東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...
戸原 玄 先生
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...
山口 浩平 先生
舌がんは舌にできるがんのことです。口の中にできる“口腔がん”の一種で、口腔がんの中では最も頻度が高いがんです。
舌がんの主な症状は舌のしこりやただれで、痛みや出血がないこともあります。舌がんの初期症状は口内炎に似ているため、発見が遅れることも少なくありません。目安として、薬を使用しても口内炎が2週間近く治らない場合は、舌がんや他の病気の可能性も考えて受診を検討するようにしましょう。
がんと聞くと命にかかわる病気であり、進行した状態で見つかると手遅れと感じてしまう人もいると思います。それでは、舌がんはどれくらいの人がかかるがんで、生存率はどれくらいなのでしょうか。また、治療後の再発の可能性はあるのでしょうか。
日本では毎年約4,000人が舌がんと診断されています。日本人に多い胃がんの人数が約135,000人であることと比べると、そこまで頻度が高いがんではありませんが、近年増加傾向にあるといわれています。
舌がんは、がんの大きさや、他の臓器への転移の有無によってステージI~ステージIVの4つに分けられます。一般的に、がんのステージが大きくなるほど生存率は低くなり、舌がんのステージごとの5年生存率はステージIで95%程度、ステージIIで80%程度、ステージIIIで60%程度、ステージIVで50%程度です。統計を見ると、早い段階で治療を行えば治るがんであることがわかります。また、進行した状態で見つかったからといって必ずしも手遅れということではなく、適切な治療を受けることで長く生きられる方もいます。
舌がんの治療の基本は手術によるがんの切除です。切除した部分が広ければ舌の再建手術(別の組織を用いて舌を新たに作り直す手術)を行い、日常動作になるべく影響が出ないように治療をします。このとき、がん細胞を取りこぼさないように切除を行いますが、全てのがん細胞が取り切れていなければ、時間をかけてがん細胞が大きくなり、がんを再発してしまうこともあります。
また、がん細胞はリンパ節に乗って体内をめぐり、舌から離れた部位に転移することもあります。特に、舌がんは首の太いリンパ節(頸部リンパ節)に近い位置にできるため、比較的転移を起こしやすいといわれています。頸部リンパ節への転移が見られた場合はリンパ節の切除を行ったり、手術後に抗がん剤治療を行って体内に散らばった小さながん細胞を死滅させたりします。
転移や再発のリスクは患者さんの状態や生活環境によって異なるため、一概にいうことはできません。一般的に、舌がんの再発は治療後2年以内に起こることが多いといわれており、この間は1〜2か月に1回程度受診を続け、転移や再発を起こしていないか観察する必要があります。またその後も頻度を減らしながら経過観察を続け、5年程度は様子をみる必要があります。
再発後の治療は、手術を行っていない場合は手術を行うことが基本です。最初の治療で手術を行っていれば、放射線療法や抗がん剤による化学療法が行われます。これは舌の別の部位にがんが再発した場合も同様であり、初回治療の内容や個々の状態に合わせて治療法が選択されます。
舌がんを含め、口腔がんはそれほど頻度の高い病気ではありません。そのため、周りに舌がんのことを知っている人が少なく、自分の異変が舌がんの初期症状であることに気が付かないこともあるかもしれません。
舌がんは体の外側にできるがんであるため比較的治療しやすく、適切な治療によって治ることもある病気です。しかし、発見が遅れるほど治療が難しくなり、再発のリスクも高くなるため、少しでもおかしいと感じたらなるべく早く、医療機関を受診するようにしましょう。
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京医科歯科大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 講師
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京医科歯科大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士日本老年歯科医学会 認定医・老年歯科専門医・指導医・摂食機能療法専門歯科医師
高齢者を中心とする摂食嚥下障害の治療、リハビリテーションに取り組み、往診による在宅診療や地域連携を積極的に行っている。厚生労働科学研究委託費長寿・障害総合研究事業“高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究”の業務主任者を務めている。ウェブサイト“摂食嚥下関連医療資源マップ”やその他のインターネットメディア・講演活動などを通して、摂食嚥下障害に関する情報発信も行っている。
戸原 玄 先生の所属医療機関
山口 浩平 先生の所属医療機関
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