舌がんとは口腔がんの一種で、主に舌の前方2/3の部分に生じたがんのことです。口腔がんの中でもっとも頻度が高いのが舌がんです。治療は主に手術、放射線治療、化学療法があり、第一に手術が行われることが一般的です。手術は、初期の段階であれば小さい範囲の切除で済み、術後の機能障害も少ないといわれています。このことからも、早期発見・治療が重要です。
では、初期の段階ではどのような症状が出るのでしょうか。このページでは、舌がんの初期症状や受診の目安、セルフチェックの方法、舌がんになりやすい人の特徴などについてご紹介します。
舌がんは初期段階では痛みなどのはっきりとした症状がでにくいため、異常に気付かないこともあります。また、痛みや出血のような明らかな症状が現れない場合もあります。しかし、舌は鏡を使えば自分で観察することができ、指で触ることのできる部位です。そのため、ほかのがんと比較すると早期発見・治療に結びつきやすいがんともいえます。
鏡などを使って定期的にチェックを行い、気になる症状があれば医療機関の受診を検討しましょう。受診する診療科は歯科や口腔外科、あるいは耳鼻咽喉科が望ましいでしょう。
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舌がんの多くは舌の中央や先端ではなく、舌の両脇部分に生じます。また、舌の裏側など普段なかなか目にしない場所に生じることもあります。そのため、セルフチェックを行う際は舌全体を観察し、特に側面や裏側を重点的に観察するようにしましょう。
進行した舌がんの場合、舌に痛みや出血などの症状が現れることがあります。また、しこりが外向きに大きくなる場合や、潰瘍を作ることもあります。これに伴い、言葉を話しづらくなったり、食べ物を食べづらくなったり、口が開きにくくなったりする方もいます。また、口臭が気になるようになる方もいます。このほか、がんが頸部のリンパ節に転移するとあごの下や首のリンパ節が腫れることもあります。
舌がんの発症リスクを高める要因として、喫煙や飲酒など生活習慣による口腔内の慢性的な刺激が挙げられます。そのほか、口の中が不衛生な方、虫歯のある方、合わない詰め物や入れ歯をしている方なども口腔内に慢性的な刺激が加わりやすく、舌がんになりやすいと考えられます。これらに当てはまる方は小まめに舌のセルフチェックを行い、気になる症状があれば医療機関の受診を検討しましょう。
舌がんを予防するためには、禁煙や飲酒量を控えることを意識しましょう。また、歯科の受診をきっかけに舌がんが発見されることもあります。口の中の衛生面の改善、虫歯や合わない詰め物・入れ歯を放置しないためにも、定期的に歯科を受診し口腔内の健康を保つことを心がけるとよいでしょう。
舌は比較的セルフチェックが行いやすい部位であり、異常に気付きやすいといえます。そのため、舌がんの初期症状を見逃さないように定期的にセルフチェックを行い、気になる症状があれば医療機関の受診を検討しましょう。
また、特に症状がない方も歯科の定期検診などを受診し、口腔内のチェックやメンテナンスを受けるとよいでしょう。
奈良県立医科大学 口腔外科 教授
奈良県立医科大学 口腔外科 教授
日本口腔外科学会 理事長・口腔外科専門医・口腔外科指導医日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 ICD制度協議会 インフェクションコントロールドクター日本口腔科学会 認定医・指導医・理事日本口腔内科学会 専門医・指導医・代議員日本顎顔面インプラント学会 指導医・運営審議委員日本歯科麻酔学会 認定医日本小児口腔外科学会 指導医日本有病者歯科医療学会 専門医・指導医・評議員日本口腔腫瘍学会 暫定口腔がん指導医・常任理事日本癌治療学会 理事日本頭頸部癌学会 副理事長日本口腔顎顔面外傷学会 理事国際歯科医療安全機構 執行役員日本学術会議 連携会員
1983年より口腔外科医としてキャリアを積み、埼玉県立がんセンター、Memorial Sloan-Kettering Cancer Center(米国)へ留学し、一貫して口腔顎顔面領域の病気とがん治療、研究に取り組んできた。2017年からは日本口腔腫瘍学会理事長、2020年からは日本口腔外科学会理事長、日本癌治療学会理事、日本頭頸部癌学会副理事長などの役職を務め、日本の口腔がんの基礎研究ならびに治療の中心的な役割を担っている。当科では日本口腔外科学会口腔外科専門医、指導医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医、日本口腔腫瘍学会口腔がん専門医など在籍しており、それぞれの病気について専門医が責任を持って治療にあたっている。
桐田 忠昭 先生の所属医療機関
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