しんしゅつせいちゅうじえん

滲出性中耳炎

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

滲出性中耳炎とは、鼓膜の奥にある中耳に浸出液が貯留している病気です。痛みはありませんが、難聴や耳閉感などの原因になります。

原因

鼻の奥にある上咽頭と中耳は「耳管」を介して空間的につながっています。中耳は耳管を介して換気されることで外気圧と気圧差がないように調節されています。

通常、耳管は閉じていて、ものを飲み込んだり、あくびをしたりすると耳管が開き、中耳圧と外気圧が同じになるように換気されます。換気ができないと中耳は陰圧となり、浸出液が貯留して滲出性中耳炎になります。中耳換気ができない状況とは、いわゆる「耳抜き」ができない状況です。小児は耳管が大人より短く水平で、機能も未熟なため滲出性中耳炎になりやすい状態です。

急性中耳炎から滲出性中耳炎に移行する症例も少なくありません。また、「鼻すすり」も原因になります。他にも、アデノイド肥大、副鼻腔炎による鼻汁、上咽頭がん、加齢などによる中耳換気障害も滲出性中耳炎を引き起こします。

症状

滲出性中耳炎になると、耳閉感と呼ばれる、「耳のなかに水がたまっている感じ」や「耳が詰まっている感じ」などの症状が現れます。浸出液が溜まっているために難聴にもなります。

大人であればこれらの症状を自覚することは容易ですが、小児、特に乳幼児は正確に症状を表現することができません。そのため、「テレビの音が大きい」「呼んでも返事をしない」といった症状で発見されることもあります。感染症である急性中耳炎と違い、滲出性中耳炎では痛みがありません。

検査・診断

滲出性中耳炎は、顕微鏡や内視鏡を用いて鼓膜を観察することで診断が可能です。さらに、難聴の程度を確認するために純音聴力検査も行います。

ティンパノメトリーでは、外耳道の圧力を人為的に変化させることで中耳腔の圧状況がわかります。また、内視鏡を用いて鼻内や上咽頭を観察することで副鼻腔炎、アデノイド肥大、上咽頭癌の有無を確認します。成人では滲出性中耳炎を転機に上咽頭がんが発見されることもあるため注意が必要です。

治療

滲出性中耳炎の治療では、溜まった浸出液を排出しやすくするために去痰剤の内服を行います。また、副鼻腔炎などがある場合は治療を行います。特に「鼻すすり」の習慣がある場合は、やめるように教育する必要があります。

小児では、保存的治療改善することも少なくありません。3か月以上の保存的加療でも改善が見られない場合や40dB以上の難聴がある場合は鼓膜換気チューブ留置を検討します。成人であれば鼓膜換気チューブ留置はイオントフォレーゼと呼ばれる局所麻酔で可能です。しかし、小児で安静が保てない場合は全身麻酔で行います。また、アデノイド増殖症が原因の場合はアデノイド切除術も検討します。

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