講座 教授

川村 龍吉 先生

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炎症後色素沈着とは、皮膚の炎症が原因で生じる“しみ”のことです。炎症が肌への刺激となり、肌を守るためにメラニン色素が生成されることによってしみが生じます。

主な炎症の原因としてはにきびや傷、虫刺され、やけどなどが挙げられます。このような炎症後色素沈着は時間の経過とともに自然に消えることが一般的ですが、炎症後色素沈着のある部分に紫外線が当たるとしみが目立つようになったり、消えにくくなったりすることがあります。では、炎症後色素沈着を消すためにできることには何があるのでしょうか。

繰り返しとなりますが、炎症後色素沈着は時間の経過とともに自然に消えていくことが一般的です。

しかし、なかにはしみが消えるまでには数年かかることもあるといわれ、この場合は市販の治療薬などを使用することによってしみが薄くなるまでの速度を速めることが期待できると考えられています。炎症後色素沈着が薄くなるのを速める治療薬としては、以下が挙げられます。

炎症後色素沈着で使用される市販薬

  • ハイドロキノン(軟膏・クリームなど)……色素細胞の持つ酵素“チロシナーゼ”のはたらきを抑える効果があります。
  • ビタミンC内服薬……メラニン色素の産生量を抑える効果があります。

なお、これらの治療薬は長期的に使用を続けることによって徐々に効果が現れます。記載されている使用上の注意を守り、最低でも1か月は継続するようにしましょう。

炎症後色素沈着によるしみが生じている部分に紫外線が当たると、日焼けを起こし、しみが目立つようになったり、消えにくくなったりすることがあります。そのため、日頃から日焼け止めクリームを塗る、帽子を被る、日傘をさすなどの日焼け対策をするように心がけましょう。

炎症後色素沈着は主に美容皮膚科、もしくは皮膚科で治療を受けることができますが、ビタミンC内服薬以外は基本的に保険適用外です。皮膚科で炎症後色素沈着と診断された場合には、以下のような治療が検討されます。

炎症後色素沈着がにきび湿疹かぶれなどによって生じている場合、まずは原因となる病気の治療が行われます。また、日焼け対策や皮膚の摩擦を抑える洗顔方法などを指導し、炎症後色素沈着が悪化しないようにします。

炎症後色素沈着に効果が期待できる塗り薬や飲み薬は、皮膚科で処方してもらうこともできます。皮膚科で処方される治療薬は市販薬よりも成分が強いものもあり、より効果が期待できる可能性もあります。主な治療薬は以下のとおりです。

皮膚科で処方される炎症後色素沈着の主な治療薬

  • レチノイン酸(ジェル・軟膏)……トレチノインとも呼ばれます。古い表皮とともにメラニン色素を外に出す効果があります。
  • ハイドロキノン(クリーム・軟膏)……チロシナーゼのはたらきを抑える効果があります。
  • ビタミンC内服薬……メラニン色素の産生量を抑える効果があります。

ケミカルピーリングとは、化学薬品を皮膚に塗り皮膚を剥がすことによってターンオーバー*が促され、しみが薄くなる治療方法です。繰り返し治療を行うことで徐々にしみが薄くなっていきます。

ケミカルピーリングは前述の治療薬と併用できる場合もあります。しかし、ケミカルピーリング後は皮膚が敏感になっており、赤く腫れる、かぶれるなどの副作用が生じることもあるため、必ず担当医に相談しながら行うようにしましょう。

*ターンオーバー:皮膚の表面が垢として剥がれ落ち、表皮の細胞が入れ替わること。

炎症後色素沈着では、レーザー治療が検討されることもあります。レーザー治療とは皮膚に医療用レーザーを照射することによって、しみを薄くする治療方法です。炎症後色素沈着の場合、しみのある部分に2〜4週間に1回のペースで照射を繰り返します。

一方、レーザー治療が原因で一時的に炎症後色素沈着が生じる可能性もあるため、レーザー治療後に気になる症状がある場合には担当医に相談しましょう。

炎症後色素沈着は、にきびや傷などの炎症が原因で生じるしみです。基本的には時間とともに消えていくことが一般的ですが、薬の服用や皮膚科の治療を受けることによってより早期に改善できる可能性があります。そのため、炎症後色素沈着を消したい場合には主に美容皮膚科、もしくは皮膚科の受診を検討するとよいでしょう。

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