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レーザー脱毛の効果とは ~永久脱毛はできる? どのくらいの回数で脱毛が完了するの?~

レーザー脱毛の効果とは ~永久脱毛はできる? どのくらいの回数で脱毛が完了するの?~
宮田 成章 先生

みやた形成外科・皮ふクリニック 形成外科・皮膚科 院長

宮田 成章 先生

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レーザー脱毛とは、レーザー光によって長期的減毛を行う脱毛方法です。長期的減毛方法には針脱毛やIPL脱毛もありますが、それらに比べてメリットが多く、現在はレーザー脱毛が主流となっています。しかし、施術を受ける前に効果の出方やリスクなども正しく知っておく必要があります。

本記事では、レーザー脱毛の効果やメリット・デメリット、エステ脱毛との違いなど、レーザー脱毛に関する情報を詳しく解説します。

レーザー脱毛は、レーザーを照射することで皮膚にダメージを与えることなく毛包(毛根を包む皮膚組織)に作用し、長期的減毛(一般に永久脱毛と呼ばれることもある)を行う脱毛方法です。

具体的なメカニズムは、以下のとおりです。

  1. レーザー光が皮膚表面から照射されると毛幹メラニンに吸収され、光が熱に変換されます。
  2. 変換された熱は周囲に広がり、毛包および毛包の周りにある発毛中枢にダメージを与えます。
  3. ダメージは元に戻すことが不可能なものであるため、結果的に長期的減毛につながります。なお、その際にレーザー光は表皮メラニンにも吸収されるため、皮膚をやけどから守るため表面を冷却する装置が内蔵されています。

長期的減毛方法には、レーザー脱毛のほか、IPL脱毛、針脱毛があります。IPLはシワ改善や肌の引き締めを目指す治療にも用いられる機器で、フィルターによって脱毛に適した光を選んで照射することができます。しかし、レーザー脱毛に比べて深部まで到達せず、減毛率は低いとされています。

また、針脱毛は絶縁針を毛根に刺して通電する方法です。レーザー脱毛が登場するまでは唯一の長期的減毛方法でしたが、レーザー脱毛のほうが短時間の施術で済み、痛みも少なく費用が安価であるなどメリットが多いことから、現在はレーザー脱毛が主流になっています。

レーザー脱毛の施術は、1~2か月に1度程度の照射を4~6回、トータルで1年程度の時間をかけて行います(部位や状態により治療間隔や回数は異なります)。前述のとおり、レーザー脱毛は毛幹メラニンに吸収されることで熱が発生し、脱毛につながるため、毛幹メラニンが存在しなければ脱毛効果を得ることができません。

人間の体毛には毛周期と呼ばれるサイクルがあり、休止期、成長期(毛が成長する時期)、退行期(毛が抜ける時期)を繰り返しています。レーザー脱毛の効果が出やすいのは成長期とされており、さらに、全ての毛穴が同時に成長期になるわけではないので、効果を得るために複数回の照射が必要となります。

また、レーザー脱毛を受けている期間の自己処理は、カミソリやシェーバーによる剃毛が基本です。毛抜きや除毛クリームで毛根ごと処理してしまうと、レーザーが反応せず、効果が得られません。

レーザーを当てる際、メラニン色素の含有量が多い部位のほうが発生する熱量が高く、脱毛の効果が出やすいとされています。そのため、色が薄く細い毛よりも、黒くて太い剛毛のほうが、脱毛効果が出やすいとされています。ただし、毛が黒くて太い場合でも、毛根が深いとレーザーが作用しづらく、効果が出にくいとされています。

肌の色が濃い場合、照射した光が表皮のメラニンに強く吸収され、熱傷のリスクがあるため、出力を弱めることがあります。それに伴い施術回数が多くなることもあります。同様に日焼けをしている場合も、出力を弱めるか、肌の状態によっては施術自体ができない場合もあるため注意が必要です。さらに、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)の患者や、薬剤性の多毛においては減毛率が低いとされています。

そのほか、使用する機器や波長の長さ、出力の違いによっても効果に差が出るため、施術を受ける際は医師とよく相談し、内容や効果を理解したうえで施術を受けるとよいでしょう。

エステサロンなどでも長期的減毛を目的とした施術が行われていますが、エステ脱毛と、医療機関で行われるレーザー脱毛には大きな違いがあります。

そもそも、医師以外がレーザー光線などのエネルギーを用いて長期的減毛の施術を行うことは、法律で禁止されています。そのため、レーザー脱毛は医療機関でしか施術を受けることができません。また、エステサロンなどでは医学的な知識の不足から、施術による熱傷などのリスクもあり、その場で治療も行えません。

さらに、エステサロンにおける“フラッシュ脱毛”や“光脱毛”は、低出力のIPL脱毛であることが一般的です。IPL脱毛はレーザー脱毛に比べて深部まで作用させることができず、減毛率も低いとされています。

レーザー脱毛のメリットとしては、皮膚にダメージを与えないこと、針脱毛に比べて痛みが少なく、施術時間も短く安価であること、IPL脱毛に比べて深部まで作用し、減毛率が高いことなどが挙げられます。さらに、レーザー脱毛には脱毛以外の効果もあるとされています。たとえば、下顎や首の毛嚢炎(もうのうえん)や埋没毛による炎症などの改善につながるといわれています。

一方、レーザー脱毛にもデメリットやリスクはあります。まず、針脱毛に比べて痛みが少ないものの、まったく痛みを感じないわけではありません。痛みに対しては、麻酔薬の使用や痛みが少ない機種への変更ができる可能性もあるため、気になる場合は医師に相談するとよいでしょう。

また、日焼けあざがある部位は、熱傷のリスクがあるため照射することができません。さらに、レーザー照射によって柔らかい毛が剛毛に変化する、または毛の密度が高くなる“硬毛化”という現象が起きることもあります。ただし、レーザーが照射できない部位や、硬毛化した毛に対しては、針脱毛で対応することも可能です。

そのほか、施術後に全身に蕁麻疹(じんましん)が生じるケースもあります。蕁麻疹に関しては、蕁麻疹罹患中の患者をはじめ、インスリン依存型糖尿病患者、ヘルペス発症中、皮膚がん患者、感光成性薬剤や抗凝固薬を内服している人、妊婦への脱毛を避ける必要があるとされています。

さらに、機器の使用方法を誤ると失明、白内障ぶどう膜炎や虹彩後癒着(目の中の虹彩と水晶体が癒着する)などを生じるリスクもゼロではないため、信頼できる医師のもとでの施術を受けることが大切です。

医療機関で行うレーザー脱毛は、針脱毛やIPL脱毛に比べて痛みの有無、施術時間、価格、効果などのメリットが多く、現在の長期的減毛法の主流となっています。ただし、持病や皮膚の状態、施術方法などによってはリスクがあったり、効果が最大限得られなかったりすることもあります。そのため、不安なことは医師に相談し、しっかりと理解したうえで施術を受けるとよいでしょう。

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