インタビュー

急性中耳炎とは

急性中耳炎とは

国立成育医療研究センター 小児医療系レジデント

生駒 尚子 先生

窪田 満 先生

国立成育医療研究センター 総合診療部 統括部長(チャイルドライフサービス室長)

窪田 満 先生

この記事の最終更新は2015年11月18日です。

中耳炎」という病名はよく知られています。これは3歳くらいまでの子どもに多い病気です。中耳炎とはどのような病気で、なぜ子どもに起こりやすいのでしょうか。中耳炎のなかでも「急性中耳炎」について、国立成育医療研究センター総合診療部長の窪田満先生ご監修のもと、同センターレジデントの生駒尚子先生にご説明いただきました。

「中耳」の「炎症」のことを中耳炎といいます。中耳に細菌が侵入することで起こります。

これは3歳くらいまでの子どもに多い病気ですが、小学生にも認められます。風邪をひいて鼻水や痰がらみの咳に悩まされた1、2週間後に急性中耳炎にかかってしまう子どもが多いようです。「耳が痛い」と訴えたり、耳をしきりに触ったり、不機嫌が目立つようになったり、熱だけだったりと年齢に応じて訴えや症状は様々です。

中耳炎の起こる「中耳」とはどこのことでしょうか。下のイラストを参考にしてみてください。

耳の穴を奥へと進むと「鼓膜」にぶつかります。その向こう側が「中耳」です。鼓膜は薄くて透明な膜なので、鼓膜の様子を見て中耳に炎症が起きているか確認することができます。中耳炎の診断のために医師が耳をのぞくのはそのためです。

耳の構造
耳の構造(素材提供:PIXTA)

では、細菌はどこから中耳に侵入するのでしょう。答えは「鼻から」です。

細菌は、耳の穴から中耳へと入ることはできません。鼓膜に阻まれるからです。しかし、中耳と鼻は「耳管」という管でつながっています。そのため、鼻の中の細菌が耳管を伝って中耳に侵入し、炎症を起こしてしまうのです。

大人と比べて子どもの耳管は未熟で、角度や柔らかさも違います。そのため子どもの方が細菌の侵入を許しやすく、中耳炎を起こしやすいのです。成長するにつれ中耳炎にかかりにくくなるのはそのためです。

中耳に細菌が侵入して起こる中耳炎ですが、「小児中耳炎診療ガイドライン」では急性中耳炎について以下のように定義づけられています。

「急性に発症した中耳の感染症で、耳痛、発熱、耳漏を伴うことがある」

「以下の鼓膜所見を認めるとき:鼓膜の発赤、膨隆、光錐減弱、肥厚、水疱形成、混濁、穿孔・中耳腔の貯留液、耳漏・中耳粘膜浮腫」

自宅では鼓膜の状態を確認することはできませんので、鼻水・咳症状があった後に耳を痛がっている、熱が出る、耳から液体の流れ出しがあるかどうかを観察してみてください。

急性中耳炎は下のように分類されます。

  1. 単純性中耳炎:1~2週間で症状が治まる。
  2. 反復性中耳炎:半年で3回以上、1年で4回以上繰り返す。
  3. 遷延性中耳炎:3週間以上症状が続く。
  4. 難治性中耳炎:適切な治療を行っても症状が横ばい、もしくは悪化していく。
  5. 滲出性中耳炎:上の4つと違い、耳痛・発熱・耳漏を伴わない中耳炎です。中耳の中に液体成分が貯留し難聴を引き起こします。急性中耳炎をきっかけに滲出性中耳炎を発症する場合もあります。

中耳炎の種類と症状」で記しましたが、中耳炎の診断には鼓膜所見が必要です。つまり、医師は耳の穴をのぞく必要があります。加えて問診も行います。子どもの生活背景(集団保育の有無や既往歴、予防接種歴など)を把握することは、治療計画を練るうえで大切なことです。また、鼓膜所見と症状から重症度も判定します。

その他、必要に応じて聴力検査を行う場合もあります。

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    窪田 満 先生

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    周辺で中耳炎の実績がある医師

    日本大学医学部耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野 主任教授

    おおしま たけし

    血液内科、腎臓・内分泌内科、糖尿病・代謝内科、循環器内科、呼吸器内科、消化器・肝臓内科、腫瘍内科、脳神経内科、心療内科、小児科・新生児内科、精神科、皮膚科、消化器外科、心臓外科、血管外科、小児外科、呼吸器外科、乳腺・内分泌外科、形成外科、脳神経外科、整形外科、リハビリテーション科、産婦人科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、眼科、放射線診断科、放射線治療科、疼痛緩和外科、麻酔科、歯科口腔外科、病理診断科、臨床検査科、救急科

    東京都板橋区大谷口上町30-1

    東武東上線「中板橋」バス・タクシー乗り場なし 徒歩20分、東京メトロ有楽町線「千川」国際興業バス 日大病院行 バス10分

    東京逓信病院 病院長(耳鼻咽喉科所属)

    やまそば たつや

    内科、血液内科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、小児科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科口腔外科、麻酔科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、感染症内科、消化器内科、内分泌内科、代謝内科、総合診療科、病理診断科

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    東京科学大学 耳鼻咽喉科 教授、東京科学大学病院 副院長

    つつみ たけし
    堤 剛
    先生

    内科、血液内科、膠原病・リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、肛門科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

    東京都文京区湯島1丁目5-45

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