東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 老化制御学系口腔老化制御学講座 高齢者歯科学分野 准教授の戸原玄先生は摂食嚥下障害(せっしょくえんげしょうがい)を専門とされ、外来診療だけでなく往診での在宅診療を行っています。地域のクリニックからの依頼による連携、そして「摂食嚥下関連資源マップ」というウェブサイトを通じた全国的な医療連携の取り組みについてお話をうかがいました。
地域で在宅診療に力を入れている医師の中でも、特に神経内科などは嚥下の悪い患者さんを多く抱えています。往診の依頼元としてはそういった在宅中心のクリニックがもっとも多く、その他にも在宅の歯科からの依頼もあります。在宅の歯科からの依頼には、併診(へいしん)のような形で主治医と一緒に診る場合と、単独で依頼される場合があります。
併診をする歯科医の先生からは、患者さんのさまざまな情報をもらうことができます。ところが単独での往診依頼では、患者さんの疾患情報などがあまりなく、ただ「嚥下が悪いので診てほしい」というケースがしばしばあります。患者さんの状態を正しく評価するためにはやはり疾患の情報、少なくともどんな薬を服用しているのかといったことは必要ですし、たとえば「脳梗塞」とだけ書いてあって他に情報がないというのはさすがに診断に困ります。
外来まで頑張って来てくださったことで疲れてしまう患者さんもいますし、逆に家ではうまく飲み込めないのに外来に来たときは飲めてしまうということもあり、普段の様子がわからないことがあるからです。
たとえばある高齢の患者さんの場合、ADL(activities of daily living:日常生活動作)の面では普通で、少し痩せていらっしゃる程度だったのですが、むせるので診てほしいという依頼がありました。ご自宅にうかがったところ、椅子に座って食事をされているのですが、テーブルの高さが低すぎてかなり前かがみになっておられました。おそらくそのことが少なからず影響していると考えられたので、もっと高さのあるテーブルで食事をすることをご提案したことがあります。こういったことは外来で患者さんを診ているだけではわかりません。
実際に生活されているところへうかがってみると、環境因子がどうなっているかということがわかります。そこから良くないものを取り除くだけで改善できるような要因はたくさんあります。
私が業務主任者を務める「高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究」(厚生労働科学研究委託費長寿・障害総合研究事業)では、摂食嚥下関連資源マップというウェブサイトを公開しています。
このサイトでは研究結果を紹介するとともに、摂食嚥下障害の治療をしている医療機関を一覧表示または地図で探すことができます。現在はまだ検索機能がありませんが、登録医療機関を増やしつつ、使い勝手を良くしていきたいと考えています。
また将来的には、要介護の方や胃ろうの方が食べられるメニューのある飲食店をピックアップして掲載したいと考えています。嚥下の訓練をして食べられるようになったときに行ってみたいお店があるということがモチベーションにもなりますし、外へ出かける動機付けにもなるのではないかと考えているからです。
我々はこのサイトを足がかりに連携が進み、地域や医療・介護資源がつながっていくことを目指しています。それにはまず、ひとりでも多くの方に「摂食嚥下関連資源マップ」を知っていただくことが重要であると考えています。
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京医科歯科大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京医科歯科大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士日本老年歯科医学会 認定医・老年歯科専門医・指導医・摂食機能療法専門歯科医師
高齢者を中心とする摂食嚥下障害の治療、リハビリテーションに取り組み、往診による在宅診療や地域連携を積極的に行っている。厚生労働科学研究委託費長寿・障害総合研究事業“高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究”の業務主任者を務めている。ウェブサイト“摂食嚥下関連医療資源マップ”やその他のインターネットメディア・講演活動などを通して、摂食嚥下障害に関する情報発信も行っている。
戸原 玄 先生の所属医療機関
関連の医療相談が10件あります
8歳の子どもに行うオルソケラトロジーについて
近視の為、眼科でオルソケラトロジーを勧められています。行っても視力は現状維持で、良くはならないと説明を受けました。費用も高額で、毎晩親が装着し、朝は外すという事を続けなければならず、試しにつけた際、痛がったこともあり、やるべきかどうか悩んでいます。何もせず、そのままにしておけばもっと悪くなる恐れがありますし、近視は将来別の病気のリスクが高くなると言いますので、高い費用を払って、毎日の手間をかけてでもせめて現状維持し、将来のリスクを少しでも回避できるよう、やるべきとも思いますが、オルソケラトロジーの眼への悪影響もわからず不安なこともあり、悩んでいます。また、行うとなった場合、最近は行っている病院も増えており、その中から実績があり、信頼のおける病院を探す方法がわからず、そちらも合わせてご教示いただきたく、どうぞ宜しくお願い致します。
鼻炎で鼻汁が気管に下りて痰になり咳が出る
子どもの頃に副鼻腔炎を患ったことがあり、その影響が多分あるのだろうと思いますが、風邪を引くと鼻炎になりやすく、ひどくなると鼻汁が黄色みを帯びてきます。今月になって風邪で発熱し、熱が治った20日位前から、鼻汁が気管に下りてきて痰ができ、それを出すために咳が続いています。今回は鼻汁の色は無色透明です。咳は夜間にひどく出ます。 現在、漢方薬の麦門冬を服用していますが、このまま続けて快方を期待した方が良いでしょうか? また、他に何か効能のある薬やサプリ、食べ物とかを紹介していただけるとありがたいです。
転々と関節炎になる。
11/28に股関節炎(水が溜まっていた)の診断で、2週間の入院を経て、自宅で治療してます。入院した病院から紹介状を頂き、リウマチ科を受診しましたが、検査を2度実施してますが、正式な病名が不明です。関節の違和感や痛み、指先の痺れは継続してます。処方された薬はステロイド系の物、ロキソニン、胃薬です。この状況を察して、どんな病気が考えられますか? リウマチ科の先生は、血管炎とも言ってましたが検査後い特に断言しませんでした。
憩室炎、通院治療の際の推奨される食事内容と別の食事の質問
5日前の夜に右下腹部の違和感があり、4日前から痛みが出ている状況です。 同じような症状は3ヶ月ほど前にもありその際は抗生物質で治った経験があります。 3日前に内科受診、抗生物質を処方される(最寄りの消化器内科が休みのため内科受診) 2日前の夜に痛みがかなり増す。 昨日の朝に痛みがピークになったため消化器内科受診。そこで点滴治療を受けたのと外科の紹介状を書いてもらう。 本日外科を受診して検査の結果、憩室炎と言われました。 入院を強く勧められましたが通院治療を選択しております。 点滴治療を昨日から受けており今後も(少なくとも明日以降3日間も)毎日通院で受ける予定です。 前置きが長くなりましたが、このような状況で推奨される食事内容はどういったものでしょうか? また別の質問で、痛みがかなり酷くなった2日前の昼にバイキングで普段より食べすぎていたのですが、これは痛みが酷くなったのと関係ありますでしょうか? 以上となりますがよろしくお願いいたします。
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