概要
アフタ性口内炎とは、舌、頬粘膜、口唇粘膜などに生じる直径2~10mm程度の円形または円に近い形の痛みを伴う浅い潰瘍のことです。潰瘍の表面は黄白色や灰白色の膜(偽膜)で覆われ、周囲は、紅暈とよばれる紅斑で赤く縁取られています。単発性のこともあれば複数個が同時に多発することもあります。
アフタ性口内炎は、口内炎の中でもっとも多くみられ、一般的に口内炎というとアフタ性口内炎を指します。さらに、アフタ性口内炎は再発を繰り返す場合が多く、再発性アフタ性口内炎とも呼ばれ20~30歳代に多くみられます。男性より女性に多く、喫煙者に少ないといわれています。
発症すると患部に強い痛みを伴いますが、通常1~2週間程度で自然に治癒します。
原因
明らかな原因は不明ですが、遺伝、咬傷(咬み傷)などの口腔内の外傷、過労、睡眠不足、精神的ストレス、細菌やウイルスなどによる感染、薬物や食物アレルギー、胃腸障害、ビタミンB群や鉄、亜鉛、葉酸の欠乏、免疫学的異常などが考えられています。
症状
アフタ性口内炎は大きさにより、小アフタ型(直径10mm以下)、大アフタ型(直径10~30mm)、疱疹状潰瘍型(直径1~2mm)の3つに分類されます。もっとも頻度が高いのが、小アフタ型で、強い痛みや灼熱感を伴いますが、通常は特別な治療をせずとも1~2週間程度で瘢痕(傷あと)を残さずに治癒します。大アフタ型は、潰瘍が深く、頸部のリンパ節が腫れることもあります。治癒までの期間も長く、瘢痕を残して治癒します。
疱疹状潰瘍型は、小さな潰瘍が多発的、散在性に発生します。ヘルペス性口内炎との鑑別が必要です。1~2週間程度で瘢痕を残さず治癒しますが、短期間で再発を繰り返します。
検査・診断
一般的に、アフタ性口内炎は口腔内の所見から診断できます。そのため、特別な検査が必要になることはほとんどありません。
しかし、再発性アフタ性口内炎の場合はベーチェット病など全身疾患との関連性を除外する目的で、血液検査を行うことがあります。
また、アフタ性口内炎は単純ヘルペスウイルス感染症と似た症状を引き起こすため、採取した組織を顕微鏡で観察し単純ヘルペスウイルスの有無を調べることもあります。
治療
アフタ性口内炎の多くは治療をしなくても1~2週間ほどで自然に治癒します。しかし、痛みなどの症状が強い場合は、炎症を抑えるために副腎皮質ステロイドの軟膏や貼付剤、アズレン含嗽液(うがい薬)を使用することがあります。
また、ビタミンB群をはじめとする栄養を補うビタミン薬や漢方薬などを使用することもあります。さらに、症状が強い場合は、消炎鎮痛薬の使用やレーザー照射が検討されることもあります。
一方、ベーチェット病などの病気によって引き起こされるアフタ性口内炎では、これらの対症療法とともに原因疾患自体の治療も同時に行っていくことが必要です。
予防
明確な発症メカニズムが解明されていないため、確立した予防法はありません。
しかしながら、アフタ性口内炎は口の中の衛生状態が悪いと発症リスクが高いといわれています。日頃から丁寧なブラッシングを行い、定期的に歯石を除去するなど口の中を清潔に保つように心がける必要があります。さらに、発症の誘因となる睡眠不足、栄養不足、偏食などの生活習慣を改善し、ストレスや疲労をためないように工夫することも重要です。
そのほか、口の中の粘膜にダメージを与えるような熱い食物や辛い食物を控えることも予防につながります。
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