概要
口唇や頬粘膜、舌などにできる境界明瞭な円形の有痛性の潰瘍です。表面は白い偽膜があり周囲紅斑がみられ、症状としては、食べ物がしみる、口の中を触ると痛い、口内炎が繰り返しできるなどが特徴的です。10日前後で治りますが周期的に再発を繰り返すことがあり、これは慢性再発性アフタとよばれます。
原因
発症機序は不明ですが、原因としてビタミンの欠乏、ホルモンの変調、胃腸障害、自律神経失調など、誘因として歯の鋭縁(えいえん:とがっていること)、義歯や補綴物の不正、歯石、食物中の異物、刺激物、誤って咬むなどが挙げられます。
外来刺激または新陳代謝の低下などにより口腔粘膜の表面にわずかな傷が生じたところから細菌が繁殖すると、アフタ性口内炎になるとも考えられています。
症状
1cmまでの著明な接触痛を伴う境界明瞭な円形ないし類円形の潰瘍をアフタといいます。
口の中をさわると痛い、口の中のいろいろなところに口内炎が繰り返し生じる、食べ物がしみるなどの訴えがみられます。表面に黄白色の偽膜を付着し潰瘍の周囲に炎症性の紅斑を伴います。通常10日から2週間程度で治癒し瘢痕(はんこん:あと)を残しません。
慢性再発性アフタは、1個から複数個のアフタが周期的または不定期に繰り返し現れるもののことをいい、再発傾向があります。口腔粘膜のあらゆる部位に出現し、特に舌や口唇・頬粘膜に好発します。逆に、硬口蓋や赤唇部といった角化部位には少ないです。対症療法を繰り返しているうちに治癒する場合が多いです。
検査・診断
通常は視診により症状を確認することで診断できます。問診・視診・触診により診断が容易で明らかなときには、検査は行いません。
悪性腫瘍との鑑別のため、疼痛や周囲硬結の有無の確認を行ったり、ベーチェット病などアフタ性口内炎を随伴する疾患を評価したりする目的で、全身症状の確認が必要な場合があります。
治療
原因となり得る外傷要因(パンの固い部分などによる気がつきにくい微小外傷)や生活習慣(喫煙、ストレスなど)を取り除き、食習慣や口腔衛生などを改善します。また含漱薬(がんそうやく:うがい薬)の使用などにより口腔内を清潔に保つことが重要です。その後、対症的にステロイドを局所投与(口腔粘膜に塗布)することが多いです。
しかし、根本的な治療方法は確立していません。慢性再発性アフタは通常2週間ほどで瘢痕も残さず治癒しますが、2週から3か月間隔で再発を慢性的に繰り返します。再発性アフタの治療においては、含漱だけでなく専門医による口腔ケアを行うと有効です。
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