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インタビュー

慢性中耳炎の治療

慢性中耳炎の治療
飯野 ゆき子 先生

東京北医療センター 耳鼻咽喉科 難聴・中耳手術センター 科長

飯野 ゆき子 先生

慢性中耳炎とは」においては、慢性中耳炎はどのような状態を指すのか、原因はどこにあるのか等についてご説明しました。この記事では慢性中耳炎の治療について詳しくご説明します。中耳手術のエキスパートである東京北医療センター耳鼻咽喉科の飯野ゆき子先生に、引き続きお話をうかがいました。

手術以外の治療法としては、原因菌に応じた抗生物質(抗菌薬)の投与と耳漏が多い時は耳洗浄を行います。耳洗浄は、生理食塩水で外耳から中耳腔を洗い流します。冷たい水が耳に入るとめまいなどを起こすことがありますので、体温に近い37度にした生理食塩水を使います。

また、抗菌薬の投与と耳洗浄は手術の前にも行います。耳漏(じろう・外耳道からの分泌液の総称で耳だれともいう)のある方は手術の数日前から入院していただき、耳洗浄を行うこともあります。薬剤耐性菌による慢性中耳炎の場合は術後感染の心配もありますので、抗菌薬プラス耳洗浄で術前にしっかり菌を減らす必要があります。

鼓膜の穿孔(せんこう・穴が空いていること)は、耳かきなど物理的な要因で傷つけてしまった場合や急性中耳炎でできた新しいものであれば自然にふさがることもありますが、炎症が慢性化しているような場合には基本的には保存的治療で完治することはありません。ほとんどの場合、何らかの方法で鼓膜の穿孔をふさぐことが必要です。

慢性中耳炎の手術は、聴力の改善と耳漏を止めることを目的として行われます。鼓膜の穿孔の大きさや場所、患者さんの年齢、耳小骨の状態・中耳の調圧機構(換気能力)・耳手術歴・保有する菌などを慎重に検討し、患者さんひとりひとりの状態に合わせた安全・確実な治療を行うことが大切です。

慢性中耳炎の手術には鼓膜形成術と鼓室形成術と呼ばれるものがあります。鼓膜形成術の一般的な方法は、耳の後ろを小さく切開して皮下組織をとり、残っている鼓膜の穿孔部分をきれいにして皮下組織を穿孔部にさしこみフィブリン糊(血液が固まる仕組みを利用した血液製剤の生体糊)でくっつけて穿孔をふさぐというものです。15才以上ならば日帰りの局所麻酔手術で行います。

鼓膜形成術や鼓室形成術を行う前には、仮に素材をあてがって鼓膜の穿孔をふさぎ、聴力が改善するかどうかテストをします。穿孔をふさいで聴力が回復するようであればよいのですが、あまり聞こえがよくならない場合には、音を内耳に伝える耳小骨の動きが悪くなっている、あるいは破壊されていないかなどが考えられます。

また、中耳内に肉芽がみられる、粘膜の腫れがある、膿がたまっているといった強い炎症性病変があれば単に鼓膜の穿孔をふさぐだけでは完治することはできません。このような場合には中耳の中をきれいにして伝音の連鎖を修復する鼓室形成術を行う必要があります。

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