きかんそんしょう

気管損傷

別名
気管支損傷
最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

気管損傷とは、首や胸に強い外力が加わることで気管が損傷する外傷のことです。インターネットでは、気管支損傷と検索されることも多いようです。

比較的まれな外傷ですが、気管損傷が生じるような外力が加わった場合には、血胸気胸など、他の病変を併発していることが多く、死亡率は約30%とされています。

気管は喉から左右の気管支へつながる一本の管状の器官であり、呼吸による空気の通り道です。そのため、常に開放されている必要があり、外側は気管軟骨に覆われて気圧の変化などで管状構造が潰れないような仕組みになっています。

また、気管は食道の前面にあり、頸部の外表から最も浅い位置にありますが、気管軟骨に覆われているため、通常は外力による損傷を受けることはありません。

しかし、交通事故や転落などの非常に高エネルギーな外傷や頸部の切傷などによって損傷を受けることがあるのです。

原因

気管損傷には、開放性損傷と閉鎖性損傷があります。それぞれの原因は以下の通りです。

開放性損傷

鋭利な刃物による切り傷や交通事故などによる挫滅(ざめつ)(強い衝撃や圧迫により内部の組織が破壊されること)によって皮膚の傷を通して気管にまでダメージが加わるものです。

閉鎖性損傷

胸腔内の気管損傷に多くみられるタイプで、皮膚と気管とがつながっていないものの交通事故や転落事故などによって胸部に強い外力がはたらき、気管にダメージが加わるものです。

頸部気管においても閉鎖性損傷は生じますが、この場合は頸部の急激な過伸展が原因となることが多いです。

このような閉鎖性損傷は、強い外力によって一時的に気道内圧が急激に上昇したり、非常に強い圧力が加わって気管が押しつぶされたりすることで、破裂や断裂が生じると考えられています。

症状

気管が損傷されることで、呼吸による空気の通り道に漏れが生じるため、発症後は急激に症状が現れるのが特徴です。

開放性損傷の場合

損傷部からの空気の漏れが外表からも顕著に分かり、出血がひどい場合には気管に流れ込んで窒息に至ることも少なくありません。

閉鎖性損傷の場合

発症後すぐに呼吸困難と血痰が生じ、気管から漏れた空気が皮下に広がる皮下気腫が見られるのが特徴です。左右どちらかの気管支に損傷がある場合には気管が損傷を受けたのと対側に偏位する所見が見られることもあります。

気管損傷は血気胸や血管損傷、肺挫傷などの胸腔内の重篤な病変を併発することが多く、これらが直接的な死因となることが多々あります。

さらに、頸部にはさまざまな神経が通っているため、気管と共に損傷を受けると物の飲み込みが悪くなる、ろれつが回らないなどの神経症状が現れることもあります。

検査・診断

気管損傷は速やかに適切な処置を行わなければ救命率が低下する外傷です。そのため、診察時の第一段階の触診で皮下気腫や気管偏位がみられた場合には、気道損傷を念頭に置いて諸検査を進めていきます。

救急室でも簡便に行える検査はレントゲン検査です。レントゲン検査では皮下気腫や血気胸肋骨骨折などの所見を観察することが可能です。

呼吸困難や血痰などの症状とレントゲン所見から気管損傷の可能性が考えられる場合には、気管支鏡を用いて気管に損傷がないかを調べます。気管支鏡は気管損傷の位置や程度を正確に評価することができ、確定診断に必要な検査です。

また、気管損傷の他にも病変がないかを確認するために全身のCT検査や超音波検査などが行われたり、呼吸の状態を評価するために動脈血ガス分析を行い、体内の酸素濃度を評価したりすることもあります。

治療

軽度な損傷であれば、呼吸状態を観察しながら頸部の安静を保って経過観察が行われることもありますが、多くの場合では呼吸状態を改善するために早急な治療が必要となります。

開放性損傷では、気管の損傷部を閉鎖する手術が行われます。一方、閉鎖性損傷では、他の病変がなく全身状態がよい場合には開放性損傷と同様に損傷部を修復する手術が行われます。

しかし、他の病変を併発し、全身状態が著しく悪い場合にはすぐに手術を行うことはできず、気管挿管や気管切開などで呼吸を確保して他病変の治療を行いながら全身状態の改善を図ります。その後、全身状態が落ち着いてから損傷部に対する手術が行われるのが一般的です。

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