編集部記事

口内炎を治すには~病院でもらえる薬や自分でできる対処法について~

口内炎を治すには~病院でもらえる薬や自分でできる対処法について~
戸原 玄 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...

戸原 玄 先生

山口 浩平 先生

東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...

山口 浩平 先生

目次
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口の中や口の周りの粘膜に起こる炎症は、一般的に「口内炎」と呼ばれています。代表的な症状は炎症部位の痛みであり「食べ物を食べたり、飲み込んだりするときに痛くて食事が楽しめない」「歯磨きをするときに、歯ブラシが当たって痛い」といったように、毎日の生活に支障をきたすほどの強い痛みになることもあります。

一口に口内炎といっても、原因によって治し方が異なります。まれではありますが、症状が長引く場合は口腔がんなどのほかの病気である可能性もあります。それでは、口内炎の症状がどのようなものであれば、病院の受診を検討するべきなのでしょうか。また、自分でできる対処法にはどのようなものがあるのでしょうか。

口内炎は「放っておけばそのうち治る」と軽視されがちですが、重い病気が隠れている可能性もあるため注意が必要です。

病院の受診を検討したほうがよい症状の例としては、次のようなものが挙げられます。

  • 2~3週間、口内炎がずっと治らない
  • 口腔内全体や口の周りに口内炎が広がっている
  • 発熱などの全身状態の症状がある
  • 口の中の粘膜がただれている激しい痛みがある

たとえば、まれな病気ですが、初期の口腔がんは口内炎とよく似た症状がみられます。また口の中全体や唇、口の周りなど複数の箇所に炎症が広がり、赤くただれて激しい痛みを伴うのであれば、ウイルス性の口内炎である場合も考えられるでしょう。

口内炎がなかなかよくならないときには、別の病気が隠れている可能性が考えられるため、早めに病院で診察してもらいましょう。

口内炎の治療は、歯科が専門とされていますが、口腔外科や耳鼻咽喉科でも診療が可能です。子どもの場合は、小児科でも診察してもらえることがありますが、病院によっては対応していないところもあるため、前もって確認しておくと安心です。

いずれの診療科を受診した場合でも、がんなどのより重い病気が疑われる場合は、より専門的な医療機関を紹介してもらえます。

病院では、薬物治療を中心とした治療が行われます。治療に使われる薬は口内炎の種類によって異なります。

一般的な口内炎(アフタ性口内炎)に対しては、患部の炎症を抑える抗炎症成分が配合されたステロイド軟こうや殺菌消毒成分が配合されたうがい薬が処方されます。

代表的なものに、ヘルペスウイルスと呼ばれるウイルスの感染によるヘルペス性口内炎があります。この場合は、原因であるヘルペスウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬の塗り薬や飲み薬などが処方されます。

カンジダ菌というカビ(真菌)の一種が口の中で過剰に増殖すると、炎症を引き起こすことがあります。この場合には、カビの繁殖を抑える抗真菌薬が処方されます。

上記のほか、口内炎が悪化して激しい痛みを伴う場合には、痛みの対処法として、痛み止めが処方されることもあります。

口内炎の原因は、ウイルス感染や細菌の増殖などさまざまです。食生活が乱れていたり口の中の環境が悪化したりしていると、これらを引き起こしやすくなります。口内炎ができたときには、日頃の生活習慣を見直してみるとよいでしょう。

口の中の粘膜を傷つけたことがきっかけで、口内炎が発症するケースも少なくありません。歯磨きをするときには、口の中を傷つけないよう優しくブラッシングすることを心がけましょう。

毛先が硬すぎる歯ブラシは、歯や歯茎を傷つけるリスクがあるため、口内炎がある人や、口内炎ができやすい人は普通~やわらかめのタイプを選ぶとよいでしょう。

また、口の中の炎症が強い場合は、痛みで歯磨きをするのもつらくなるかもしれません。その場合は、小回りの利く小さめのヘッドの歯ブラシを選ぶと、患部に当たりにくくなり、磨きやすくなります。

口の中にはたくさんの細菌がいて、増えすぎると炎症の原因となることがあります。食後はうがいや歯磨きをして、口の中を清潔に保ちましょう。

舌の表面に白黄色の舌苔(ぜったい)がたまると、細菌の温床になるといわれています。舌苔を効率的に除去するには、舌専用のブラシを使うとよいでしょう。

口の中が乾くと、粘膜の免疫力が低下して細菌が増殖しやすくなるといわれています。こまめに水分を補給したり、うがいをしたりすることで口の中の乾燥を防ぐようにしましょう。ガムを噛んだりアメをなめたりすることで唾液の分泌を促すこともできますが、糖分が原因で口の中の環境が悪くなることもあるため、注意が必要です。

口内炎の原因のひとつに、偏った食事によるビタミン不足が挙げられます。バランスのよい食生活を心がけましょう。

特に、ビタミンB2やB6、Cは、皮膚や粘膜を保護し、口の中の炎症を起こりにくくするはたらきがあるとされています。反対に、刺激のある食べ物は口内炎を悪化させる原因となることがあります。熱すぎるものや冷たすぎるもの、アルコール、辛いものなどは控えるようにしましょう。

また、口内炎にハチミツや塩を塗るという民間療法がありますが、医学的に効果があるとはいえません。患部に刺激を与え、症状を悪化させる恐れもあるため、避けるようにしましょう。

歯科医院での検診とクリーニングは、口内炎を未然に防ぐことにつながります。定期的に歯科検診を受けて、口の中の状態をチェックする機会を持ちましょう。口の中の健康を維持するためには、セルフケアと歯科医院でのケアをうまく取り入れることが大切です。

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  • 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京科学大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長

    戸原 玄 先生

  • 東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 講師

    山口 浩平 先生

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