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インタビュー

慢性中耳炎とは

慢性中耳炎とは
飯野 ゆき子 先生

東京北医療センター 耳鼻咽喉科 難聴・中耳手術センター 科長

飯野 ゆき子 先生

中耳炎は小さいお子さんがよくかかる病気のひとつとして知られています。急性のものであれば、すぐに治ってしまうことも少なくありませんが、中にはさまざまな原因によって慢性化してしまう中耳炎もあります。

東京北医療センター耳鼻咽喉科の飯野ゆき子先生は、これまで5,000件以上の手術経験をもつ中耳手術のエキスパートです。今回はまず慢性中耳炎とはどんな病気なのかについてうかがいました。

耳の構造

慢性中耳炎とひと口にいっても、いくつかの種類があります。一般的には、外耳と中耳を隔てている鼓膜に穿孔(穴が空いていること)があり、耳漏(じろう・外耳道から出る分泌液の総称で耳だれともいう)が続いて聴力が低下している状態を慢性中耳炎といいます。

また、穿孔はなくても鼓膜が奥のほうに内陥(ないかん・へこんでいること)して聴力が低下する癒着性中耳炎も慢性中耳炎のひとつです。そのほかには鼓室硬化症といって、石灰化病変や骨化病変が合併したものもあります。

中耳炎を繰り返すうちに鼓膜の一部分の上皮組織が陥凹して丸い球のように増殖する真珠腫性(しんじゅしゅせい)中耳炎は、広い意味では慢性中耳炎の一種ともいえますが、ここでは主に非真珠腫性の慢性中耳炎についてお話ししていきます。

慢性中耳炎においては、耳が聞こえにくいためTVの音を大きくしたり、自分の話し声が大きくなったりします。また、左右差がある場合は難聴側から話しかけると聞こえていないといったことがみられます。

急性中耳炎の場合のような耳の痛みはありませんが、感染をおこすと耳漏が生じ、鼓膜の穿孔から排膿(はいのう・膿がでること)がみられます。また、耳ポリープや真珠腫性中耳炎の原因になることもあります。

急性中耳炎の多くは鼻咽腔(びいんくう・鼻からのどにかけての空間)から耳管(じかん・鼻咽腔と中耳をつなぐ管状の部分)へウイルスや細菌の感染が波及することで発生します。これに加え、鼓膜に穿孔がみられる場合には外耳の方からも細菌などが入ってくることになり、これらが慢性的な炎症の原因にもなっています。

また、耳管開放症・耳管閉鎖不全など、耳管を閉じる働きが悪くなっていると、無意識に鼻をすする動作によって中耳腔を陰圧(圧力が低い状態)にして耳管を締める癖がつきます。このような方は鼓膜が内陥(内側にへこむ)して、そのことが真珠腫性中耳炎滲出性中耳炎の原因になるとも考えられています。

従来は耳管の機能不全といえば耳管狭窄症によって鼻から耳への通りが悪いことが問題視されていましたが、現在では耳管開放や閉鎖不全:すなわち閉じるべきときに閉じていないことのリスクと耳管狭窄という2つの観点でとらえられています。

また、大人の慢性中耳炎では、子どもの頃にかかった中耳炎が完治していないことが原因になっている場合が多いとみられています。

乳幼児は耳管そのものが短く水平に位置しているため、風邪(上気道炎)などで細菌が侵入しやすくなっています。寝かせたまま授乳したりすると、ミルクが中耳に流れてしまうこともあります。

また、ダウン症・口蓋裂など先天的な異常があると滲出性中耳炎慢性中耳炎のリスクが非常に高くなります。耳管を構成する軟骨が柔らかく、また耳管を開閉する筋力も不足しているため、耳管を締める機能が充分ではないからです。こうした先天的な異常がある場合、高頻度に中耳炎がみられます。急性のものより滲出性中耳炎(関連記事「滲出性中耳炎とは」「滲出性中耳炎の治療」参照)が多く、治りにくい傾向があります。

このほか、慢性副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症の患者さんやアデノイド(鼻腔の奥にある咽頭扁桃とよばれるリンパ組織の集まり)が大きい方は細菌感染が耳管や中耳に及ぶ可能性が高くなります。

環境因子としては保育園など集団生活での感染症(とくに薬剤耐性菌感染症)や受動喫煙といった生活環境がリスクになります。また、人工栄養児では授乳の体位による影響や、母乳には含まれているIgA(免疫グロブリンA)による感染防御機能が不十分であることも指摘されています。

急性中耳炎の主な原因菌は肺炎球菌とインフルエンザ菌ですが、慢性中耳炎の場合はMRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)を含む黄色ブドウ球菌や緑膿菌が懸念されるところです。

学童期のお子さんでは学校検診の聴力検査で中耳炎を疑われるケースが多く、診断のきっかけとなっています。耳鼻咽喉科の専門医が診察をすれば、鼓膜の穿孔の状態から慢性中耳炎なのか惨出性中耳炎であるかは容易に判断がつきます。また、穿孔から出た膿を培養して細菌の種類を調べることもあります。

聴力に関してはさまざまな検査で難聴の程度を調べることにより、単に鼓膜の穿孔で聴力が落ちているのか、それとも中耳内で音を伝える耳小骨が壊れていないかなども診断することができます。

さらにくわしく調べる場合にはCT(コンピューター断層撮影)を行い、中耳内の炎症状態を見極めます。真珠腫性中耳炎や頭蓋内の合併症が疑われる場合にはMRI(磁気共鳴画像)検査を行う場合もありますが、通常はCTで充分診断ができます。

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