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口腔がんの主な原因は喫煙と飲酒~セルフチェックで早期発見につなげる~

口腔がんの主な原因は喫煙と飲酒~セルフチェックで早期発見につなげる~
野村 武史 先生

東京歯科大学口腔腫瘍外科学講座 主任教授、口腔がんセンター センター長

野村 武史 先生

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口腔がんとは、口の中(口腔)に発生するがんの総称です。がんができる場所によって舌がん、下歯肉がん(下顎歯肉がん)、上歯肉がん(上顎歯肉がん)、口腔底がん(口底がん)、頬粘膜がん、硬口蓋がんに分けられます。口腔がんの患者数は増加傾向にあり、2016年の罹患数は約8,000人とされています。また、発症が多い年代は男性では60~70歳代、女性では60歳代以上で男性のほうが女性より発症数が多いとされています。

この記事では、口腔がんの原因をメインに症状やセルフチェックの方法などを詳しく紹介します。

口腔がんの原因にはさまざまな要素が関係しており直接の原因を明らかにすることは難しいとされていますが、主な原因には喫煙や飲酒、口内への刺激があると考えられています。

口腔がんの原因の約80%は喫煙だと考えられています。たばこには約70種類の発がん物質が含まれており、たばこを吸うことでこれらの有害物質が肺を通り血液によって全身の臓器に運ばれます。この有害物質がDNAを損傷させるなどしてがん発生に影響を及ぼすとされています。

また、喫煙は口腔がんに限らず全てのがんのリスクを高めると考えられており、男性がん患者の30%、女性がん患者の5%は喫煙が原因とされています。

飲酒も喫煙と共に口腔がんの原因と考えられています。飲酒だけでも口腔がんのリスクは高まりますが、飲酒と喫煙の両方の習慣があるとよりがん発生リスクが高まるとされています。

また、飲酒も口腔がん以外のさまざまながんの原因になると考えられています。これは体内に取り込まれたエタノールが発がん物質に変化したり、免疫力を下げたりすることが理由にあるとされています。

口腔がんでは口の中の環境も原因になると考えられています。たとえば、歯磨きがおろそかになっていることなどで口の中が不衛生であったり、慢性的な刺激を受けていたりすることなどがリスクとなります。

慢性的な刺激となり得るものには、合わない入れ歯や虫歯による歯の欠け、詰め物や被せ物が外れてとがっている歯などが挙げられます。

口腔がんの自覚症状として口の中にしこりや異物感がある、しみる、口内炎が治りづらい、入れ歯が合わなくなることなどが挙げられます。初期の頃は痛みが出ることは少ないとされており、進行すると口が開けづらい、飲み込みづらい、痛みや出血がある、首にしこりができるといった症状が現れることもあります。

口腔がんの中でもっとも罹患数が多く半数以上を占めるのが舌がんです。舌がんの初期症状は、舌にしこりや炎症ができる、赤や白の斑点がある、動きに違和感がある、しびれがある、口内炎が治りづらいことなどがあります。さらに進行すると痛みや出血が続いたり、口臭が強くなったりすることもあるとされています。

また、発症部位は舌がんは舌の両脇や裏側などにできることが一般的で、舌の先端や表面の真ん中あたりにできることは少ないといわれています。

口腔がんの症状には口の中の赤みや炎症など口内炎と似たようなものがあるため、口内炎だと思ってそのままにしておいたら実は口腔がんだったという人は少なくないといわれています。また、歯肉がんの場合は歯茎の腫れ、出血、歯のぐらつきなど、歯周炎と似たような症状が出ることがあります。

以上のことから口腔がんは診断が遅れてしまうことがあります。そのため、口内炎のような症状以外に痛み、舌の動きや見た目の違和感、顎の下のリンパ腺の腫れ、しこりなどが見られる場合は受診を検討したほうがよいでしょう。基本的に口内炎や口の中の異常が2週間経っても治らない場合を受診の目安と考えられるといわれています。

口腔がん口内炎歯周炎と混同してしまい診断が遅くなることがあるため、定期的なセルフチェックが大切です。以下のような項目に注意して月に一度はセルフチェックするように心掛けましょう。

  • 2週間以上治らない口内炎がある
  • 口の中の粘膜や舌が白い
  • 舌に赤みや炎症がある
  • 舌の表面がざらついている
  • 舌にしこりがある
  • 歯茎に腫れ、出血がある
  • 歯がぐらついている

どれかに当てはまる場合は耳鼻咽喉科や歯科の受診を検討するとよいでしょう。

口腔がんの原因には飲酒や喫煙、口の中の環境が悪い、刺激があるなどが挙げられます。また、症状には口内炎歯肉炎に似た症状、しこりや舌の動かしづらさを感じることがあります。これらは日常生活で生じる症状でもあるため、定期的なセルフチェックをし、舌がんの早期発見・早期治療につなげられるようにしましょう。

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実績のある医師

周辺で口腔がんの実績がある医師

東京科学大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 口腔機能再構築学講座 顎口腔腫瘍外科学分野 教授

はらだ ひろゆき

内科、血液内科、膠原病・リウマチ内科、外科、心療内科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、肛門科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、消化器内科

東京都文京区湯島1丁目5-45

JR中央・総武線「御茶ノ水」東京メトロ丸ノ内線も利用可能 徒歩3分、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」 徒歩5分

東京慈恵会医科大学附属病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科 講師

ながおか まさと

東京慈恵会医科大学附属病院―“根治”と”機能温存”の両立を目指し、希少がんの治療に挑む

日本の医療を支える東京慈恵会医科大学附属病院による頭頸部がんをテーマにした特集です。

救急科、総合診療科、消化器内科、肝臓内科、脳神経内科、腎臓内科、リウマチ科、膠原病内科、循環器内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科、腫瘍内科、血液内科、呼吸器内科、感染症内科、精神神経科、小児科、消化器外科、肝胆膵外科、乳腺外科、呼吸器外科、血管外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、心臓血管外科、婦人科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、皮膚科、リハビリテーション科、歯科、脊椎脊髄外科、緩和ケア内科、産科、放射線科

東京都港区西新橋3丁目19-18

都営三田線「御成門」A5出口 徒歩3分、東京メトロ日比谷線「神谷町」3出口 徒歩7分、東京メトロ銀座線「虎ノ門」1番出口 徒歩10分

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