概要
慢性副鼻腔炎とは、鼻漏や鼻づまりなど副鼻腔の慢性的な炎症症状が12週間以上消失しない状態です。インターネット上では「蓄膿症」と検索されていることも多いようです。風邪に関連した急性副鼻腔炎から続発することが多い疾患です。
原因
副鼻腔は頭蓋骨中央にある空間の総称です。左右に上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞、前額洞の4種類あります。風邪に関連した急性副鼻腔炎から続発することが多く、ほとんどは細菌感染によるものです。鼻中隔彎曲症なども発症因子となります。
子どもでは免疫が不十分なことやアデノイドが大きいことも関係しています。つまり、慢性副鼻腔炎といっても子どもと大人では病態が異なります。近年はアレルギーが原因の好酸球性副鼻腔炎が増加しており、喘息を合併することも多く、難治性です。
症状
鼻腔および副鼻腔粘膜が腫れます。悪化すると鼻茸と呼ばれるポリープも生じます。そして空気の通り道が狭くなり、鼻閉となります。慢性炎症ですので黄色で粘りのある鼻汁が出ます。鼻汁はのどにたれ込む後鼻漏となり、咳嗽の原因になります。
眼、頬、前頭部周囲の重い感じや嗅覚障害も起きます。特に好酸球性副鼻腔炎では嗅覚障害が初発症状のことも多く 、注意が必要です。
検査・診断
好酸球性副鼻腔炎では問診で気管支喘息の有無を確認することが重要です。鼻鏡や内視鏡を用いて鼻腔を観察します。そして、鼻汁の量や質、粘膜の腫れ具合、鼻ポリープの有無を確認します。そしてレントゲン、CT、MRIといった画像検査を行います。副鼻腔は骨に覆われているため内視鏡で観察ができないためです。レントゲンよりCTの方がどの副鼻腔に炎症が起こっているか詳しくわかります。そのため、近年は最初からCT を行うことが増えています。MRIでは副鼻腔を占拠している病変の性状が分かります。
癌や乳頭腫など腫瘍性病変や、好酸球性副鼻腔炎の鑑別には生検が有用です。また、鼻腔や鼻汁の細菌培養検査は抗菌薬の選択に役立ちます。また、アレルギー性鼻炎を原因として発症することもあるため、採血などでアレルギーに関連した検査も行います。
治療
一言で慢性副鼻腔炎といっても病態がさまざまで、病態を正確に把握しながら治療することが重要です。保存的治療ではマクロライド系抗菌薬や去痰剤を用います。また、鼻腔や副鼻腔に薬剤を直接投与することを目的にエアロゾル(吸入)療法も行われます。小児では保存的療法で治癒が期待できます。しかし、成人でポリープにより鼻腔と副鼻腔の交通が閉塞している場合、根治に手術が必要なることも少なくありません。
現在は内視鏡を用いてポリープや副鼻腔の腫れた粘膜を除去し、副鼻腔と鼻腔を一つの空間として換気を改善する手術が行われます。
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副鼻腔炎の症状なのか
以前からご相談している痰の絡みに引き続き首のしこりが治らなかったので呼吸器内科にも本日行ってきたら耳鼻咽喉科の先生と言われたことは似ていてレントゲンも撮りましたが肺炎とかの可能性はないとのことでした。 喉が腫れていたりするから副鼻腔炎だと思われるとの話でした。ただ鼻水もなく副鼻腔炎といえば鼻水の印象が強いんですが、副鼻腔炎の症状で痰が多かったりまた首にしこりができるものなのでしょうか。 首のしこりはいくつもあるんですがと話すと1つの方が危なくてたくさんあると言うのはリンパの炎症の可能性が高いとのことでした。 副鼻腔炎でこのような症状。 また熱はないのに風に似た症状。というのはありえるんでしょうか。
今までにない酷い頭痛
昨夜23時頃のお風呂後、目が霞んでいた。 深夜1時頃、右目の奥と右の頭の片側だけが我慢できないほど痛みだした。 イブクイックを服用後、2時にはゆっくりおさまって就寝出来たが、今までにない痛みで、非常に痛かったとのこと。 吐き気はなく、涙が出ることもなく、見た目は異常なしでした。 7117に電話したら、救急車を呼ぶべきと言われたが、本人が拒否のため、様子見になりました。 ネットで調べると、群発頭痛に似ていますが、鼻が詰まっていたので、心配です。
鼻茸に関するご相談
鼻茸と思われる症状が出ております。鏡で鼻の中を覗くと、ポリープのようなものでかなり空洞が狭くなっております。 発症してからは相当の年数が経過していると思われます。 これが原因かは定かではないですが、嗅覚が弱い自覚があり、睡眠中のいびきも家族から指摘を受けているため、改善しようと考えております。 この場合、手術をするのが一番良いのでしょうか? 見解を伺えると幸いです。 宜しくお願いします。
副鼻腔炎に関する治療方法について
1年半前頃、副鼻腔炎の診断を受けました。治療完了をしていますが、くしゃみなどをすると、少し臭い匂いを感じます。 大病院に通い、検査や手術などを行なった方が良いでしょうか。 元々アレルギー性鼻炎で、風邪を引くと、鼻水が出て、それから副鼻腔炎の症状(ほっぺやおでこ辺りが痛くなる)になるケースが多々あります。
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