治療
慢性中耳炎の治療には、“保存的治療”と“手術”があります。局所処置と薬を用いた保存的治療で耳だれなどの病状の改善を図りますが、根本的治療としては手術が必要になることもあります。
保存的治療
耳漏がある場合には、まず耳の中を吸引や洗浄で清潔にし、細菌の量を減らす処置を行います。そのうえで、炎症の原因となっている細菌に対して、抗菌薬を含む点耳薬(耳に入れる薬)を使った“耳浴”を行います。場合によっては、抗菌薬の内服薬を併用して、体の中から炎症を抑えることもあります。ただし、耐性菌(薬が効きにくい菌)や真菌(カビ)による感染がある場合は、治療に難渋することがあり、中耳の洗浄を繰り返し行う必要が出てくることもあります。
手術
手術の目的は、聴力の改善と耳漏の停止です。まずは外来での保存的治療によって耳漏を止めたうえで、状態に応じて鼓膜形成術や鼓室形成術といった手術を行います。
鼓膜形成術
鼓膜形成術では、耳の後ろから採取した軟部組織や筋膜、耳珠軟骨や軟骨膜を用いて鼓膜の穴をふさぎます。最近では成長因子を含んだゼラチンスポンジを使った鼓膜再生術が行われることもあります。
鼓室形成術
中耳機能検査(パッチテスト)で耳小骨の動きが悪いと考えられた場合や、CTで耳小骨周囲に陰影を認めた場合には鼓室形成術を行い、鼓室内の病変を取り除き、破壊された耳小骨の連鎖(つながり)を再建します。
乳突削開術
外来での保存的治療でも耳漏が止まらない場合には、鼓膜の奥にある「乳突洞」という空洞に細菌が残っている可能性があります。そのような場合には、乳突部を開いて感染巣をきれいに掃除する“乳突削開術”を行うことがあります。
真珠腫性中耳炎に対する手術
真珠腫性中耳炎がある場合には、真珠腫を完全に摘出することが最も重要です。同時に、再発を防ぐために病因を取り除く処置が大切になります(詳しくは「真珠腫性中耳炎」の項目をご覧ください)。
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