すいにょうかんしょう

水尿管症

最終更新日:
2018年07月04日
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2018/07/04
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概要

水尿管症とは、尿管(腎臓から膀胱につながる管)のどこかに狭くなっている・閉塞している箇所があり尿の通りが悪くなり、狭窄/閉塞箇所の上流の尿管が拡張する病気です。一般的には尿管のみが拡張することはまれで多くは同時に腎杯(じんぱい)腎盂(じんう)などの拡張も生じます。そのため水腎・水尿管症と呼ばれることもあります。

腎臓は、血液をろ過することで体内の老廃物をキャッチし、余分な水分から尿を生成します。生成された尿は腎盂を通って尿管内を流れ、膀胱に蓄えられます。尿管は成人で約30cmの長さがあり、蠕動運動(ぜんどううんどう)を繰り返すことで尿を膀胱まで運びます。

尿管に何らかの原因で狭窄(きょうさく)(狭くなること)や閉塞が生じると、腎臓で生成された尿が膀胱へとスムーズに流れず停滞するため、腎盂や尿管が拡張してしまうために水腎・水尿管症が生じます。また、単に尿管が拡張するだけでなく、尿路感染を生じやすく、重症化すると敗血症などによって命にかかわることもあるため、看過できない病気のひとつです。

また尿路が閉塞・狭窄していることから上流にある腎臓の機能も低下します。腎臓は2個あるため、ひとつの機能が低下してももうひとつがカバーしてくれます。しかし、健常な腎臓の機能も悪い、腎臓がなんらかの原因で一つしかない、両側同時に閉塞が起きた、などの場合には腎不全を呈することもあります。

原因

ほとんどの場合、なんらかの疾患の結果として発見されます。水尿管症単独で疾患として存在することは、きわめてまれです。そのため、検査としては水尿管症(通常水腎症も合併しています)の原因、つまり尿管の狭窄・閉塞理由を精査することになります。原因には先天性のものと後天性のものがありますが、それぞれ以下のような原因があります。

先天性の原因

尿管の奇形によって発症します。具体的には以下のとおりです。

  • 生まれつき尿管に狭窄がある
  • 下大静脈後尿管
  • 馬蹄腎(ばていじん)
  • 膀胱尿管逆流症

など

後天性の原因

さまざまな原因がありますが、もっとも多いのは尿管結石が尿管内に詰まることです。

そのほかには、腎がんの尿管転移・尿管がん・膀胱がんなどの尿路系がん、前立腺がん子宮がんのような骨盤内臓器の悪性腫瘍による尿管の圧排・浸潤、胃がん大腸がんといった消化器癌の腹膜播種による尿管圧迫、炎症、手術の後遺症、神経因性膀胱、後腹膜線維症などが挙げられます。

症状

先天性の場合

先天性の場合は、徐々に尿管の拡張が進むため、痛みを伴わないのが一般的です。

しかし、尿路感染症を繰り返したり、拡張した尿管を体の表面から腫瘤(しゅりゅう)(こぶ)として触れたりすることから、精密検査を行って発見されることが多いです。無症状の場合には成人になって健康診断で指摘されることもまれではありません。

後天性の場合

一方、後天性の場合には比較的急速に症状が進行するため、激しい腰痛や背中の痛みなどを生じ、血尿が現れることもあります。

また、尿路感染を起こしやすく、高熱や腹痛が生じ、炎症が腎盂にまでおよぶと腎盂腎炎(じんうじんえん)を発症し、敗血症などの重篤な病態に陥ることもあります。尿路結石や尿路系がんがある場合には、血尿や排尿時痛などの症状が同時に起こります。

先天性でも後天性でも、水尿管症によって腎機能が悪化すると、腎性高血圧やむくみなどの全身症状があらわれることもまれではありません。

検査・診断

診断には、尿管が拡張していることを確認する必要があり、検査の主体は画像検査による尿管の観察です。

簡便に行える検査は、腹部超音波検査です。しかし、超音波検査は腎盂の拡張を観察することはできますが、尿管は正確に描出できないこともあり、あくまでも診断の手掛かりを得るための検査として位置づけられます。

一方、腹部CT検査やMRI検査は、尿管の拡張を正確に評価することが可能です。また、造影剤を注射して腎盂や尿管を造影する排出性腎盂造影が行われることもありますが、この検査は腎機能に異常がある場合には行うことができません。

そのほか、後天性水尿管症の場合には、がんや尿管結石などの原因となる病気を詳しく調べるために種々の画像検査や血液検査、尿検査が行われます。

治療

先天性・後天性いずれにしてもその原因除去が必要になります。

先天性の場合

先天性の水尿管症では、根本的な治療は手術による正常な尿管の形成が必要です。

しかし、開腹手術になるため体への負担が大きく、実際には症状の程度と予後を考慮して手術を行うか、経過観察をしていくのかを決定します。

一般的には腎盂腎炎を繰り返すようなケースや腎機能が低下しつつあるケースでは手術を行って症状の悪化を防ぎます。

後天性の場合

後天性の場合には尿管の拡張に対してではなく、その原因となっている尿管結石やがん、炎症などに対してそれに適した治療が第一に行われます。また原因除去の前に腎機能の悪化や発熱などが見られることもあるため、まず症状の緩和のため尿管ステント(尿管内に挿入する細いチューブ)を膀胱の内視鏡を用いて挿入します。それでも閉塞を解除できない場合は背中から腎盂に直接カテーテルを穿刺(腎ろう)し腎機能や炎症の改善を図ることもあります。

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