舌がんの症状とは？ ～舌に硬いしこりやただれ、しびれなどを感じることも～

舌がんとは口腔がん（口の中にできるがん）の一種で、口腔がん全体のおよそ60％を占めるといわれるがんです。具体的には、舌の前側2／3の部分に生じるがんをいいます。自身で鏡などを見て観察できる部位であるため、比較的早期発見しやすいがんといわれています。

2014年のがん情報サービスが提供するがん統計によれば、日本全国で1年間のうちに舌がんと診断された方の数は4,200人ほどで、男女比をみると特に男性に多いとされています。

では、舌がんにかかるとどのような症状がみられるのでしょうか。このページでは、舌がんの症状や進行スピード、病院を受診する目安などについて解説します。

舌がんの症状

舌がんの症状の現れ方には個人差があります。初期段階ではあまり自覚症状が現れず、歯科医院の受診などをきっかけにたまたま発見されることも少なくありません。自覚症状がある場合には、以下のような症状が現れることがあります。

舌がんの主な自覚症状

• 舌に硬いしこりやただれが生じる
• 舌を動かすと、いつもと異なり違和感がある
• 舌がしびれる
• 舌の粘膜部分に赤や白の斑点がある（赤い斑点を紅板症、白い斑点を白板症といいます）
• なかなか治らない口内炎がある

など

舌がんのしこりの特徴

舌がんによるしこりは、舌の両脇の側面部分に生じる傾向があります。また、時に舌の裏側など見えにくい場所に生じることもあるため、注意が必要です。一方で、舌の中央や先端などに生じることはあまりありません。

このほかの特徴として、舌がんのしこりは周辺と比較して硬く触れることもあります。そのため、舌にしこりが生じたときは、まず自分の指で触って硬さを確かめるとよいでしょう。しこりに硬さを感じる場合には医療機関の受診を検討しましょう。

舌がんに痛みはある？

舌がんでは“舌に痛みを感じる”とイメージする方もいますが、初期段階では痛みを感じない場合もあります。ただし、がんが進行すると痛みをはじめ、以下のような症状が現れます。

進行した舌がんの主な自覚症状

• 舌の痛み
• 舌から出血が続く
• 口臭が強くなる

など

舌がんの進行スピードはどれくらい？

舌がんの進行スピードには個人差があり、一概に速い・遅いと述べることはできません。

中には比較的早い段階でリンパ節へ転移してしまうなど、進行の早い舌がんもあります。そのため、気になる症状があれば放置せず、早い段階で医療機関の受診を検討することが大切です。

受診の目安となる症状

上で述べたような症状がある場合は、一度医療機関の受診を検討しましょう。特に2週間以上治らない口内炎がある場合や、口内炎の周りに硬いしこりが生じている場合など「いつもと違うな」と感じる症状があれば、念のため医療機関を受診することが大切です。

また、喫煙・飲酒習慣のある方や、舌に歯科治療後の詰め物や入れ歯が当たっている方、虫歯（う蝕）のある方は舌がんの発症リスクが高いといわれています。そのため、これらに該当する方は日頃から意識的に舌の状態をチェックし、気になる症状があれば医療機関の受診を検討しましょう。

受診する診療科

舌がんが疑われる症状がある場合、耳鼻咽喉科あるいは歯科医院を受診することを検討しましょう。

詰め物・入れ歯のトラブルや虫歯のある方は、それ自体が舌に継続的な刺激を与えてしまうことになるため、まずは歯科医院の受診を検討してもよいでしょう。

舌がんは早期発見できる可能性の高いがん

舌は鏡を使って自分で観察することもできますし、指で触ることもできます。そのため、舌がんは比較的早期に発見しやすいがんとして知られています。日頃から定期的に舌の状態をチェックし、気になる症状があれば耳鼻咽喉科(じびいんこうか)や歯科医院を受診することを検討しましょう。舌がんが疑われる場合は、頭頸部外科(とうけいぶげか)などを紹介されることが一般的で、口腔内だけでなく咽頭、喉頭などほかの頭頸部領域も含めて検査が行われます。